メタ認知能力とは、自分の思考や感情を客観的に認知し、修正しながら事実に基づき合理的に判断、行動できる力です。
教育心理学において、よく使われています。間違った学習方法を続けていても成績は伸びません。
メタ認知能力の活用は、仕事においても有用です。
今回は、メタ認知能力について、具体的に解説します。
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目次
メタ認知は、学習を工夫する思考プロセス
メタ認知能力は、自分の思考や感情を客観的に認知し、合理的に判断、行動できる力
以下は、ある問題を克服するための、思考プロセスです。
問題)
①墾田永年私財法、②三世一身法、③荘園の成立、④班田収授法の4つの歴史事象を年代の古い順に並べなさい。
メタ認知を活用した思考プロセス)
出所:教育・学校心理学/進藤聡彦・谷口明子のP116を基に作成
- 4つの事象を順番に覚えるには、年代を語呂合わせするのも有効な記憶法の一つだ
- しかし、語呂合わせ自体もすぐに忘れてしまいそうだ
- 理解できて、よく憶えるためには、知識を構造化することが大切だ
- なんとか構造化してみよう
- 要するに、「律令体制の下で、公地公民を原則とする古代土地制度が徐々に崩れていって、荘園が成立した」ということだな
- だから、④②①③の順のはずだ
- こうして憶えれば同様の問題が出題されても、長く憶えていられるだろう
メタ認知能力とは、自分の思考や感情を客観的に認知し、必要があれば事実に基づき修正し、合理的に判断、行動できる力です。
自分はどのくらい学習できているのか、学習の仕方は適切かなど、学習効果を高めるには、まず自分の理解状況を把握することが大切です。
頭で分かっていても、「受け入れられない」「できない」
仕事でうまくいかないことの背後には何がある?
仕事において、次のようなことはありませんか?
- できると思っていた仕事が、うまくいかなかった
- 説明が長い、分かりづらいと言われる
- 理解していると思っていたのに、うまく答えられない
- 会議で反論され、感情的になる
- 指摘されると、深く長く落ち込む
全て、自分の状況を正しく認識できていない、正しく認識するための工夫が足らないことに起因します。
それぞれ、以下のような状態にあったと考えられます。
- 頭ではできると思っていたが、細かい点を正確に覚えられていなかった
- 分かっていると思っていたが、構造的に理解できていなかった
- 理解していると思っていたが、正確に分かっていなかった
- 議論の場とは頭で分かっていたが、反論を受ける心構えができていなかった
- 品質を上げるため、他者によるレビューが必要と分かっていたが、指摘を受ける心構えができていなかった
頭で分かったことと、受け入れること、できることは異なる
人は知っていると、つい分かった気になります。
ラジオで流れてきた曲を聞いて、聞いたことあるなと思っても、なかなか同じようには歌えません。
「営業は断られるものだ」と頭では分かっていても、実際に断られ続けると、平然と「営業はこんなもんだ」と思えません。
頭で分かることと、受け入れ、できることは違います。
マインドフルネスについても知りたい
思考・感情・身体・行動で分かり、はじめて受け入れ、できる
メタ認知能力は、「頭で分かる→感情で分かる→身体で分かる→行動で分かる」このプロセスの実行力
人は、頭で分かる(思考)、感情で分かる、身体で分かる、行動で分かる、これが揃って初めて、受け入れ、できるようになります。
聞いた歌を実際に歌い、うまく歌えない箇所を何度か練習し、上達すると気分よくなり、また歌い、声も出るようになります。
営業の場合は、
- 営業の電話をかけ
- 断られ続ける
- 落ち込む
- でも自分が否定されたのではなく先方にニーズがなかったと気持ちを切り替える
- 少し気持ちが持ち直す
- また電話をかける
- アポがとれる
- うれしくなり朗らかな声になる
- また電話する
この繰り返しです。
受け入れ、できるには、思考だけでなく、感情、身体、行動で分かる必要があります。
この一連の取り組みを実行する力が、メタ認知能力です。
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話す、書くことで、メタ認知能力をトレーニングする
話し、書くことで、本当の自分の考えに気づく
メタ認知ができるようになるには、人に話すまたは書くことが有効です。
自分が知ってることを人に話し、人の反応を見る、人の質問を聞く、自分が説明している声を聞く、自分の態度を観察する、自分の感情を感じます。
人からのフィードバックに加え、自分にも気づきがあります。
さらに、書くことで、内省を促します。
改めて自分の考えを知り、思い込みがあることに気づき、違う考えを受け入れる気持ちが芽生えます。
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小さな行動で、苦手意識を克服する
仮に自分の思考に偏りがあることに気づいた場合、分かっただけでは、できるようになりません。
特に、不安なこと、嫌なこと、苦手意識があることは、感情的に受け入れにくいものです。
これを打破するために、小さな行動で試します。
ある人に苦手意識があり話しかけられない場合、簡単な質問をしてみます。
うまくいったら、次は笑顔で挨拶してみる、次出会ったら世間話をしてみる、といった具合です。
小さな成功から、自信がつき、感情的なバリアが下がり、次第にできるようになります。
この繰り返しが、メタ認知能力のトレーニングになります。
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上司のかかわり方
メタ認知能力が弱い部下に対し、上司は状況の見える化をサポートすることが有効です。部下の話を、否定や意見することなく聴く、部下の話を聴きながらホワイトボードに状況を書く、さらに簡単な問いかけをします。
メタ認知能力が弱いと、「自分はダメだ」と、感情的に自分を責めがちになりますので、事実を基に論理的な流れを意識しながら、感情を受けとめてあげる必要があります。
まとめ
ここまでメタ認知能力を見てきました。自分の思考や感情を客観的に認知し、修正しながら事実に基づき合理的に判断、行動できる力です。
うまくいかない時、書いてみる、思い込みに気づく、修正の必要性を感じる、小さな行動を試してみる、できるようになる、この流れです。
多くのできないことは、人の思考や感情が妨害しているだけです。
今日からぜひ試してみてください!
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