目指すは、多様な人材が、キャリアを自律的に考え、活躍する社会

法人のお客様ー人的資本経営

経済同友会が、「自律した個が「いつでも、どこでも、多くても少なくても働くことができる」社会
の実現」
を公表しました。以下は、本書の位置づけです。

「ヒトしかない日本。人的資本を中心に据えた経営と働き方改革無くして、優秀な人材の確保は困難。企業は、危機感を持って個人と向き合い、働き方改革に臨む必要がある。本書は、経営者にこうした警鐘を鳴らす。」

本当にヒトしかない日本です。人口が減る今、何とかしなければ。本書のポイントをまとめました。

Ⅰ.「 働き方 」における現状と課題

企業の課題は、大きく次の2点です。

  • 評価・報酬体系が画一的で、多様な人材の活躍、登用を推進する制度になっていない
  • 人材への投資金額が低く抑えられ、個人の能力を引き出せていない

個人の課題です。

  • 就労期間が延びたにもかかわらず、自律的キャリアの意識が弱く、自己啓発の実施率も低い

そして、社会の課題です。

  • 成長産業への人材シフトが進みにくい環境となっている

Ⅱ.課題解決に向けた方向性

解決の方向性は、「就社の働き方」→「多様な働き方への変革」です。

出所:自律した個が「いつでも、どこでも、多くても少なくても働くことができる」社会の実現/経済同友会

Ⅲ.提言:個の価値を 最大限引き出す 多様な働き方の実現に向け て

経済同友会からの提言です。

【提言1】職務/役割を明確にして、納得性の高い評価制度を構築・運用する

評価において、会社の求める人材像に合わない場合は、マイナス評価になります。上司のマネジメント能力は、このマイナス評価の伝え方に現れます。評価内容にかかわらず、部下のモチベーションが上がる面談を目指したいです。Kaizen Platform社の事例を記載します。

厳しい評価を付けざるを得なくなる場面、マイナス評価のフィードバックを行わなければならない局面では、全てのマネジメントが対象者に対して、どのようなことを期待している 中でどこがギャップだったの か、といった点についての基準合わせを行い、伝え方も含めた共通認識を持てるようにしている。

出所:自律した個が「いつでも、どこでも、多くても少なくても働くことができる」社会の実現/経済同友会

【提言2】全ての個人の多様で柔軟な働き方を可能とするため、心理的安全性の高い制度設計や運用を担保する

従業員エンゲージメントを意識する会社が増えてきました。求めているのは、忠誠心が高い社員ではなく、貢献する社員。貢献し続けるために、社員はプロとしての腕を磨き続け、会社はプロが働きたくなる魅力を出していく、対等な関係です。以下は、AGC社の事例です。

経営層による講演や議論ではなく対話とすることで、トップの考えを押し付けることなく、社員の考えや本音と向き合うことができる。テーマを決めず、通訳も入れず、経営層と何でも話して良い場を 設けることで、誰に対しても、思ったことを素直に言える企業文化の醸成に繋がっている。

出所:自律した個が「いつでも、どこでも、多くても少なくても働くことができる」社会の実現/経済同友会

【提言3】多様な働き方や複層的なキャリアを持つ人材の積極登用

性別、年齢、国籍に関係なく多様な人材が活躍し、人生の局面や価値観に応じた多様な働き方を用意することが求められています。社員がバラバラにならないように、パーパス共有など経営者のリーダーシップも問われます。フュ―チャーの成果比率型裁量労働制の導入事例です。

現時点の成果 を 100% と したときに、求められる成果と報酬の割合を個人が選択することができる 制度。求められる成果を60%や80%と変更することで業務量を調整し、ライフステージ に変化が生じても 、仕事と家庭のバランスを取りながら活躍し続けることができる 。

出所:自律した個が「いつでも、どこでも、多くても少なくても働くことができる」社会の実現/経済同友会

【提言4】「自律した個」の確立を促す、働き方の選択肢を幅広く用意する

会社は、「社員が自律的にキャリアを考え、必要な学びを進めていける環境」を提供します。社員は、自身の選択に責任を持ち、結果や成果にコミットします。ソニーグループの事例を記載します。

本来の担当業務を続けながら、業務時間の一部を別の仕事に充てることができるキャリア開発・成長支援 として、「キャリアプラス制度」を導入している。所属する部署から異動することなく新たな仕事やプロジェクトを経験し、キャリア展開の選択肢を広げたり、他部門で自分の専門性を活かしたりすることが可能となっている。

出所:自律した個が「いつでも、どこでも、多くても少なくても働くことができる」社会の実現/経済同友会

【提言5】真に期間の定めの無い雇用への移行

定年を廃止し、適材適所で能力に応じた人材配置を行います。人材の流動化をスムーズに行える環境も必要になります。以下は、日本情報通信の例です。

管理者としてのスキル、能力を有する人材については、定年後再雇用においても現役時と変わらない処遇 としている。また、意欲と能力に応じて 働く場を選ぶことができる FA制度を導入しており 、自らの市場価値を意識することにも繋がっている。

出所:自律した個が「いつでも、どこでも、多くても少なくても働くことができる」社会の実現/経済同友会

まとめ

これからの会社と社員の関係を見てきました。一言で言うと、次のような姿です。

会社:多様な人材が、最大限の力を発揮でき、能力のある人が活躍できる環境

社員:キャリアを自律的に考え、プロとして能力を磨き続け、会社に貢献する人

ヒトしかない日本。ここから盛り返したいですね。私も微力ながらがんばります。

(関連ブログ:人への投資の論点

ピープルエナジー代表 伊集院正

22年間、⾦融IT・リスクのコンサルティングに従事。ITリスクチームの拡大や金融セクター設立に貢献。この間、優秀な多くのコンサルタント育成に関与。2020年、国家資格キャリアコンサルタントを取得。2021年に⼈材コンサルティングを開始し、企業の従業員や働き手に対し、心理学の理論を活用したコーチングを提供中。
   
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