経済同友会が、提言「『生活者共創社会』で実現する多様な価値の持続的創造 ―生活者(SEIKATSUSHA)による選択と行動―」を発表しました。
本レポートでは、賃金・所得の伸び悩みで高所得国とは言い難い状況、商品・サービスの相次ぐ値上げでコストプッシュ型インフレの懸念、長寿化・人口減少する社会で払拭されない将来不安について説明し、その打開策として「生活者共創社会」を提言しています。本稿では、「生活者共創社会」を実現するための成長施策を見ていきます。
目次
個を尊重し、将来を生き抜く力を育てる教育
<ポイント>
- 社会課題を解決し、持続的な経済成長を実現するための人材を育成し得る教育に転換する
- 多様な子ども一人ひとりの興味・関心・習得スタイルなど、個を尊重した教育とする
- 真のダイバーシティと高い創造性を有し、自ら未来を切り拓く力を備えた人材を育成する
活躍できる人材が育つように、教育を変える必要があります。教育は、時代に必要な人材を育成するものです。現在の教育は、時代にマッチしていません。
人材とデジタルへの長期的投資で、価値創造基盤を構築・強化
<ポイント>
- 生産年齢人口が減る中で、人への投資、人材の流動化、外国人材の活用を推進する
- 効率化と信頼性向上を目指し、経済および行政サービスのデジタル化を強化する
日本は人口減少社会です。国の人への投資や制度変更に合わせ、個人には自律的キャリアを構築することが求められます。
利他の精神・パーパスに基づく、付加価値の創造
<ポイント>
- 利他の精神に基づく他人・他社・他国のためのイノベーションで社会を変革する
- 柔軟な労働移動と企業によるパーパス発信は、付加価値創造に極めて重要である
誰もが社会課題を解決する意識を持ち、イノベーションを生み出すことを提言しています。企業のパーパスと個人のパーパスが重なり合うことが大切です。個人のパーパスは、自律的キャリアと重なる面があります。
挑戦の総量拡大と中小業企業の競争力強化による、付加価値の創造
<ポイント>
- 「1 生活者1 イノベーション宣言」をする
- 「ダイバーシティ × イノベーション」を強化する
- 中小企業による価値創造を加速する
全ての生活者、異質なもの同士、組み合わさり、ぶつかりあうことで、イノベーションを起こします。7 割の雇用を占める中小企業が、価値創造を加速する必要があります。
社会実装のエコシステム構築による、付加価値の創造
<ポイント>
- 量子(データセンターを含む)やバイオなどの最先端分野やデュアルユースの研究開発に取り組み、産業のフロンティアを開拓し、再び日本が世界をリードしていくことに期待する
- 都市・地域を単位としたイノベーション社会実装ノウハウを日本モデルとしてパッケージ化輸出していく可能性を追求する
高品質の社会インフラおよび専門的で良質な人材を有し、G7中1位(国土面積当たりGDP)の日本は、先端技術を社会実装していく場合に優位性を発揮します。
まとめ
日本の課題を目にしない日はありません。ただ、国の政策が悪い、政治が悪い、経営者が悪いと言っていても解決しません。本レポートでは、「生活者共創社会」を提唱し、生活者一人ひとりが、日本の社会課題を解決する意識を持つことの必要性を訴えています。個人的にとても納得感があります。最後に、第35代米国大統領 ジョン・F・ケネディ の言葉を記載します。
Ask not what your country can do for you; ask what you can do for your country.
「国があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが国のために何を成すことができるのかを問うて欲しい」