- 希望する部署に配属されず、やる気がでない
- 勤務地が地元から遠方になり、辞めたくなった
- 配属された部署の上司と合わず、つらい
本記事は、こんな悩みや疑問を解決します。
2024年11月1日の読売新聞オンラインに、配属ガチャに関する記事が記載されています。大手企業が、内定辞退や早期離職を防ぐために、新入社員の配属先を確約し始めたようです。
配属ガチャ不安を解消、最初の職場を確約の動き…内定辞退や早期離職を防ぐ狙い
大手企業で、新入社員の最初の配属先を「確約」する動きが広がっている。職種や勤務地がどこになるか分からない「配属ガチャ」への不安を和らげ、内定辞退や早期の離職を防ぐのが狙いだ。ただ、学生側の希望をかなえるには、人事戦略の見直しが必要となるケースもあり、導入に躊躇する企業も少なくない。
・・・
だが、多くの企業にとってこうした制度を導入することは容易ではない。
リクルートが企業の人事担当者に実施した調査では、「適性がよく分からない状況で配属先を決めるのは難しい」(情報通信業)、「人員配置の柔軟性が失われる」(建設業)などの声があがった。新入社員の配属について、企業の51・8%が「制度を見直す必要がある」と答えた反面、このうち50・4%が「見直しはできていない」と回答した。
ある大手メーカーの人事担当役員は「新入社員だけ配属先を確約するのは、現役社員から不満が出かねず、人事バランスも崩れる。導入するならば、会社の人事制度を抜本的に見直さなければならない」と話す。
人材獲得競争が激しくなる中、社員の希望と人事制度をどう両立させていくか。企業側も頭を悩ませている。
*太字は筆者
出所:読売新聞オンライン
本記事では、配属ガチャとは、配属が問題となる理由、配属ガチャにハズレと感じた時の対応方法について解説します。

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目次
配属ガチャとは

配属ガチャとは?
配属ガチャとは、新卒で会社に入社した際、どの部署や勤務地に配属されるか自分で決められないことです。新入社員にとっては、スマホゲームのガチャのように、運次第で当たりやハズレが決まってしまうかのように感じるためです。
日本国内の新卒採用は、新卒学生を一括採用し、適性や企業のニーズに応じて配属を決定するのが一般的です。入社前に具体的な業務内容や勤務地を知らされることは少なく、希望の部署に行けなかった、勤務地が遠方になった、興味のない業務を任されたような場合、新入社員は「思っていたのと違う」と感じることがあります。
半数の学生が配属ガチャに不安
2025年卒大学生活動実態調査 (6月15日)/マイナビキャリアリサーチLabによると、就職活動を終了する(している)学生の現在の悩みや不安の上位4つは、以下のとおりです。配属ガチャに関する不安は、51.2%となっています。
- 漠然と社会人になることが不安である(45.7%)
- 他の内々定者となじめるかどうか(34.9%)
- 希望する勤務地に配属されるかどうか(27.5%)
- 希望する職種や部署に配属されるかどうか(23.7%)
出所:2025年卒大学生活動実態調査 (6月15日)/マイナビキャリアリサーチLab
配属が問題となる理由

配属ガチャにハズレと感じる理由
学生が配属ガチャにハズレと感じる理由です。
理由 | 説明 |
---|---|
やりたかった仕事と違う | 入社して何がしたいか会社から聞かれ、悩み考えた自分の希望を熱く伝えたにもかかわらず、希望していない部署や仕事に配属され、学生は「この会社に入ったのは〇〇の仕事をしたかったからなのに、なぜか△△部門に配属された…」と落胆します。 |
勤務地が希望と異なる | 地元の近辺で働きたいと考えていたのに遠方の勤務地を指示されるなど、希望の勤務地と異なると精神的な負担が大きくなります。友人関係、経済的な問題、通勤時間の問題、いろいろな理由があります。会社の命令は絶対という時代ではなくなり、仕事中心、会社中心から、個人の価値観を大切する時代になりました。 |
職場環境が合わない | 学生時代は先輩ともフラットな関係だったのが、会社に入った途端に体育会系のノリについていけない、あるいは先輩や同僚と仲間のような付き合いを求めていたにもかかわらず、ドライすぎて馴染めないようなケースです。まだまだ多くの日本企業は、上下関係が厳しいため、窮屈に感じる学生も多いかもしれません。 |
上司と合わない | 上司と合わないケースです。上司が理不尽すぎる、指導が厳しすぎてストレスが溜まる、放置されて何も学べないなどです。純粋に相性の問題もありますが、中には上司は合理的であるべきだ、上司は優しく丁寧に教えるべきだなど、上司に完璧を求め過ぎている場合もあります。 詳しくは↓のブログをご覧ください。 上司と合わない。毎日がストレスだ。心穏やかにのびのび働ける方法を紹介 |
仕事の負担が大きすぎる 、小さすぎる | 仕事量が多すぎたり少なすぎたりすると「毎日終電まで残業、休日も仕事の電話が鳴る…」とか「雑務ばかりで全然成長できる仕事がない…」といったことになります。最近は会社がパワハラに厳しくなり、生ぬるい空気に焦りを感じたり、成長を実感しにくいという理由で、ホワイト企業なのに退職する方も増えています。 詳しくは↓のブログをご覧ください。 ホワイト企業なのに退職を考えはじめた。本当にいいの?失敗を避ける方法を解説 |
配属が意識される背景
筆者が新入社員として入社したのは、約35年前の1990年です。当時バブル末期で、複数社に内定をもらう学生が多くいましたが、配属に疑問を持つ方は少なかったように感じます。希望しない遠方の勤務地になった方は、少し驚きはありつつも仕方ないと自分に言い聞かせ、それほど深刻に受け取っていませんでした。
以前から、配属ガチャ自体はありましたが、新入社員にとって大きな影響を及ぼすようになったのには、次の理由があると考えます。
- 会社の価値観に合わせる生活から、個人の価値観を主体とした生活への変化
- 生涯一社だけで働くという過去の常識が、転職し複数社で働くに変化
- ハラスメント対策強化と若者不足から、若者が自分の意見を主張しやすくなった
単に若者がわがままになったのではなく、こうした社会的な環境変化が、配属ガチャには影響していると想定されます。ジョブ型雇用が脚光を浴び、大手企業や技術系で広がっているように、自律的キャリアを意識することも影響しています。
社会の変化に合わせ会社も変わってきているとはいえ、まだ適応できていません。ハラスメント対策も、会社はバランスに苦慮しています。一方で、会社が継続するには、貴重な若者が不可欠です。会社も個人も、こうした変化への過渡期にあります。
配属ガチャにハズレと感じた時の対応方法

配属ガチャにハズレと感じた時の対応方法は状況によって異なります。
やりたかった仕事と違う/勤務地が希望と異なる
やりたかった仕事と違う、勤務地が希望と異なる場合、前提に次のような気持ちがあります。
- 自分には〇〇の仕事が向いており、他の仕事は向かない
- 自分の計画するキャリアでは、〇〇部署で働く必要がある
- 遠方の勤務地は友人がいないので、地元の近くで働きたい
自分はこうだ、自分の仕事はこうあるべきだ、自分はこうしたい、全てこれまでの経験と想像から導き出した考えです。教育心理学者のクルンボルツは、次のように述べています。
未来は予測できないことだらけなので、将来この仕事に就くというような計画は絶対視すべきではない。偶然の出来事は、人のキャリアに大きな影響を及ぼしかつ望ましいものである。偶然の重要性を認識し、利用し、積極的に生み出す必要がある。
クルンボルツは、当初決めた計画に縛られず、人生で出会う偶然の出来事の大切さを伝えています。
社会に出ると、計画どおり進むことはまずありません。偶然の出来事にチャンスが潜んでいます。特に、新入社員は仕事の経験が少ないため、多くは想像から作り出した仕事イメージです。想像するのは大切ですが、固執しすぎないことが大事です。ある程度まで考えたら、実際に体験する必要があります。
やりたかった仕事と違う、勤務地が希望と異なると感じた場合、次のやり方をお勧めします。
- 目の前の仕事に全力をつくす
- つまらない時は好きと思い込む
- 一定期間、全力をつくし、結論を出す
詳しくは↓のブログをご覧ください。
職場環境が合わない
職場の雰囲気が、自分に合わない場合、ギャップを埋めるのは簡単ではありません。みんなでワイワイやりたいタイプ、一人でコツコツがんばりたいタイプ、人はそれぞれです。インターンや面接の中で、学生側も会社の雰囲気を理解しようと努めていますが、それでもアンマッチはあります。
職場環境が合わないと感じた場合、次のことに取り組んでみましょう。
- 自分が本当にやりたいことは何かと自分に問う
- 急がず、リラックスし、自分に向き合う時間をつくり、ゆっくり内省します
- この会社でできることは何か考える
- 経験、知識、人との出会いなど、会社でできることを、部署や役職の枠を超えて考えます
- やりたいことやそれにつながる、会社でできることを考える
- 自分がやりたいことが会社でできるか、それにつながることが会社でできるかを、じっくり考えます
こうして思考し、会社でやった方がよいことが見つかったら、その達成を目標とします。職場の雰囲気が合わなくても、確とした目標が定まることで、「自分はこの経験を積むためにやっている」「自分は人脈をつくるためにやっている」と思え、目標を達成するまでがんばることができます。
働いている間は、人間関係をよくする努力は必要ですが、なかなか改善が進まない場合は、転職を考えることになるかもしれません。いずれにしても、入社したからには、何らか得てから転職するという気持ちで臨むことをお勧めします。
上司と合わない
上司と合わないと思う根底には、上司はこうでなくてはならないという考えがあります。例えば、次のようなケースです。
- 具体的な指示がない上司 → 上司は部下に対し仕事を具体的に指示するべきだ
- 動いてくれない上司 → 上司は部下のために動くべきだ
- ひいきする上司 → 上司は誰かをひいきするべきではない
- まず否定する上司 → 上司は部下の話を否定すべきでない
- 感情的に怒る上司 → 上司は感情的に怒るべきでない
自分自身の「こうあるべきだ」という思考が強いと、適応できる上司の範囲が狭まります。もちろん上司はリーダーシップを発揮し、柔軟な気持ちで公平に全ての部下に接することを目指す必要があります。しかし、上司も人間ですから完璧ではありません。たまに口を滑らしたり、保身に走ったりすることもあります。
上司と合わないと感じたら、次のことを意識することです。
- 100%相性の良い上司はいないことを理解する
- 上司と相性が合わないのは当たり前と思い、誰に対しても敬意を持ちながら、淡々と仕事を進めていきます
- 目指すべきことと完璧は違うことを理解する
- 上司が目指すべきことと、それを完璧にできなくても上司は失格ではないことを理解します
- 自分の主張が正しいわけではないことを理解する
- 仕事に完全な正解はなく、上司や関係者と調整しながら、折り合いをつけながら進めていきます
詳しくは↓のブログをご覧ください。
仕事の負担が大きすぎる 、小さすぎる
- 仕事の負担が大きすぎる
仕事が忙しすぎる、プレッシャーが強すぎる、難しすぎるなど、仕事の負担が大きすぎる場合、心身が疲弊し思考が否定的になりがちです。やりたかった仕事でも、こうした状態が続くと、次第に合理的に考えることができなくなってきます。この状況から脱したいと思い、辞めることが頭にちらつき始めます。
必要なのは休息をとることです。ゆっくり休んで、今の状況を冷静に考え判断することが大切です。人は忙しく疲弊している状態では、冷静に合理的に考えることができません。いきなり転職ではなく、まずは休みをとり、リラックスできたところで、今の自分の状況を天から眺めるように見てみます。
辞めた方がよいと判断した場合は、転職を急ぎ過ぎず、ここまでの経験を踏まえ、どんな環境が自分にはマッチしそうかを考え、エージェント任せにせず、自分なりの方向性をもって活動します。
- 仕事の負担が小さすぎる
仕事が少ない、環境がゆるすぎる、物足りないなど、仕事の負担が小さすぎる場合、成長を実感できず、もっと刺激がある環境でガツガツ働きたいと思う方がいます。Z世代は、「これからの社会は会社には頼れない、自分で生きていく力をつけなければ」と考える人が多く、一部の方だけではなく広くこうした想いが広がってきています。
筆者がお勧めする方法です。
- 自分は何に違和感を感じているのを知る
- 今の環境に感じている違和感を書き出し、どんな環境であれば違和感はなくなるか考えます
- 現在の会社の良い点を確認する
- 今の会社の良い点がなくなった場合、自分はどう感じるか考えます
- 転職した場合を想定する
- 転職した場合、今より忙しくなる可能性がありますが、それでもやりたいか考えます
詳しくは↓のブログをご覧ください。
まとめ
本記事では、配属ガチャとは、配属が問題となる理由、配属ガチャにハズレと感じた時の対応方法について解説しました。配属ガチャを感じる理由には次のようなものがあり、社会環境の変化も影響していると考えられます。
- やりたかった仕事と違う
- 勤務地が希望と異なる
- 職場環境が合わない
- 上司と合わない
- 仕事の負担が大きすぎる 、小さすぎる
配属ガチャと一言で言っても、理由ごとに対応方法は異なってきます。いずれも突発的に反応するのではなく、落ち着いて自分自身に向き合う、または状況を鳥瞰する姿勢が必要です。筆者が経験から感じることは、悩み、迷い、苦しみの経験は、人が一段成長するきっかけになるということです。少しでも参考になれば幸いです。

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