労働政策研究・研修機構(JILPT)が、「デジタル人材の能力開発・キャリア形成に関する調査研究」を公表しました。本日は、この中から、IT人材の能力開発やキャリア形成に関わる意識を見ていきます。
私自身、ITに関わる業務やコンサルティングに長く携わってきました。日経コンピュータを定期的に購読し、セミナーに参加するなどして、新しい技術の情報収集に努めていました。ただ、自分の強みが、技術でないことは、早い段階から分かっていましたので、基本的な仕組みの把握に留めていました。それでも、毎月のように新しい技術や取り組みが出てくる世界で、キャッチアップはとても大変でした。
最初は、IT人材が、技術のレベルアップのために行っている取り組みです。
技術レベルアップの取り組みは、限定的
IT企業、ユーザー企業共に、取り組み最多は、「資格取得」「雑誌やウェブサイトを通じた独学」です。特に、IT企業は、比率が高くなっています。「大学、専門学校などでの学習」は、IT企業で1.0%、ユーザー企業で2.8%と、とても低くなっています。「特に何もしていない」が、20%以上あります。
IT技術のレベルアップの取り組みは、8割の方が何らか実施しており、半分ぐらいの方は資格取得と独学が中心です。国内のIT人材が足りないと言われている中、IT人材の技術のレベルアップに、さらに時間とお金をかける必要がありそうです。海外では、仕事をしながら、大学に通い、最新技術を学ぶ方が多くいます。7年前の前職の話ですが、アメリカの40代の同僚は、デジタルを学ぶために大学に通っていると言っていました。日本でも、本格的に技術を習得するために、働きながら大学や専門学校に通えるような環境づくりが求められます。
出所:デジタル人材の能力開発・キャリア形成に関する調査研究/JILPT
将来のキャリア目標を持っている方は、IT企業で4割
次に、IT人材のキャリア観です。8割以上の方が、「技術の変化に合わせて自分もスキルアップしなければならない」と思われています。7割以上の方が、「新しい技術やスキルを学ぶのは楽しい」と答えています。一方で、6割の方が、「今の仕事をずっと続けたい」、しかし「今のままでは自分はいつかこの仕事を続けていけなくなる」と考えています。同様に6割の方が、「自分の将来のキャリアに対して強い不安」と共に、「自分の職種・企業では、これ以上のキャリアアップは望めないのではないか」と感じています。将来のキャリア目標を持っている方は、IT企業で4割となっています。
仕事はやりがいがあり、学びも楽しいが、6割の方がキャリア目標がないため、このままでいいのかと不安感を募らせています。キャリア目標が明確になることで、学びにかける時間とお金も見えてきます。キャリアコンサルティングなどを活用し、キャリアを考える機会が必要です。
出所:デジタル人材の能力開発・キャリア形成に関する調査研究/JILPT
IT人材の5割が、転職の経験あり
IT人材の5割の方が、転職の経験があります。今後も、より条件が良い仕事があれば転職を考えるが、6割を超えています。IT技術は、どこの会社でも通用しますので、IT人材は転職に抵抗感はないようです。自由だからこそ、キャリアの目標を特定しずらいのかもしれません。
出所:デジタル人材の能力開発・キャリア形成に関する調査研究/JILPT
まとめ
IT人材の能力開発やキャリア形成に関わる意識を見てきました。転職には抵抗はないが、キャリア目標のある方は4割です。技術レベルアップの取り組みは、もっと時間とお金をかける余地があります。キャリア目標が曖昧なのも、取り組みが十分でない理由の一つと考えられます。日本のIT人材が成長し、また増えていくためにも、IT人材一人一人のキャリアに目を向ける必要があります。
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