- 仕事が遅いと言われる
- 期限に間に合わない事が多い
- 気持ちに不安があり遅くなる
本記事は、こんな悩みや疑問を解決します。
仕事を早く仕上げることは、ビジネスマンにとって重要な技能です。2022年の日本の時間当たり労働生産性は52.3ドルでOECD加盟38カ国中30位です。順位は 1970 年以降で最も低くなっています。生産性は品質とスピードのバランスです。生産性を高めるためにも、仕事のスピード向上は必須です。
出所:労働生産性の国際比較2023/公益財団法人 日本生産性本部
本記事では、仕事が遅いといわれる場面、仕事が遅い原因、仕事が遅いを克服するヒントを説明します。
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目次
仕事が遅いといわれる場面
最初に筆者の記憶に残っている、仕事が遅いと感じたケースをご紹介します。
No. | ケース | 状況 |
---|---|---|
1 | 2週間かけた計画は数ページのパワポ修正のみ | 中途入社のAさんに、プロジェクト計画書の作成をお願いしました。前職で経験したことがあるとのことだったので、目的、期間および予算を伝えた上で、形式やボリュームはお任せしました。1週間後に「進捗どうですか?」と聞いたところ、「他事案のプロジェクト計画の資料を調査しているところです」との返事がありました。「粗くても良いので、まずは自分の考えでラフなドラフトを作成して」と伝え、1週間後に見せてもらうことにしました。1週間後、他事案の計画書を基に一部修正した数ページのパワーポイントが差し出されました。「ワークプランニング表は?」と聞くと、まだ手を付けていませんとの回答でした。 |
2 | 1ヶ月悩み続けるが施策が出ず | あるサービスラインの売上が低迷していることから、Bさんに売上向上の施策検討を依頼しました。Bさんの検討結果を基に1ヶ月後、関係者で検討会議を開催することにしました。1ヶ月後の会議でBさんから提出されたのは、3名の担当者へのヒアリング結果と抽象的な言葉が並ぶパワポの資料のみでした。「1ヵ月何をやっていたの?」と聞くと、仮説を立てようと考えたが思い浮かばず、とりあえず3名にヒアリングしたがそれでも仮説が思い浮かばずヒアリングを中止したとのこと。いくつか施策を考えたが上手くいきそうになく、結果的に期限がきてしまったとのことでした。 |
3 | 3ページの英訳レビューに10日間かかる | ある英語が得意と言われているCさんにA4 3ページの英訳のレビューをお願いしました。1週間経っても音沙汰がなかったので、こちらから問い合わせました。まだ終わっていないので、もう少し待ってくれと言われました。数日で対応できるだろうと思い、期限を特に伝えていませんでした。お願いした時に「対応可能ですか?」と聞いたところ「わかりました」との返事をいただいたので、大丈夫だろうと安心していました。依頼した日から10日経って、レビュー結果が戻ってきましたが、大きな修正ありませんでした。 |
4 | 1年経っても起業せず | 知り合いのDさんが会社を辞め起業すると伝えてきました。すごいなと思い「がんばって応援しているよ!」と声をかけました。それから1年経ち状況を聞いてみたところ、まだ起業しておらず週3日のアルバイトを始めたとのこと。理由を聞いて見ると、条件がそろわない、環境が悪いなどと話していました。 |
仕事が遅い原因
先のケースを基に、想定される原因を考えてみました。
No. | ケース | 想定される原因 |
---|---|---|
1 | 2週間かけた計画は数ページのパワポ修正のみ | Aさんはプロジェクト計画の立案スキルが不足しています。前職で経験があったようですが、パワーポイントのプロジェクト計画書テンプレートを修正すれば良いと考えていたようです。プロジェクトの目的達成に向けプラニングするスキルが不足しています。 |
2 | 1ヶ月悩み続けるが施策が出ず | Bさんは事実を確認せず推論で結論を出しています。実際にはやってみないと分からないのですが、やる前から否定的に推論する思考があります。また失敗を過度に恐れるあまり、何もできなくなっています。 |
3 | 3ページの英訳レビューに10日間かかる | Cさんには「~べき」の完璧思考があります。完璧思考があると次のように考えます。 ・正確なレビューをしなければならない ・評判どおりの英語力を見せなければならない ・このレビューコメントで相手からの評価が決まるので失敗は許されない 自分の評価を高めたいという気持ちが強く、ありのままの自分を肯定できていません。 |
4 | 1年経っても起業せず | Dさんには本当にやりたいと思う気持ちがありません。リスクを乗り越えるだけの意思が育っていません。やりたいことは起業ではない可能性もあり、自分に向き合うことができていません。 |
仕事が遅いケースから原因をまとめると、次のようになります。
- スキルが不足している
- 否定的に推論する
- 完璧思考がある
- やりたいと思っていない
仕事が遅いを克服するヒント
ここからは原因別に仕事が遅いを克服するヒントを説明します。
スキル不足を克服する
スキル不足を解決するには次の取り組みが有効です。
- リサーチは3つまで
リサーチの対象は3点で充分です。書籍なら3冊、Webサイトなら3サイト、事例なら3ケースです。肝になる部分は似通っており、筆者の経験では凡そ8割はカバー可能です。リサーチに時間をかけるのはもったいないので、対象件数を決めて取り掛かることをお勧めします。
- 全体感をつかむために具体的に考える
全体感をつかむために具体的に考えるとは、一見矛盾しているように思えるかもしれません。全体スケジュールや大きなマイルストーンをおさえた上で、一部でよいので成果物ごとにタスクを細分化したワークプランニング表を作成します。全体感だけ考えていても限界があり、具体的な作業レベルでイメージしないと作業ボリュームがつかむことはできません。
- 優先づけは全体感をつかんでから
仕事の優先順位は、重要性に加え、ボリュームや待ち時間も考慮する必要があります。待ち時間が3日ある仕事の場合は、先に手をつけ、待ち時間の間に別の仕事を行うなどの工夫が必要です。仕事の優先づけは、重要性に加え、前述の全体感をつかんでから行うのが有効です。
- 朝は考え昼は作業
仕事の進め方や優先がズレると、せっかく時間をかけて仕上げても台無しになります。進め方や優先など考えることは朝行い、作業や会議は昼に行うのがお勧めです。また考える時はPCは使わず、紙に書きながら考えると思考がより深まります。
もっとスキルについて知りたい
否定的な推論を克服する
否定的な推論を克服するためには、実験のつもりで「小さくやってみる」習慣を身に着けることです。ポイントはアイディア一覧を目の前にして、頭の中で勝手に結果のシミュレーションをしないことです。全ては実験と考え、とにかく情報を集めることに専念します。情報が揃ってくると、自ずと打ち手が見えてきます。
- アイディアを全て列挙
頭に思い浮かぶアイディアや施策は、全て列挙します。主観でよいので、効果の度合いを1~5点で評価します。また実現可能性も1~5点で評価します。最後に合計点の多い順に並べます。
- 小さく試してみる
最も高い点の施策を、小さく試してみます。新商品であれば、仲の良いお客さんに聞いてみる、既存アンケ―トに質問を追加してみる、SNSで反応を見るなど、自由に考えます。
- 結果を基に次の施策を考える
結果がおもわしくなければ、次に点数が高い方法を小さく試してみます。結果が良ければ、テストとして実施できるよう企画をまとめます。
失敗を恐れないようになりたい
完璧思考を克服する
完璧思考を克服するためには、「自分の考えは世の中に受け容れられるか?」と常に問うことです。
自分の考え | 自分の考えは世の中に受け容れられるか? |
---|---|
昔はこのやり方だった。今もこのやり方でなくてはダメだ | 昔と今は環境が変わり常識と言われることも変わってきています。世の中に受け容れられません |
自分は上司にこう教わった。うちの会社ではこの方法でやらなければダメだ | 過去上司に教わったことが、今も同じように正しいとは限らず、不都合があるのなら柔軟に対応する必要があります。世の中に受け容れられません |
過去はこれで上手くいった。今回も同じやり方が良い | 過去上手くいったからといって、この場が上手くいくとは限りません。世の中に受け容れられません |
自分はこうして上手くいった。部下も同じ経験をさせたほうが良い | 自分が上手くいったからといって、他者が上手くいくとは限りません。世の中に受け容れられません |
マニュアルにはこう書いてある。どんな時もマニュアルどおりやらないとダメだ | 全ての状況においてマニュアルどおりいくとは限りません。世の中に受け容れられません |
就業規則にこう書いてある。規則に従わないとダメだ | 就業規則は会社の正式ルールなので、遵守が必須となります。世の中に受け容れられます |
自己肯定感を高めたい
やりたいことを見つける
やりたいことを見つけるには、深く内省する習慣をつけることです。人は、内省により次のような成果を得ることができます。
- 過去を振り返ることで、忘れていた自分を再発見する
- 自己を分析することで、自分の価値観を知る
- 現状と変化した姿を分析することで、未来の選択肢が拡がる
とは言え内省に慣れていないと、なかなか実践は難しいものがあります。内省は、集中力、想像力、記憶力、やる気など脳のエネルギーを大量に使います。まず睡眠、食事、運動などで体調を整えることが大切です。気持ちの安定も必要ですので、「この瞬間は何となく落ち着くな」という場とタイミングを見つけます。ここまできて内省が可能となります。
- 体調を整える
- 気持ちが落ち着く場所・時間を見つける
- 内省する(思うことをそのまま書く)
内省する場合は、紙と鉛筆を用意します。経験上、紙に書く方がパソコンよりも思考し易いです。最初は頭に浮かんだ思考をそのまま書き出します。
- ゆったりと仕事したいなー
- 自然にかかわる仕事がいいなー
- お客さんの喜ぶ顔が見たいなー
- 人と接する仕事がいいなー
- 組織に所属せず自由に働きたいなー
などです。
内省を続けると「おっ自分はこんなことを考えていたのか」「これは考え過ぎだな」と、自分の思考に対し気づきがあります。自分自身を客観的に見れるようになってきます。
やりたい仕事をみつけたい
まとめ
本記事では、仕事が遅いといわれる場面、仕事が遅い原因、仕事が遅いを克服するヒントを説明しました。仕事が遅い原因にはスキルとマインドの両面があります。本記事で取り上げたケースでは次の4点が原因として見えてきました。
- スキルが不足している
- 否定的に推論する
- 完璧思考がある
- やりたいと思っていない
スキルもマインドも才能とは関係なく、トレーニングにより誰しも克服することが可能です。本記事には克服のヒントを記しました。もっと詳しく知りたいと言う方は、ぜひ文中に掲載した関連ブログをお読みください。
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