仕事において読解力をつけるには?定義、メリット、対応方法を解説

個人のお客様ーキャリア

  • 文書を理解するのが苦手だ
  • 場の状況を理解するのが苦手だ
  • 相手の立場で考えるのが苦手だ

本記事は、こんな悩みや疑問を解決します。

経済協力開発機構(OECD)が実施した国際成人力調査(PIAAC)において、日本は読解力で2位となりました。ただ、45歳以上の読解力が低下しているようです。以下は、日本経済新聞HPの記事です。

日本の成人、世界トップ級の知力 若年層がけん引

国際成人力調査「PIAAC」 分析と評価

経済協力開発機構(OECD)が実施した国際成人力調査(PIAAC)で、日本は前回1位だった読解力と数的思考力で2位、初めて試した問題解決能力で1位と好成績を維持した。調査は11年ぶりで、31カ国・地域が参加。日本は進学率の向上などを背景に、平均得点の高い若年層が全体の水準をけん引した。

・・・

レベル1以下の低い習熟度の割合は10.4%で参加国・地域の中で最も少なかったが、2011年の前回調査より4ポイント増加した。

調査を担当する国立教育政策研究所の担当者は「45歳以上で読解力の低下が大きいことが、習熟度レベル1以下の人が増えた理由だと考えられる」と分析する。

年齢層別でみると、25〜34歳の平均点が301.1点で最も高かった。35歳以降は右肩下がりで、45〜54歳は287.4点、55〜65歳は267.7点だった

*太字は筆者
出所:日本経済新聞HP

読解力は、仕事の様々な場面で求められます。本記事では、読解力とは、読解力をつけるメリット、読解力をつける方法について解説します。

「メタ認知力をつけ活き活き働く」ヒントを、ほぼ週次でお届けします。新着ブログやKindle本もご案内します。

ご登録いただいた方には、Kindle本人に仕事を振ることができない人ができるようになった話無料プレゼント中

     

読解力とは

読解力とは?

読解力とは、文章の意味を正しく理解し、筆者の意図を読み取る力です。読解力には、書かれている文章を読むだけではなく、人の話を正確に聞いて理解する、顔色から相手の気持ちを推し量る、場の空気を読みとることも含まれます。

読解力とは、次のような力です。

  • 文章の意味を読み取る力
  • 書き手の意図を読み取る力
  • 相手の話を理解する力
  • 相手の気持ちを推し量る力
  • 場の空気を読み取る力

読解力不足から生じる問題

読解力の不足から生じる問題には、次のようなものがあります。

  • 文章の大事な点が分からず、要約できない
  • 資料や文献を読んでも、自分の意見を整理できない
  • 相手の意図を正確に読み取れず、誤った行動をとる
  • 仕事の背景を理解できず、マニュアルから外れたケースに対応できない
  • 発言や意見の一部だけを取り上げ、自分の都合のいいように解釈する
  • 他者の立場や価値観を全く認めようとせず、自分たちの立場と価値観、論理だけで物事を判断する

読解力の高い人の文章の読み方

読解力の高い人と低い人の文章の読み方には、次のような違いがあります。

項目読解力の高い人読解力の低い人
文章の読み方考えながら読むことが習慣になっており、文章の意味を深く理解できます文字を目で追うだけの読み方なので、本質が理解できません
語彙の習得語彙力を増やす努力により、難しい単語や表現を習得できます知らない言葉を調べないため、語彙力が増えず、理解が浅くなります
整理し理解する習慣情報を整理・要約することが習慣になっているため、読んだ内容を確実に理解できます要点を整理せず、なんとなく分かったで終わることが多くあります
よく接する文章難しい文章を読むことが多く、常日頃から脳に負荷がかかっていますSNSや短文記事など簡単な情報ばかりに触れているため、脳が難しい文章に慣れていません
クリティカルシンキング批判的思考をもっているので、情報を鵜呑みにせず、正確な情報を取得できます情報をそのまま鵜呑みにするため、誤った情報を信じてしまいがちです

  

読解力をつけるメリット

読解力をつけるメリットです。

メリット説明
ミスが減る情報を正確に理解できたり、文章の意味を正しく読み取れるようになるため、仕事でのミスが減ります。議事録などから、決定事項や自分がやるべきことを明確に理解できます
スピードが上がる短時間で要点をつかみ、重要な情報とそうでない情報を瞬時に見分けられます。文書の結論や要点を、短時間で把握できます
論理的思考がつく文章を論理的に整理しながら読むことになるため、物事を順序立てて考える論理的思考がつきます。問題解決の能力や合理的な判断の向上にもつながります
コミュニケーションが円滑になる相手の意図を正しく理解し、認識齟齬のない受け応えができます。会話中、「この人は何を伝えたいのか?」といった意識が働くため、誤解のないの円滑なコミュニケーションが可能です
クリティカルシンキングがみにつく情報をそのまま受け取るのではなく、「この内容は本当に正しいのか?」と疑問を持ち、検証する習慣が身につきます。インターネット上の情報を鵜呑みにせず、信頼性のある情報か見極めるようになります
わかりやすい文章を書ける文章の要約と敷衍(ふえん)ができるようになり、読み手に分かりやすい文章を書くことができます。相手に、短時間で納得感のある内容を伝えることができます

読解力をつける方法

読解力をつける方法です。

読解力が高い人は、脳の様々な機能が働いている

読解力が高い人は、次のように、脳の複数の領域を連携させて情報を処理しています。

  • 視覚野(後頭葉):文字を認識する
  • ウェルニッケ野(側頭葉):言語の意味を理解する
  • ブローカ野(前頭葉):文章の構成を考える
  • 前頭前野:推論や批判的思考を行う
  • 海馬:記憶を整理し、新しい知識と結びつける
  • 扁桃体:感情を処理し、文章への共感を深める

一方で、読解力の低い人は、脳の一部しか使われていません。脳は神経細胞がつながることで、できないことができるようになります。筋トレと同じで何度も練習することで、つながりの強度が強くなります。誰でも、練習することでできるようになります

読解力がつくすぐできる方法

考えながら読む

  • ただ文字を追うのではなく、「この文章の要点は何か?」「筆者の主張は?」と問いかけながら読みます
  • 文章の背景や目的を考えることで、理解が深まります

知らない言葉は都度調べる

  • 知らない言葉に出会ったら、すぐに意味を調べます
  • 語彙が増えると、文章の細かいニュアンスまで理解できるようになります

文章を要約する

  • 読んだ内容を頭の中で整理し、「結局、この文章が言いたいことは何か?」と考えます
  • 短い言葉で要約することで、内容が自分の言葉として記憶されます

文章を敷衍する

  • 主旨に従って、自分の言葉で言い換えを行い、より詳しく、わかりやすく表現します
  • 行間を読めるようになり、文章の奥深い意味を理解できます

難しい文章に挑戦する

  • すぐに理解できないような論説文や専門書を読むことで、脳に負荷をかけます
  • 論理的な思考回路が鍛えられ、自然に論理思考ができるようになります

批判的思考を持つ

  • 文章を読んだときに、「これは本当に正しいのか?」と批判的に考える習慣をつけます
  • 情報や物事を、客観的にみることができます

永続的に読解力をつける方法

立場も考え方も異質な人とつき合う

  • 外国人、居住地、年齢、職業、性別、役職などが、自分とは異なる方々と意識的に付き合うようにします
  • 誰でも自分と異質だと認識した人に対しては、不安や恐れ、嫌悪感など、マイナスの感情を抱きがちですが、異質なものに触れることで、自分の予想外の相手の反応や考え方、感じ方を知ることができます
  • 自分の考えが唯一正しいわけではないことが分かり、物事を客観視する力、異質を受け入れる寛容の精神が育ちます

主観を取り払い、客観視する習慣を身に着ける

  • 先入観や既成概念を取り払い、自分の思い入れや主観を取り払って、客観的に対象と向き合います
  • 物事を見るとき、人はつい自分の主観、経験を基に考え理解しがちですが、ほとんど場合、自分の思考の癖が出た偏った見方になっています
  • 自分の思考の癖を意識することで、物事の本質の理解に近づけます

右脳と左脳で考える

  • 物事を考える時、右脳を使い自分が見えていない範囲(絶対ありえないようなアイディア)まで考え、出てきたアイディアを左脳を使い単語に置き換えます
  • 人はつい自分の見える範囲、知っている範囲で物事を考えがちですが、絶対ありえないようなアイディアを検討することで、現実味のある一歩先のアイディアを見つけることができます
  • 右脳で一歩先の新しいアイディアを見つけ左脳でアイディアを具体化します

        

まとめ

読解力は、仕事の様々な場面で求められます。本記事では、読解力とは、読解力をつけるメリット、読解力をつける方法について解説しました。読解力とは、文章を読む力だけではなく、次の全ての力を指します。

  • 文章の意味を読み取る力
  • 書き手の意図を読み取る力
  • 相手の話を理解する力
  • 相手の気持ちを推し量る力
  • 場の空気を読み取る力

読解力は脳を鍛えることで、誰でもできるようになります。日頃から考えながら読む、要約する、語彙を増やす、難しい文章に挑戦するなど、意識的に脳を使うことです。読解力をつけることで、状況を正確に読み取り、的を射た対応をとることができます。仕事をうまくこなすために、より良い人生を生きるために、とてつもなく強力なスキルです。

参考図書

読解力の強化書/佐藤優/2021年10月1日/株式会社クロスメディア・パブリッシング

  

「メタ認知力をつけ活き活き働く」ヒントを、ほぼ週次でお届けします。新着ブログやKindle本もご案内します。

ご登録いただいた方には、Kindle本人に仕事を振ることができない人ができるようになった話無料プレゼント中

ピープルエナジー代表 伊集院正

22年間、⾦融IT・リスクのコンサルティングに従事。ITリスクチームの拡大や金融セクター設立に貢献。この間、優秀な多くのコンサルタント育成に関与。2020年、国家資格キャリアコンサルタントを取得。2021年に⼈材コンサルティングを開始し、企業の従業員や働き手に対し、心理学の理論を活用したコーチングを提供中。
   
【メルマガをお送りします】
ご希望のお客様は、メルマガ登録ページよりご登録お願いします。
   
【お問い合わせお待ちしています】
人材育成のお悩みがございましたら、法人、個人問いませんので、ぜひお気軽にお問い合わせください。誠実をモットーに対応させていただきます。

関連記事

アーカイブ