Z世代とは、1990年代後半から2010年代前半までに生まれた方々です。デジタルネイティブといわれ、グローバル感覚や多様性を尊重する傾向があります。
Z世代に対しては、オープンなコミュニケーションを心掛け、話を聴き、大事なことを明確に伝える必要があります。取り繕ったり、不信感を持たれると退職のリスクが高まります。Z世代は、安定は自分で築くものといった意識があり、不誠実な対応に敏感に反応します。
本記事では、Z世代の特徴やインタビューを踏まえ、仕事でどうかかわっていけば良いか解説します。
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目次
Z世代とは?
Z世代とは、インターネットが普及していた時代に生まれた世代のことです。一般的には、1990年代後半から2010年代前半までに生まれた方々をさします。
Z世代は、デジタルネイティブと呼ばれ、インターネットやSNSを上手に活用します。また、グローバル感覚や多様性を尊重する傾向があります。
Z世代は、X世代やY世代というアルファベットで表される世代の後に続く世代で、アルファベットの最後の文字であるZが名前の由来です。
Z世代の仕事に対する意識
理想の上司は、「話しやすい人」
SHIBUYA109エンタテイメントの調査によると、Z世代の理想の上司は、次のような方です。一言でいうと、「話しやすい人」といえるかもしれません。
- 分かりやすい言葉で説明してくれる
- 丁寧に教えてくれる
- 気軽に相談しやすい
- 意見を聞いてくれる
- 感情的にならない
出所:SHIBUYA109 lab.調べ
理想の働き方は、「好きなことでお金を稼ぐ」
理想の働き方は、「好きなことでお金を稼ぐ」がトップです。「場所にとらわれずに働ける」「週休3日」「フレックスタイム制」「自由な身だしなみ」と続きます。自由に、好きなことを行い、お金を稼ぐ働き方です。中高年の私にとっても理想です…
出所:SHIBUYA109 lab.調べ
最多は、「出世したくない」
将来的にどこまで出世したいかについては、「出世したいと思わない」が最多です。理由は、「責任が重くなるから」「プライベートを重視したいから」と続きます。「責任が重くなるから」の背後に、出世すると、自由に好きなことをやりプライベートを楽しむことができなくなる、との想いがあるのかもしれません。
出所:SHIBUYA109 lab.調べ
出所:SHIBUYA109 lab.調べ
Z世代にインタビューしました
知り合いのZ世代Nさんに、インタビューを実施しました。将来は起業を考えているアグレッシブな方ですが、回答の背景にあるのは不安定な社会です。さすがZ世代という感じで、仕事とプライベートの区別が、徹底されています。
ーーーここからインタビュー内容ーーー
経歴を教えてください。
Nさん
今年大学を卒業し、4月から働きはじめましたが、採用時の説明とギャップが大きく、一社目を2週間で退職しました。5月から、現在の職場に移り、スタートアップ支援の仕事にかかわっています。
仕事を始めて思っていることを教えてください。
Nさん
今の会社は、最初から仕事を任せてくれるのは良いのですが、任せる前にもっとやり方を教えてもらいたいです。研修制度を充実させてほしいですね。
理想的な上司について教えてください。
Nさん
ダメな点は、きちんと叱ってくれる人がいいですね。否定からはいる上司は絶対ダメ。中高年の男性に多いですね。まずは、こちらの話を聴いてもらいたいです。
理想的な仕事について教えてください。
Nさん
好きなことを仕事にしたいです。しばらくパラレルキャリアを実践し、10年後に地方再生に関連したビジネスの起ち上げを考えています。世の中は不安定なので、自分で生きていく力をつける必要があると感じています。周りの友人も、起業したり、海外で就職したりと、比較的アグレッシブな人が多いですね。
働き方で優先していることを教えてください。
Nさん
仕事は時間内で終わらせ、残業、休日出勤はしません。先日も、上司から休日の用事を依頼され、議論になりました。仕事とプライベートはきっちり分けたいですね。
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Z世代の特徴
Z世代は、柔軟な働き方やワークライフバランスを求める傾向があります。Z世代の主な特徴は、以下の6点です。「安定は自分で築くもの思考」「プライベート重視」「タイパ重視」は、日本のZ世代特有のものです。
項目 | 内容 |
---|---|
デジタルネイティブ | インターネットやスマートフォンなどのデジタル技術に慣れ親しんでおり、情報収集やコミュニケーションに活用しています 。デジタル技術を使った新しい働き方や学び方にも興味があります 。 |
多様性や社会問題に関心 | 多様性や社会問題に対して関心が高く、自分の意見や感情を表現したり、行動したりします 。自分らしさや個性を大切にするとともに、他者との共感や協力を重視します 。 |
目的や意義を求める | 自分の仕事や学習に対して目的や意義を求める傾向があります 。自分の能力や価値を高めるために、学習やスキルアップの機会を求め、社会的な貢献度や価値観を重視します 。 |
安定は自分で築くもの思考 | 日本のZ世代は、社会的に不安定な時代を生きてきたことから、安定した収入を得られる職種や職業を好む傾向があります 。一方で、インタビューしたNさんのように、どこでも通用できる人間になりたい、起業家を目指したいといった方々もいます。安定は自分で築くものという意識が強いです。 |
プライベート重視 | 日本のZ世代は、仕事とプライベートのバランスを重視します 。仕事にすべてをささげるような働き方は好まず、自分の時間や趣味を大切にします 。 |
タイパ重視 | 日本のZ世代は、短い時間で効率的に成果を出すことが望ましいと考えます 。時間厳守や納期遵守などの時間管理能力が高く、無駄な会議や残業を嫌います 。 タイパ:タイムパフォーマンス |
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会社や上司のZ世代に対する接し方・指導方法
仕事を依頼する際には、意義を意識する
Z世代には、社会は不安定という根底の価値観があります。大企業がリストラする、会社を売却する、コロナで雇用を調整するといったケースをたくさん見てきています。大企業に入社しても安定はなく、安定は自分で築くものという意識が強くあります。
常に成長の機会を求めており、成長が感じられない仕事は、早い段階で見切ります。意味のない仕事、理不尽な仕事に対しては、敏感に反応します。Z世代には、次のような点を意識し、かかわる必要があります。
- 仕事を依頼する際には、その仕事の背景や目的を話す
- その仕事が、どのように成長につながるのか話す
- 事前の説明、勉強会の実施や、研修プログラムを整える
体験や経験の解釈は、実は自分自身の意味づけ次第です。同じ経験でも、ある人は「いい経験になった」と感じ、別の人は「無意味な経験だった」と思うかもしれません。結局、経験をどう意味づけるかは、本人の捉え方です。上司は、期待していること、会社の置かれた状況、仕事の意義を、取り繕うことなく誠実に、Z世代に伝えていく必要があります。
柔軟に、オープンなコミュニケーションを意識する
インタビューの回答にもありましたが、Z世代は「否定からはいる上司は絶対ダメ。」と、権威的な態度に、とても抵抗を示します。現在の中高年が経験してきた会社生活とは、180度違います。
- 意見は言うな、指示に従え
- 相談する前に、自分で考えろ
- 前例がないからダメ
35年前、私が新入社員だったころの会社です。
Z世代は、これでは動きません。Z世代から話を持ち掛けられた時、上司には、次のように、誠実に対話する姿勢が求められます。もちろん、説明は、相手の状況を見て、必要に応じて行いますが、意識することが大切です。
- 否定、意見せずに、話を聴く
- 話をしてくれた行為に感謝を示す
- 依頼事項の場合、受け入れられない場合は、理由を説明する
- 前例がなくとも、良いアイディアは、別途議論するなどの対応をとる
時代が激変している中、柔軟な発想が求められています。Z世代に向けた対応というより、現在のビジネスを生き抜いていくために必要な姿勢かもしれません。
フィードバックとメンタリングを提供する
Z世代は、不安定な社会を前提としています。その結果、安定的な公務員になる人と、起業家を目指す人の二極化の傾向があります。両者とも不安を前提としているため、上司のフィードバックはとても大切です。
無理にほめる必要はありませんが、やってくれた仕事を認め、感謝の気持ちをもつことが必要です。その上で、良い点、改善が必要な点を、正直に伝えます。インタビューでも「ダメな点は、きちんと叱ってくれる人がいいですね。」と、Nさんは答えています。
Z世代の中には、ちょっとしたことで悩みを募らせ、ネガティブに考え過ぎる人がいます。
- 自分は本当に成長できているのか不安だ
- 自分は昇格が遅い気がするが、この仕事向いていないのではないか
- 自分は仕事ができない人なのではないだろうか
- この仕事を続けていて、将来何になるのだろう
上司が相談を受けた場合、否定、意見せずに、まずは話を聴きます。ただ、上司も回答に困ることがあるかもしれません。上司に相談せず、いきなり辞める人もいるかもしれません。Z世代は、ほぼ全員が転職アプリを登録していると言われており、対応を誤った場合の退職リスクは高いと考えたほうがよいでしょう。
Z世代が自由に相談可能な、社外コーチングを設けるのも退職リスクを下げる一つの方法です。弊社の提供するじぶんコーチングも、社外コーチングの一つで、ネガティブに捉える癖を改善することが可能です。詳細は、こちらを参照ください。
効率性と試行錯誤のプロセスから得られるもののバランスの大切さを伝える
Z世代は、仕事とプライベートを分けることを強く意識します。インタビューでも「仕事は時間内で終わらせ、残業、休日出勤はしません」と、Nさんは答えています。タイパを重視し、無駄会議や非効率な作業を嫌います。
- ただ進捗を話しているだけの目的があいまいな会議
- 資料を読んでいるだけの研修
- 毎日残業する管理職や中高年社員
こうしたことに抵抗感を示します。Z世代は、動画を倍速で見ると言われますが、必要な情報を効率的に取得する、目的を効率的に達成したいと思う気持ちが強くあります。
一方で、仕事では、試行錯誤や地道な作業など、一見非効率なことが、後々「あの経験が成長につながった」と思うことがあります。トライ&エラーを繰り返すことで、解決の糸口が見えてくることがあります。仕事は効率的に進めるのが大事ですが、試行錯誤の経験から得られるものも確実にあります。上司には、効率性と試行錯誤のプロセスから得られるもののバランスの大切さを伝えていくことが求められます。
若手社員の育成の難易度が上がる中、筆者の考える育成方法をこちらにまとめました。
まとめ
Z世代とは、1990年代後半から2010年代前半までに生まれた方々です。デジタルネイティブといわれ、グローバル感覚や多様性を尊重する傾向があります。
Z世代に対しては、次のようなかかわり方が求められます。
- 仕事を依頼する際には、意義を意識する
- 柔軟に、オープンなコミュニケーションを意識する
- フィードバックとメンタリングを提供する
- 効率性と試行錯誤のプロセスから得られるもののバランスの大切さを伝える
Z世代は、安定は自分で築くものといった意識があり、仕事に対し非常に真剣に向き合っています。会社も上司も、相手を敬い、真剣に向き合う必要があります。
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