失敗が怖い、何となく不安、どうしたらいい?原因と対処法を解説

個人のお客様ーレジリエンス

  • 失敗が怖くて、仕事のモチベーションが上がらない
  • 何をするにも、失敗しそうな気がする
  • 失敗を恐れ、新しいことができない

本記事は、こんな悩みや疑問を解決します。少し古いですがOECDの失敗に関する調査結果をご紹介します。

2018年にOECDは、世界各国の 15 歳の子供を対象とした試験PISAにおいて、「失敗したときに他人が自分をどう思うかを心配する人」の比率を調べました。この結果、日本は77%と世界で5番目に高いことが分かりました。比較的アジアは高く、欧米は低くなっています。アジアや日本人には、子供の頃から失敗を恐れる気質があるようです。

世界の先端を走る国では、技術革新がどんどん起きています。失敗を恐れず、新しいことにチャレンジする人が多いことも理由の一つです。長く停滞する日本、失敗を恐れない人を増やしていく必要があるのではないでしょうか。

出所:Chapter 13. Students’ self-efficacy and fear of failure/OECDを基に加工

本記事では、失敗が怖いと感じる原因、失敗を怖がり過ぎることのマイナス面、失敗が怖くならない方法を解説します。すぐに失敗が怖くならない方法を知りたい方はこちらです。

     

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失敗が怖いと感じる原因

失敗が怖いと感じる原因にはの次のものがあります。

原因説明
自己肯定感が低い自己肯定感が低い場合、自分の価値や能力を低く評価します。失敗すると自分を責め自信を失うため、挑戦しない道を選ぶ傾向があります。
完璧主義完璧思考がある場合、自分や他人に対して高すぎる基準や期待を持ちます。失敗すると自分を否定し他人に厳しくあたるため、準備にこだわりすぎ行動できなくなります。
他人の評価を気にし過ぎる他人の評価を気にし過ぎる場合、自分の行動や結果に対して、他人の反応や意見を過剰に重視します。失敗すると他人に見下されたり、嫌われたりすると感じるため、失敗を避けようとします。
失敗した経験がトラウマになっている失敗した経験がトラウマになっている場合、過去に失敗したことで、深い傷や恐怖を抱えています。失敗すると過去の辛い記憶が蘇ったり、パニックになったりするため、同じような状況や場面を避けようとします。
失敗することを想像する失敗することばかりを過剰に想像する場合、自分の行動や結果に対し悪いことばかり考えます。深く考えることなく失敗すると最悪だと思いこみ、行動しないことを選びます。

   

コーチ
伊集院

私は25年前、初めて営業を経験しました。セミナー参加者にメールや電話で連絡し、提案につなげるというものです。メールに返信がない場合は、1週間後に電話するのですが、私はそれが苦手でした。お客さんに断られるのを、周りに聞かれたくないという意識がありました。周りに誰もいない時間帯や場所を選んで電話していました。これも「他人の評価を気にし過ぎる」ということかもしれません。

   

   

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失敗を怖がり過ぎることのマイナス面

失敗を怖がり過ぎることには、次のようなマイナス面があります。個人の成長も制限します。

個人のマイナス面

  • 新しい機会の喪失

失敗を避けようとするあまり、新しいことに挑戦する機会を逃します。成長や学びは、時には失敗から生まれます。機会の喪失は、自らの成長を制限することになります。

  • 創造性の低下

失敗回避を優先すると、新しいアイデアや新しい方法を模索する意欲が低下します。創造にはリスクを伴います。失敗を恐れすぎると、創造性を育めなくなります。

  • 自己成長の妨げ

失敗から学ぶことは、自己成長の一環です。失敗を怖れ避けることで、自分の弱点や改善点に気づく機会を逃します。結果、個人の成長が阻害されます。

  • リーダーシップスキルの制限

リーダーシップの発揮には、リスクをとり失敗の受け入れが伴います。失敗を怖がりすぎると意思決定が過度に慎重になり、発展や拡大に支障をきたします。

  • 過度なストレスと不安

失敗を避けようとする姿勢は、過度なストレスと不安を引き起こします。経験や挑戦の機会を楽しむことができず、モチベーション低下ややる気の喪失につながります。

     

「相対性理論」で知られるドイツ出身の理論物理学者アルベルト・アインシュタインは、次の言葉を残しています。

失敗したことのない人間というのは、挑戦をしたことのない人間である

アルベルト・アインシュタイン

日本社会のマイナス面

個人的な話ですが、筆者が新入社員になったのは1990年です。ちょうどバブルの後半でした。翌年の1991年からバブル崩壊が始まりました。あれから35年経ちましたが、日本経済は依然停滞しています。筆者は30年会社に勤めましたが、サラリーマンは小さな失敗を恐れチャレンジしない人が多いと感じています。

2024年1月31日の日本経済新聞に、「日本経済の再生人づくりが課題 現状維持の誘惑を断つ(大阪大学特任教授 大竹文雄氏)の記事が掲載されました。”新しいことを考えて挑む人を育て評価する仕組み”、今の日本に必要な取り組みだと感じます。

日本経済の衰退が続いている。デジタル化やグローバル化など世界の大変動に人材育成が追いつかないことも大きい。経済再生を担う働き手をどう育てるか。経済学者、大竹文雄・大阪大学特任教授に聞いた。

――教育システムのどこに問題がありますか。

「先進国に必要な人材教育ができていません。先端を走る国々では常に技術革新が起きている。新しいことを考えて挑む人を育て評価する仕組みがあるからです。いまだに日本はそう…

出所:日本経済新聞ホームページ

 

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失敗が怖くならない方法

失敗が怖くならない方法は、最悪と最良の想定です。

  • 最悪のシナリオを考える
  • 最良のシナリオになる理由を考える

最悪のシナリオを考える

失敗した時の最悪のシナリオを考えます。

例えば、ある案件のプロジェクトマネジャーを依頼されたが、不安があり引き受けたくないという方がいます。漠然とした不安です。ここで最悪のシナリオを考えてみます。

  • プロジェクトが失敗する
  • 会社や周りに迷惑をかける
  • 自分の評価が下がる
  • 周りから実力がないとみられる

さらにこのシナリオを具体化します。

  • プロジェクトが失敗する →プロジェクトの成果物が納期に間に合わない
  • 会社や周りに迷惑をかける →遅延した分のコスト(追加コスト・機会損失)が発生する。関係者に追加の稼働が発生する
  • 自分の評価が下がる →人事評価が前年より下がる???
  • 周りから実力がないとみられる →???

具体化していくと、実際の影響が見えてきます。実害はプロジェクトの遅延に関わるコストです。ただこれはプロジェクトのコンティンジェンシープランとして事前に想定しておくべきコストです。100%計画どおりに進むプロジェクトはほとんどありませんので、リスクを想定し準備しておきます。

人事評価が上がることは無いかもしれませんが、難易度の高いプロジェクトマネジャーを担った人の評価を、遅延したからといって大幅に下げるでしょうか。逆に会社はチャレンジした人を評価します。

最後の周りから実力がないとみられるは、客観的に考えると実害はありません。周りの見方も、本人の推測であり事実ではありません。

こうして考えると、プロジェクトマネジャーを引き受け、仮に失敗(納期に間に合わない)したとしても、本人に対する実害はほとんどないことが分かります。

最良のシナリオになる理由を考える

次は最良のシナリオになる理由を考えます。

先の例で考えると、最良のシナリオはプロジェクトが計画どおりいくことです。このシナリオになる理由を考えていきます。ポイントは根拠が多少あいまいでも、頭に浮かんだものは全て挙げるようにします。

  • プロジェクトマネジャーになる自分は、同規模案件のマネジメント経験がある
  • プロジェクトメンバーは経験者が揃っている
  • 納期、予算、成果物はリーズナブルな内容である
  • プロジェクトオーナーの当事者意識が強い
  • 不確定要素はあるが、検討期間が十分ある

上手くいく理由を考えると、一定数必ずでてきます。逆に、曖昧な点や不確定要素も見えてきます。

  • プロジェクトマネジャーの自分をサポートする人手が必要かもしれない
  • 不確定な要件の検討を早めに開始する必要があるかもしれない
  • 兼務のメンバーもいるので、経験豊富とはいえ稼働の調整が必要かもしれない

このように上手くいく理由を考えることで、上手くいく条件がそれなりに揃っていることに気づくと同時に、気になる点も見えてきます。行けそうだという気持ちを持ち、気になるところに事前に手を打つことで、プロジェクトの成功確率が上がります。

   

まとめ

本記事では、失敗が怖いと感じる原因、失敗を怖がり過ぎることのマイナス面、失敗が怖くならない方法を解説しました。失敗を怖がり過ぎることには、成長の機会を逃す、創造性や柔軟性を失う、人間関係に影響する、精神的な負担を増やすなど、多くのマイナス面があります。

失敗が怖くならない方法は、最悪と最良の想定です。

  • 最悪のシナリオを考える
  • 最良のシナリオになる理由を考える

最悪のシナリオを考えることで、仮に失敗しても実害が小さいことが分かります。最良のシナリオになる理由を考えることで、上手くいく条件がそれなりに揃っていることに気づくと同時に、気になる点もみえてきます。

失敗は受ける印象ほど実害はありません。長い目でみると、失敗を恐れ機会を逃すことによるマイナス面の方が大きいのです。力はあるのに失敗を恐れチャレンジしないのは、本当にもったいないです。多くの方が失敗の恐怖を乗り越え、成長につなげられることを願います。

  

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ピープルエナジー代表 伊集院正

22年間、⾦融IT・リスクのコンサルティングに従事。ITリスクチームの拡大や金融セクター設立に貢献。この間、優秀な多くのコンサルタント育成に関与。2020年、国家資格キャリアコンサルタントを取得。2021年に⼈材コンサルティングを開始し、企業の従業員や働き手に対し、心理学の理論を活用したコーチングを提供中。
   
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