中小企業の人材育成の実態は?人的資本経営が叫ばれるも人材投資は停滞

法人のお客様ー人的資本経営

東京商工会議所が、「研修・教育訓練、人材育成に関するアンケート」 結果を発表しました。人への投資の機運が高まっている中、企業の実態を見ていきたいと思います。

人材育成に関する中長期的な方針・計画の策定状況

出所:研修・教育訓練、人材育成に関するアンケート【集計結果】/東京商工会議所

社員数が増えるに従い、計画策定率が上がっています。ただ、社員数に関係なく、方針・計画ともに定めていない企業が20%以上存在しています。

立派な計画を策定せずとも、何らか方針は掲げておきたいところです。

研修・訓練に対する考え

出所:研修・教育訓練、人材育成に関するアンケート【集計結果】/東京商工会議所

社員に対する研修・教育訓練は、99%の企業が重要と考えています。しかし、予算を増やしたい企業は、約50%です。

教育は重要だが予算は増やさない企業が半数存在します。人材育成が重要だと本気で思っていないということでしょうか。人口が減り、中高年の働く期間が延びている中、残念な結果です。

研修対象者

出所:研修・教育訓練、人材育成に関するアンケート【集計結果】/東京商工会議所

直近1年の研修対象のトップは、「新入社員研修」です。2位は「若手社員研修(社会人2~4年目程度)」、3位は「中堅社員研修(社会人5~9年目程度)と、社会人歴が短い若手向けが多くなっています。今後は、「リーダー社員研修」「中堅社員研修」「管理職向け研修」と、中堅リーダー向けの研修を強化していく傾向にあります。シニア社員や経営層研修も高い伸び率を示しています。

全世代を対象に、世代ごとの人材育成を意識し始めています。

研修テーマ

出所:研修・教育訓練、人材育成に関するアンケート【集計結果】/東京商工会議所

直近1年の研修テーマトップは、「法務、コンプライアンス、リスク管理」です。2位は「コミュニケーション力、プレゼンテーション」です。今後は「技術、技能の習得・向上」も強化していきたいと考えています。そのほか伸び率が高いテーマとして、「品質管理、生産管理」「採用力向上、離職防止」があがっています。

最低実施の必要があるテーマだけでなく、生産性や品質に関わるテーマを意識し始めています。

課題

出所:研修・教育訓練、人材育成に関するアンケート【集計結果】/東京商工会議所

「研修・教育訓練を行う時間的余裕がない(業務多忙等)」がトップです。

人材育成は、優先度が、まだまだ低いということでしょうか。

まとめ

企業の人材育成の実態を見てきました。人への投資の機運が高まっているにもかかわらず、正直、残念な結果です。30%の企業が人材育成の計画をもたず、約50%の企業が人材育成の予算を増やす予定はありません。また、40%の企業が、業務多忙により研修を実施する余裕がないと答えています。

一方、対象とテーマには少し変化が見られます。対象は若手から全世代に広がりつつあり、テーマはコンプライアンスだけでなく生産性や品質にかかわるものが検討されつつあります。

ジョブ型雇用が指向され始め、複数社の就業経験が拡がり、個人と会社の関係が変わりつつある今、OJTだけに頼るわけにはいかなくなりました。貴重な人材にもっと活躍してもらうために、優秀な人材に選んでもらうために、今、本気で人材育成に取り組む時ではないでしょうか。

(関連ブログ:「人材版伊藤レポート2.0」(経産省)に見る人材育成の具体的な取り組み

ピープルエナジー代表 伊集院正

22年間、⾦融IT・リスクのコンサルティングに従事。ITリスクチームの拡大や金融セクター設立に貢献。この間、優秀な多くのコンサルタント育成に関与。2020年、国家資格キャリアコンサルタントを取得。2021年に⼈材コンサルティングを開始し、企業の従業員や働き手に対し、心理学の理論を活用したコーチングを提供中。
   
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