- 仕事でもっと視野を広げろと言われた
- 人の意見にすぐ反発してしまう
- 物事に没頭して周りが見えなくなりやすい
本記事は、こんな悩みや疑問を解決します。
Domani編集部が30〜45歳の日本全国の有職既婚女性を対象に行ったアンケートによると、周りに「視野が狭い」と感じる人がいるは33.3%です。有職既婚女性のみの回答ですが、筆者の肌感覚でも3~4名に一人は、思い込みが強く視野が狭くなっている方がいます。
出所:Domani編集部HP
本記事では、視野の狭い人とは、視野が狭くなる原因、視野が狭い人のデメリット、視野を広げる方法について解説します。
「メタ認知力をつけ活き活き働く」ヒントを、ほぼ週次でお届けします。新着ブログやKindle本もご案内します。
ご登録いただいた方には、Kindle本「人に仕事を振ることができない人ができるようになった話」を無料プレゼント中!
目次
視野の狭い人とは
視野が狭い人とは、自分の考え方や価値観に固執し、他人の意見や新しい情報を受け入れる余地が少ない人です。物事を多角的に捉えることができず、特定の側面だけを重視する傾向があります。例えば、次のような状態です。
- 会議で新しい提案が出ても、自分のやり方が正しいと信じて他人の意見を否定しがち。
- 他人の提案やアイデアに耳を傾けず、「自分が経験豊富だから間違いない」と言い切る。
- 新しい技術やトレンドに対して「昔からこれで十分だから」と頑なに取り入れようとしない。
- 自分の成功体験を過信し、新人が提案する革新的なアイデアを「それは非現実的だ」と切り捨てる。
- 相手の意見や感情を軽視し、自分の価値観を押し付ける。
- 課題を一面的に捉え、解決策を限定的にしか考えられない。
- 自分のミスや欠点を認めず、他者や外部環境のせいにする。
こうした傾向は、固定観念や思い込みとなり、新しい環境への適応力を低下させ、個人の成長や他者との協力を妨げます。
視野が狭くなる原因
視野が狭くなる原因には、全ての人がもっている人間の特性、個人の特性、環境があります。
全ての人がもっている人間の特性
全ての人が共通にもっている原因は、バイアスです。特に、以下の2つのバイアスが視野の狭さに影響します。
原因 | 説明 |
---|---|
確証バイアス | 人には、自分の意見や考えを裏付ける情報だけを選び取り、反対意見や矛盾する情報を無視する傾向があります。最近は確証バイアスが増幅される環境にあります。ネット記事やSNS投稿を見ると、関連した記事や投稿が表示されやすくなります。「自分の考えは正しいのだ」と、どんどん思い込みが強くなります。 |
類似性バイアス | 人には、自分と似たような人を好意的に感じ、安心感を得る傾向もあります。一方で、異なる視点に触れる機会が減り、自分の偏りに気づきにくくなります。ネットやSNSの普及により、同じような思考の人が集まりやすくなりました。安心できますが、考えが偏り、視野がどんどん狭くなります。 |
個人の特性
個人特有の特性もあります。認知的成熟度や自己肯定感が低いケースです。
原因 | 説明 |
---|---|
低い認知的成熟度 | 認知的成熟度とは、あいまいさに耐える能力です。世の中の多くは、白黒で判断できることばかりではありません。白黒以外のグレーゾーンを受け入れられるのが、認知的成熟度が高い人です。一方、過去の経験に固執し考えを曲げない、悪影響があってもルールだからと無批判に従うなど、グレーゾーンを受け入れられないのが認知的成熟度が低い人です。 |
低い自己肯定感 | 自己肯定感が低いと、自分の弱い点や嫌な点を受け入れられません。自分の意見が通らない場合や、自分が自信をもっていることに反論された場合、これを受け入れると自分が人として完全否定されるように感じます。自分を守ろうと、無意識に頑なな態度をとります。 |
認知的成熟度については、以下のような記述があります。知的レベルが高くても、柔軟で視野が広いとは限りません。一方、学歴にかかわらず、柔軟で視野が広い人がいます。これはEQと呼ばれる力とほぼ同義です。詳しくはこちらをご覧ください。
本当に頭がいい人の条件とは
知識や経験が豊富で、知的レベルが高い人でも、自己責任の罠から抜け出せないことがあります。知的レベルの発達と、物事の理解の仕方が広く深くなることは、実はあまり関係がないからです。
人は外部から情報を受け取りますが、そこの自分の「感情」や「考え方のクセ」が加わり、その人なりの理解をします。自分の考えを押し付けたり、思い込みが激しかったりする人は、物事の理解が成熟しているとは言えません。しかし、キャリアが浅かったり、知識や情報量が普通でも、状況に応じて柔軟な判断ができる人や、おだやかなやり取りができる人がいます。
こういう人は、物事の理解の成熟度が高い人といえるでしょう。物事の理解の仕方を「認知」といいますが、認知的成熟度が高い人は、自己責任論に惑わされることは、滅多にありません。
*太字は筆者
出所:この国の冷たさの正体 一億総「自己責任」時代を生き抜く/和田秀樹/2016年1月30日/朝日新聞出版
環境の影響
長く同じ環境にいたり、プレッシャーの強い環境を経験すると、考え方が固定化されやすくなります。
原因 | 説明 |
---|---|
長く同じ環境を経験 | 人は慣れ親しんだ環境や行動パターンに固執しやすく、新しい視点を受け入れる機会を無意識に排除します。これまでうまくいった方法や信念を変える必要がないと思い込みます。多様な価値観や考え方に触れる機会が少ない環境にいると、自分の視点が狭いことに気づきにくくなります。 |
プレッシャーが強い環境を経験 | 特定の価値観や考え方が集団内で当たり前とされ、それに従わないことが重要視される環境では、自分の考えを持たなくなります。個人の視野を広げる必要性が低く、自ずと視野が狭くなります。 |
視野が狭い人のデメリット
視野が狭い人には、次のようなデメリットがあります。
自身の成長が停滞する
視野が狭いと、問題を多角的に捉えることが難しくなり、適切な解決策を見つけることができません。他者の意見を取り入れる柔軟性が欠けているため、根本的な解決が困難になります。新しい学びや挑戦の機会を逃しやすくもなります。自分のやり方が最善と信じ、他のアプローチを試そうとしないため、スキルアップやキャリア形成のチャンスを失う可能性があります。
自身のストレスが増える
自分の価値観や方法に固執するあまり、環境や他者との摩擦が生じやすくなります。自分の提案が受け入れられない場合に、過剰に反発したり不満を募らせたりすることがあります。他者の意見を尊重しない態度は、周囲との信頼関係を損ねる原因となります。協力が必要な場面では、相手から孤立するリスクが高まります。
他者に悪影響を及ぼす
視野が狭い人がリーダーや主要メンバーがいる場合、チーム全体の生産性や創造性に悪影響を及ぼします。他者のアイデアを否定ばかりすると、メンバーのモチベーションが低下し、新しいアイデアが生まれにくい環境になります。周りからの信頼が低下し、協力やサポートを受けにくくなります。
視野を広げる方法
視野の狭さは問題ですが、誰しも少なからず視野が狭くなることはあります。「自分は視野が狭くなっている」と気づくだけで、視野は広がります。ポイントは、自分の視野が狭くなっていることに気づくことです。視野を広げるためには、意識的な行動と習慣の見直しが必要です。
視野の広さをチェック
視野が本当に狭い人は、自分の視野の狭さを認めようとしません。視野の狭さは誰にでもあることで、トレーニングにより改善できます。真摯な気持ちで自分の視野の広さをチェックしてみましょう。以下の質問に対して「はい」「いいえ」で答えてください。
# | チェック項目 | 回答 |
---|---|---|
1 | 他人の意見を聞くよりも、自分の考えを優先することが多い。 | はい ・ いいえ |
2 | 自分が間違っている可能性を考えるのは苦手だ。 | はい ・ いいえ |
3 | 新しいアイデアや変化に対して抵抗を感じる。 | はい ・ いいえ |
4 | 問題を一面的に捉え、別の可能性を考えないことが多い。 | はい ・ いいえ |
5 | 人間関係で相手の価値観や背景を理解するのが難しい。 | はい ・ いいえ |
6 | 昔の成功体験や方法に固執することがある。 | はい ・ いいえ |
7 | 他人の成功を素直に認めるのが難しい。 | はい ・ いいえ |
8 | 自分の意見が通らないときにイライラする。 | はい ・ いいえ |
9 | 新しい情報やトレンドに対して興味を持てない。 | はい ・ いいえ |
10 | 他文化や他国の価値観に触れる機会を避けてしまう。 | はい ・ いいえ |
【採点方法】「はい」と答えた質問の数を合計してください。
- 0~3点:視野は広い方です。他者の意見や新しい情報を柔軟に受け入れる力があります。
- 4~6点:やや視野が狭い傾向があります。視点を広げる意識を持つとさらに成長できます。
- 7~10点:視野が狭い可能性があります。視点を広げるための具体的な行動を取り入れることが重要です。
バイアスを意識する
人は誰しもバイアスを持っています。バイアスは現実の世界とズレがあっても、人間が生き延びるために身に着いたものなので完全に克服することはできません。自分や自分の意見を正当化する情報を集めているなと気づいた時に、「あ、バイアスが出た」と心の中でつぶやくのがバイアスを意識する方法です。
認知的成熟性を高める
認知的成熟性を高めるには、EQを高めるトレーニングが効果的です。EQとは心の知能指数(Emotional Intelligence Quotient)の略です。自分や他人の感情を適切に認識し、コントロールし、利用できる能力のことです。EQは次のスキルをトレーニングすることで高めることができます。
- 自己認識:自分自身の感情を読み取る力をつけます。
- 自己管理:安定していない感情をコントロールします。
- 関係認識:他者の思考や感情を自分も同じように思考し感じます。
- 関係管理:他者との関わり方をうまく管理します。
詳しくは↓のブログを参照ください。
認知的成熟度を高めるEQ
自己肯定感が低いと感じている場合、追い込まれたり、強いショックを受けたりして、自分の内面に向き合わざるを得ない機会が必要です。内面に向き合い始めた時、書く、相談する、先人に学ぶを通じて、内省が促されます。次第に、自分の弱さに向き合えるようになり、弱くてもいいんだと思えるようになってきます。詳しくは↓のブログをご覧ください。
自己肯定感が引くいと感じる方
変化に柔軟に対処する
職場環境が変わったり、年をとり以前できたことができなくなったり、定年退職したりと、人を取り巻く環境は常に変化しています。にもかかわらず、人は現実を簡単には受け入れられず、過去の経験を基に行動しがちです。環境や状況が変わった時、次の方法を試してみることが有効です。
- 他者の視点を取り入れる:今の状況を他者の視点で見ることで、物事を多面的に捉えられます。
- 好奇心を持つ:何事も好奇心を持ち、とりあえずやってみることで、視野を広げることができます。
- フィードバックを活用する:他人からのフィードバックを受けることで、新たな気づきを得ることができます。
- 多様な情報に触れる:異なる分野や文化に触れることで、無意識に新しい考え方を取り入れるようになります。
- 書く習慣を持つ:自分の考えを紙に書き出すことで、自分を客観的に見ることができます。
まとめ
本記事では、視野の狭い人とは、視野が狭くなる原因、視野が狭い人のデメリット、視野を広げる方法について解説しました。視野が狭い人とは、自分の考え方や価値観に固執し、他人の意見や新しい情報を受け入れる余地が少ない人です。物事を多角的に捉えることができず、特定の側面だけを重視する傾向があります。
視野が狭くなる原因は、全ての人が共通にもっているバイアス、認知的成熟度や自己肯定感が低い個人特有のケース、および環境の問題の3つがあります。
視野の狭さは問題ですが、誰しも少なからず視野が狭くなることはあります。「自分は視野が狭くなっている」と気づくだけで、視野は広がります。ポイントは、自分の視野が狭くなっていることに気づくことです。視野を広げるには、次の流れで検討するのが有効です。
- 自分の視野の狭さと真摯に向き合う
- バイアスを意識する
- 認知的成熟性を高める
- 変化に柔軟に対処する
視野の狭さの最大の問題は、自分で気づきにくい点です。勇気をもって、自分に向き合うことが必要になります。弱い自分に向き合うのは確かに辛いかもしれませんが、ここを乗り越えることで、一気に世界が広がります。まずは、リラックスしながら自分の視野の広さをチェックしてみてください。