国の考える人的資本経営。個人が能力を磨き、柔軟に職場を変わる社会

法人のお客様ー人的資本経営

政府の第15回「新しい資本主義実現会議」が開催されました。人への投資が要諦とされており、国の人材育成の考えを知ることができます。重点投資「人への投資と分配」の「スキルアップを通じた労働移動の円滑化」から、主な論点を見ていきます。

    

施策の進捗

まずは、「スキルアップを通じた労働移動の円滑化」の実行計画を振り返りたいと思います。計画は、次の2点です。

  • 労働移動を促進するため、働き手のスキルアップや人材育成策の拡充を図る
  • 誰もがキャリアコンサルティングを受けれる体制を整備する

現時点では、リスキリング、転職までを一気通貫で支援する仕組みがスタートしたところのようです。今後、キャリアコンサルティングの充実や、人材開発助成の条件見直しが予定されています。

委員の主な意見

各委員の意見から、興味深いものを記載します。

働き手は、受け身でなく、主体的に自分の価値を上げることが重要であり、スキルに加え人間力が必要と言われています。学生の頃から、企業人が関与したキャリア教育が重要とされています。経験豊富な社会人は、これからの若者にとって、最高のお手本であり、メンターとなり得ます。

②人への投資
・働き手側には、主体的に自分の価値を上げるという考えを持ち続けることが重要であり、また、
スキルだけでなく倫理や哲学、人間力も必要な要素。
・こうした素地を育むために、国として中・高からのキャリア教育の充実をはかり、その際、企業人も協力する仕組みづくりを進めていくことが重要。

(太字は筆者)
出所:「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」フォローアップに関する意見/塩野義製薬株式会社 澤田 拓子

ジョブ型、プロフェッショナル型雇用への移行を、急ぐべきとの意見です。環境に合わせ、機動的かつ柔軟に変化する雇用モデルが理想です。

1-1ジョブ型・プロフェッショナル型雇用
ChatGPTの出現など、DXとGXの破壊的イノベーションがさらに加速・継続し、人的資本集約型産業の優勢がますます顕著になるなかで、人的資本が会社横断的かつ社内でも部門横断的に適時最適配置され、かつ時代的な変化のなかで生産性向上のための適時的確な人材への投資、能力開発、リスキリングを行い続けるには、ジョブ型あるいはプロフェッショナル型の雇用形態・人事体系(採用、処遇、評価)への移行は喫緊の必須事項である。この際、労使ともに日本的メンバーシップ雇用への未練を捨て、高速かつ大幅な産業変容に対応できるオープンかつダイナミックな雇用モデルに転換しなければ、賃金上昇は停滞し、日本企業群の衰退は加速するばかりである。

(太字は筆者)
出所:第15回新しい資本主義実現会議 意見書/株式会社経営共創基盤(IGPI)IGPIグループ会長 冨山和彦

ChatGPTに関する意見です。資料作成など知的労働と言われていた領域にも、影響が及びそうです。

今後 、2、3年以内に 、全ての ホワイトカラーの仕事に 何らかの影響がある可能性が高い。 米国の 80% の労働者の少なくとも 10% のタスクに、また 19% の労働者の 50% のタスクに影響が あるという試算も ある 。特に、高賃金、参入障壁の高い産業に影響が 大きい。日常的な業務だけでなく、法務、会計・税務、医療、コンサルティング、マーケティング、教育等、多くの業界に広範な影響が予想される。

(太字は筆者)
出所:2023年 3月 29 日 第 15回 『新しい資本主義実現会議』 提出資料/東京大学 松尾 豊

働き手の能力を上げ⇒適性な給与を支払い⇒成長産業への移動や適材適所を進める、の流れです。適材適所の仕事に就くためには、何の能力を上げるかが大事です。私がコーチングを提供しているからではありませんが、働き手が本気で〇〇をやりたいと思うことが、最も大切だと考えています。

新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」フォローアップにおける重点課題は、

能力向上支援、職務給の確立、円滑な労働移動、という

三位一体の労働市場改革を、働く人の立場に立って進めること

特に円滑な労働移動を推進していく必要がある

そうでないと、それぞれの活躍場所が十分に得られず

成長にも、自己実現にも、社会的課題にもつながらない範之

出所:3月 29 日 開催第 15回 『新しい資本主義実現会議』 提出資料/東京大学 柳川範之

まとめ

「新しい資本主義実現会議」から、「スキルアップを通じた労働移動の円滑化」の主な論点を見てきました。目指しているのは、『個人が能力を磨き、柔軟に職場を変わる』世界です。そのためには、全ての働き手を対象とした、適材適所を見つける仕組みが必要です。コーチングやキャリアコンサルティングは、その一翼を担えます。

(関連ブログ:キャリア相談の効用は?迷いが消え、自律的にキャリアを考えはじめる

(関連ブログ:セルフコーチングの効果

   


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ピープルエナジー代表 伊集院正

22年間、⾦融IT・リスクのコンサルティングに従事。ITリスクチームの拡大や金融セクター設立に貢献。この間、優秀な多くのコンサルタント育成に関与。2020年、国家資格キャリアコンサルタントを取得。2021年に⼈材コンサルティングを開始し、企業の従業員や働き手に対し、心理学の理論を活用したコーチングを提供中。
   
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