2022年12月15日の日経新聞に以下の記事が掲載されました。
職場がホワイトすぎて辞めたい 若手、成長できず失望
「職場がホワイトすぎて辞めたい」と仕事の「ゆるさ」に失望し、離職する若手社会人が増えている。長時間労働やハラスメントへの対策を講じる企業が増えたほか、新型コロナウイルス禍で若手に課される仕事の負荷が低下。転職も視野に入れる彼らには成長の機会が奪われていると感じられ、貴重な人材に「配慮」してきた企業との間で食い違いが起きている。
出所:日本経済新聞ホームページ
2023年12月15日のNHKの首都圏情報ネタドリで、以下の放送がありました。
「職場がゆるい」若手の約36% 人間関係よい大企業でも転職…そのわけは?
働き方改革が進んでいるにも関わらず、若手の入社3年未満の離職率(大手企業)は約25%と、低下していません。中には、定時で退社できる大企業を入社から2年で退職した人もいます。
会社を辞める若者たちの本音を聞くと、「スキルがつくか不安」「希望する業務を担当できない」といった声が。若者たちの不安の背景に何があるのか。働き方改革時代の若手育成術についても取材しました。(全2回の前編)
出所:NHKホームページ
(首都圏情報ネタドリ!取材班)
Xでは次のようなコメントも見られます。(文章は筆者が改変)
- ホワイト企業は離職率が低いので社員の平均年齢が高い。良い経験が積めず転職できない人も多い。
- ホワイト企業は心地よい環境なので社員のレベルが低くなる。退化してることに気づかず、何もできない人になっていく。
ホワイト企業は労働環境が良く、待遇や福利厚生が充実していますが、辞めたいと思う若者も少なくないようです。本記事では、ホワイト企業に勤めているのに退職を考え始めた時、どうすればよいかを解説します。
伊集院
筆者は22年勤めたコンサルティング会社を2021年に退職しました。それなりのポジションにおり、リストラされたわけではないので、周りの人は驚かれました。実は「このまま定年まで過ごすと、この先何もできない人間になる」と考えたことも退職した理由の一つです。若手と中高年で置かれた環境は違いますが、少し似ているように感じます。
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目次
ホワイト企業なのに辞めたくなる理由は?
ホワイト企業を辞めたくなる理由には、次のようなものがあります。若者は不安や焦りを募らせています。
理由 | 説明 |
---|---|
生ぬるい空気に逆に焦りを感じる | ホワイト企業では仕事の細分化と標準化が進み、多くの業務が誰もが正確にできるよう環境が整えられています。仕事に対して高い目標や野心を持ち、能力や可能性を最大限に発揮したいと考えている方にとっては、難易度が低く、生ぬるいと感じるかもしれません。 |
成長を実感しにくい | ホワイト企業には多くの中高年社員がおり、重厚な評価制度があります。早く成長したいと考えている方にとっては、成長を実感しにくいかもしれません。また一部のエース級の社員を除き、多くの社員は決められた仕事を確実にこなすことが求められるため、仕事が単調と感じるかもしれません。 |
スキルを習得しにくい | ホワイト企業では仕事の細分化と標準化が進み、仕事の正確を期するために手順に沿って丁寧に進めることが求められます。早く新しいスキルを習得していきたい方にとっては、スピードが遅いと感じるかもしれません。 |
優しい環境に逆に物足りなさを感じる | ホワイト企業では社内ルールが徹底しており、パワハラ的言動の禁止、残業禁止、エンゲージメントスコア重視、ストレスチェック重視など、上司が意識しなければいけないルールが多く存在します。上司や同僚にもまれながら成長を目指したいという方にとっては、物足りなさを感じるかもしれません。 |
活き活き働いていけるか不安 | ホワイト企業では社員に優しい環境が用意されているため、仕事の内容に不満があっても我慢して働いている方が大勢います。仕事に熱意がほとんど感じられない方もいます。仕事をがんばろうという気持ちが強い方は、この先活き活きと働いていけるか不安を感じるかもしれません。 |
Z世代の考え方を知る参考に!
ホワイト企業を辞めたくなったらどうする?
ホワイト企業を辞めたくなった時に、考えるべき点をご紹介します。
伊集院
筆者は32歳の時に保険会社からコンサルティング会社に転職しました。保険会社の時は仕事は真面目にこなしながらも、それほど熱意は持てませんでした。コンサルティング会社では、初めて仕事が楽しいという感覚をもちました。平日は12時間、土日も半日は仕事をしました。「自分はこんなに仕事に一生懸命になれるんだ」ということが初めて分かりました。
自分は何に違和感を感じているのを知る
まず今の環境に感じている違和感を書き出してみましょう。書き方に決まりはありませんので、自由に気持ちを書きます。以下の例はサラッと書いていますが、ノート1冊を使うぐらいで良いと思います。自分が納得できるまで続けましょう。
- 何かつまらない
- これで成長できるのか
- 自分はこんなことがやりたかったのか
次は、どのような環境であれば違和感はなくなりそうかを考えます。自由に書き出し、一番ピッタリくるものを探します。
- 仕事を任せてやらせてもらえる
- 責任は問われるが自由にやらせてくれる
- がんばれば若くても早く昇進できる
自分のことは自分が最も分かっていません。ああでもない、こうでもないと時間をかけて自分の気持ちを確認しましょう。書きながら自分の本心を探る作業はとても効果的です。
やりたい仕事を見つけるには?
現在の会社の良い点を確認する
同じように書きながら、現在の会社の良い点をあげていきましょう。
- 残業がない
- 給与が平均以上
- 休暇が自由にとれる
- 人間関係が良い
この中で今無くなったとしたら、やっていけないと思うものは何ですか?今時点でこれだけは必須というものです。もし、経済的な理由から給与が一定金額必要、または残業は絶対にできないという状況の場合は、現在の会社に留まり変わる機会を待ちましょう。関心がある案件に手を挙げるなど、自ら積極的に動くことが大切です。
転職した場合を想定する
最後に転職したケースを想定し、自分は本当にやっていけるのか考えます。ホワイト企業を辞めたくなる方は、多くの場合「もっと仕事をしたい」と感じられています。転職後に給与が大きく下がるというよりも、とても忙しくなる可能性があります。
- 毎日残業がある
- たまに土日も働く
- 年に数回は徹夜
こんな職場を想定し、それでも自分はやりたいのか?と自問自答してみましょう。「それでもやりたい」と答えの出た方は、転職を考えましょう。
外資系やコンサルティング会社への転職を考える場合
最後に筆者の経験談を書きます。筆者は外資系とコンサルティング会社を経験しましたので、少し古い情報になりますがそれぞれの特徴と働き方のヒントをお伝えします。
外資系
外資系は日本でもジョブ型に近い雇用となっていますので、自分は何を専門としていくのかを決めた上で、応募することが大切です。配属された部署で、一人の専門家として仕事を任されますので、短期間で専門性を高めることができます。
一方で、評価は直属の上司が行いますので上司との人間関係が大事になります。また職務ローテーションもほとんどありませんので、他の仕事を学ぶ機会がありません。一定の実力があればある程度のポジションまでいけますが、英語力の有無がその先の出世を決めます。
コンサルティング会社
総合コンサルティング会社の場合、若手は学歴や前職経験にかかわらず、いろいろな案件にアサインされますので、最初はついていくのが大変かもしれません。次第に自分はこんな案件が向いているな、クライアントと話すのが楽しいな、成果物を作るのが楽しいななど、自分の楽しさの好みがわかってきます。
マネジャーになるまではデリバリー(サービス提供)が中心ですが、マネジャーからはセールスもやるようになります。セールスに苦手意識を持つ方もいるので、今後コンサルティングを続けていくかの一つの関門になります。昇格するに従い、クライアント対応よりも社内対応の仕事が増えてきます。この変化に柔軟に合わせられるかも、さらに続けていけるかの関門になります。
社会人になり早速悩んでいる
まとめ
ホワイト企業に勤めているのに退職を考えはじめた時、どうすれば良いかを書いてきました。筆者は、若いうちは時間を忘れ無我夢中で働くことは大切だと考えています。極限状態になり、作業が物凄いスピードで進んだとか、アイディアが浮かんだということが多々ありました。体力を使いますので、若い時でないとできない体験です。
ホワイト企業に勤めているのに違和感を持つ方は、とても頼もしい存在です。そのぐらいの気概をもって向き合わないと、本当に良い仕事は成し遂げられません。失敗してもいくらでもやり直せますので、自分の直感を信じて、ぜひ恐れず前に進んでください。
挑戦するみなさまが、活き活き働ける環境を手に入れられることを祈っています。
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