チームマネジメントの実態は?多くの管理職は部下育成の時間が不足

法人のお客様ー若手育成

JILPT(労働政策研究・研修機構)が、「労働政策研究報告書No. 217 2022」を発表しました。(https://www.jil.go.jp/institute/reports/2022/documents/0217.pdf)

本報告書の「第3章 管理職の職場マネジメント時間の不足要因について」から、管理職のマネジメントの実態を見ていきたいと思います。なお、ここでは課長を対象とします。

マネジメント時間の過不足

  • 足りている  39.4%
  • やや足りない 44.8%
  • 全く足りない 15.8%

「やや足りない」および「全く足りない」が、過半数を超えています。多くの課長が、マネジメントに費やす時間が不足していると感じています。

プレイング比率(プレイヤーとしての役割の比率)

  • 0- 30%  32.8%
  • 40-60%  31.7%
  • 70-100%  35.5%

35%以上の課長の仕事の7割以上が、プレイヤーとしての役割です。

マネジメント時間の過不足別、2020 年 10 月の労働時間が160時間未満/240時間以上の比率

  • マネジメント時間が足りている  19.2% / 4.3%
  • マネジメント時間がやや足りない  9.9% / 10.6%
  • マネジメント時間が全く足りない  4.2% / 17.5%

マネジメント時間が全く足りない課長ほど、労働時間が長くなっています。

マネジメント時間の過不足別、仕事以外の時間も大切にしている比率

  • マネジメント時間が足りている  52.4%
  • マネジメント時間がやや足りない  36.1%
  • マネジメント時間が全く足りない  11.5%

マネジメント時間が全く足りない課長ほど、仕事以外の時間を大切にしている比率が低くなっています。

仕事の特性別に見たマネジメント時間の過不足(仕事の範囲や目標がはっきりしている/していない)

  • マネジメント時間が足りている  60.7% / 42.2%
  • マネジメント時間がやや足りない 27.5% / 31.1%
  • マネジメント時間が全く足りない 11.8% / 26.7%

マネジメント時間が足りない課長ほど、仕事の範囲や目標がはっきりしていない比率が高くなっています。

仕事の特性別に見たマネジメント時間の過不足(自分のペースで仕事ができる/できない)

  • マネジメント時間が足りている   65.8% / 39.1%
  • マネジメント時間がやや足りない 24.9% / 24.1%
  • マネジメント時間が全く足りない  9.3% / 36.8%

マネジメント時間が全く足りない課長ほど、自分のペースで仕事ができない比率が高くなっています。

仕事の特性別に見たマネジメント時間の過不足(自分で仕事の順番・やり方を決めることができる/できない)

  • マネジメント時間が足りている   59.7% / 53.1%
  • マネジメント時間がやや足りない 30.9% / 18.4%
  • マネジメント時間が全く足りない  9.4% / 28.6%

マネジメント時間が全く足りない課長ほど、自分で仕事の順番・やり方を決めることができない比率が高くなっています。

仕事の特性別に見たマネジメント時間の過不足(職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる/できない)

  • マネジメント時間が足りている  58.0% / 50.0%
  • マネジメント時間がやや足りない 29.3% / 25.0%
  • マネジメント時間が全く足りない 12.7% / 25.0%

マネジメント時間が全く足りない課長ほど、職場の仕事の方針に自分の意見を反映できない比率が高くなっています。

統括する部下の現状別に見たマネジメント時間の過不足(部下の能力のばらつきが大きい/大きくない)

  • マネジメント時間が足りている   43.7% / 66.2%
  • マネジメント時間がやや足りない 40.4% / 28.8%
  • マネジメント時間が全く足りない 15.9% / 5.0%

マネジメント時間が足りない課長ほど、部下の能力のばらつきが大きい比率が高くなっています。

統括する部下の現状別に見たマネジメント時間の過不足(部下が育たない/育つ)

  • マネジメント時間が足りている  39.7% / 60.7%
  • マネジメント時間がやや足りない 41.8% / 32.2%
  • マネジメント時間が全く足りない 18.4% / 7.0%

マネジメント時間が足りない課長ほど、部下が育たない比率が高くなっています。

統括する部下の現状別に見たマネジメント時間の過不足(部下とのコミュニケーションが以前よりも必要になっている/必要になっていない)

  • マネジメント時間が足りている  44.3% / 61.1%
  • マネジメント時間がやや足りない 40.6% / 30.3%
  • マネジメント時間が全く足りない 15.1% / 8.5%

マネジメント時間が足りない課長ほど、部下とのコミュニケーションが以前よりも必要になっている比率が高くなっています。

統括する部署の管理(マネジメント)の自己評価/部下の指導や育成の自己評価

  • 0-50点   38.9% / 45.5%
  • 60-70点  32.7% / 31.2%
  • 80-100点 28.4% / 23.3%

部署の管理(マネジメント)の自己評価が高い課長ほど、部下の指導や育成の自己評価が低く、その差が大きくなっています。

まとめ

以上、管理職(課長)のマネジメントの実態調査を見てきました。

ここから、言えることをまとめます。

  • 50%以上の課長が、マネジメントに費やす時間が不足している
  • 35%以上の課長の仕事の7割が、プレイヤーとしての役割である
  • マネジメント時間が全く足りない課長ほど、労働時間が長くなっている
  • マネジメント時間が全く足りない課長ほど、仕事以外の時間を大切にしている比率が低い
  • マネジメント時間が足りない課長ほど、仕事の範囲や目標がはっきりしていない比率が高い
  • マネジメント時間が全く足りない課長ほど、自分のペースで仕事ができない比率が高い
  • マネジメント時間が全く足りない課長ほど、自分で仕事の順番・やり方を決めることができない比率が高い
  • マネジメント時間が全く足りない課長ほど、職場の仕事の方針に自分の意見を反映できない比率が高い
  • マネジメント時間が足りない課長ほど、部下の能力のばらつきが大きい比率が高い
  • マネジメント時間が足りない課長ほど、部下が育たない比率が高い
  • マネジメント時間が足りない課長ほど、部下とのコミュニケーションが以前よりも必要になっている比率が高い
  • 部署の管理(マネジメント)の自己評価が高い課長ほど、部下の指導や育成の自己評価が低く、その差が大きい

半分以上の課長は、マネジメントに費やす時間が不足しています。労働時間が長い ⇒ 裁量権がない  ⇒ 部下が育たない ⇒ 労働時間が長くなる、この悪循環に陥っているようにも見えます。

また、部署の管理(マネジメント)の自己評価に比べ、部下の指導や育成の自己評価が低いことは、部下の育成が思うようにできていないことの表れと考えられます。

環境が大きく変わり、社内の人材育成が困難な時代となりました。人的資本経営が叫ばれる昨今、人材育成は、社会全体で向き合い取り組んでいく必要がありそうです。

(関連ブログ:目指すは、人材投資と業績向上の好循環

ピープルエナジー代表 伊集院正

22年間、⾦融IT・リスクのコンサルティングに従事。ITリスクチームの拡大や金融セクター設立に貢献。この間、優秀な多くのコンサルタント育成に関与。2020年、国家資格キャリアコンサルタントを取得。2021年に⼈材コンサルティングを開始し、企業の従業員や働き手に対し、心理学の理論を活用したコーチングを提供中。
   
【メルマガをお送りします】
ご希望のお客様は、メルマガ登録ページよりご登録お願いします。
   
【お問い合わせお待ちしています】
人材育成のお悩みがございましたら、法人、個人問いませんので、ぜひお気軽にお問い合わせください。誠実をモットーに対応させていただきます。

関連記事

アーカイブ