新入社員の価値観、求めること、転職、不安、課題は?育成、教育はどうする?

法人のお客様ー若手育成

「Z世代は何考えているか分からない」「若手の離職率が高まっている」「新卒がキャリアが見えないと言う」。最近、多くの職場で聞く声です。環境変化が激しく、世代感の価値観に大きな違いが見られるようになりました。

一方で、多くの学生のスキル、知識、経験などの中身は以前と変わらないようです。社会の変化を感じ、合わせなければと思うが、力がないため不安で一杯、といった状態です。会社にはジョブ型雇用や生産性向上が求められる中、ビジネスマナーの基本から教える育成は、時代に合わなくなってきているのかもしれません。

東京商工会議所が、「2023年度新入社員意識調査集計結果」を公表しました。新入社員の会社や仕事に対する思いを見ていきます。

   

   

    

就活は回復傾向

就職活動は、57.9%が「順調」または「ほぼ順調」だったと回答しています。コロナ前の2019年度に近い数値です。就職活動は、以前の状態に戻ってきているようです。

出所:2023年度新入社員意識調査集計結果/東京商工会議所

10人中2人が転職を意識

定年まで働きたいは、24.4%です。10年前は39.1%、ほぼ2/3に減りました。転職を考えている人は、20%です。10年前は11.5%、ほぼ2倍となりました。徐々にですが、独立を考えている人も、上昇しています。

定年まで働きたいと思っている人は10人中3人もおらず、転職を意識している人は10人中2人です。人の寿命が、会社の寿命より長くなったと言われています。若者は、時代の変化を敏感に察知しているようです。

出所:2023年度新入社員意識調査集計結果/東京商工会議所

職場のいごこちを重視

就職先の決定で重視したことは、「社風、職場の雰囲気」がトップで、60%です。「経営方針、経営計画、社是」は16.8%、「社会への貢献度」は11%です。

若者は、居心地よく働けることが大事で、経営方針や社会貢献はそれほど重視していないようです。以前「若者の離職」で紹介しましたが、新入社員が短期間に離職する理由は、次とおりです。

  • 肉体的・精神的に健康を損ねた
  • 人間関係がよくなかった
  • 自分がやりたい仕事とは異なる内容だった
  • 仕事が上手くできず自信を失った

心身の健康に影響を及ぼすことに関係しているケースが多く、会社選びにも表れているのかもしれません。

出所:2023年度新入社員意識調査集計結果/東京商工会議所

不安は、普通にやっていけるか

社会人生活において不安に感じていることトップ3は、「仕事と私生活とのバランスが取れるか」「上司・先輩・同僚とうまくやっていけるか」「仕事が自分に合っているか」です。「仕事を通じて自分が成長していけるか」は18.7%です。

新入社員は、成長できるかよりも、普通にやっていけるかに不安を感じています。社会人生活に慣れることが、第一のようです。

出所:2023年度新入社員意識調査集計結果/東京商工会議所

ビジネスマナーの習得が、いまだ課題

入社時までに身につけるスキル・知識について、新入社員と会社の比較です。差が大きい項目は、「ビジネスマナー」「電話応対」「経済社会に対する一般的な知識」などです。

ほとんどの項目で、会社側の期待値に達していません。昨今、ジョブ型雇用、自律的キャリアが注目されています。会社が入社時までに身に着けてほしいスキル・知識は、パソコン、ビジネスマナー、電話応対、経済一般知識です。以前から変わっていませんが、新入社員には、まだ不足があるようです。

出所:2023年度新入社員意識調査集計結果/東京商工会議所

成果を出すことに焦り

社会人基礎力について、新入社員と会社の比較です。差が大きい項目は、「規律性」です。計画力は、新入社員は重視するが、会社はその半分以下の数値となっています。

仕事をする上で大事にしたい項目に大きな差異はありませんが、会社は特にビジネスの基本を大事にしています。新入社員は、考え抜く力が比較的高く、成果を出さなくてはという気持ちが表れているようです。

出所:2023年度新入社員意識調査集計結果/東京商工会議所

求めるは、優しい上司

理想の上司トップは、「仕事の指導を丁寧に行うこと」59.8%です。次は、「部下の意見や考えを真摯に聞くこと」45.9%です。明確な考えや理念を持っていることは15%、部下に仕事を任せることは4.5%です。

新入社員は、優しい上司を求めているようです。普通にやっていけるかという不安を反映しているのかもしれません。

出所:2023年度新入社員意識調査集計結果/東京商工会議所

理想の上司イメージ

最後は、理想の上司イメージです。憧れの人でしょうか。

出所:2023年度新入社員意識調査集計結果/東京商工会議所

まとめ

新入社員の会社や仕事に対する思いを見てきました。主な結果は以下のとおりです。

  • 就活は回復傾向
  • 10人中2人が転職を意識
  • 職場のいごこちを重視
  • 不安は、普通にやっていけるか
  • ビジネスマナーの習得が、いまだ課題
  • 成果を出すことに焦り
  • 求めるは、優しい上司

新入社員の価値観が、就社から就職に変わってきたと言われます。しかし、多くの学生のスキル、知識、経験などの中身は以前と変わらないようです。社会の変化を感じ、合わせなければと思うが、力がないため不安で一杯、といった状態です。会社はジョブ型雇用や生産性向上が求められる中、ビジネスマナーの基本から教える育成は、時代に合わなくなってきているのではないでしょうか。教育システムから見直す時期に来ているのかもしれません。

(関連ブログ:新入社員が早期に退職。理由、働きがい、不安や悩みは?どう育成する?

   


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ピープルエナジー代表 伊集院正

22年間、⾦融IT・リスクのコンサルティングに従事。ITリスクチームの拡大や金融セクター設立に貢献。この間、優秀な多くのコンサルタント育成に関与。2020年、国家資格キャリアコンサルタントを取得。2021年に⼈材コンサルティングを開始し、企業の従業員や働き手に対し、心理学の理論を活用したコーチングを提供中。
   
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