人材不足時代を生き抜く。これからの新入社員の育て方

法人のお客様ー若手育成

  • 新卒がすぐ辞める
  • 若手がやる気がない
  • 人材が育たない

本記事は、こんな悩みや疑問を解決します。

先日、新入社員が入社から1ヵ月も経たないうちに辞めているというニュースを見ました。筆者の周りでも同じような話を聞きます。人材育成の難易度が上がった現在、上司にはコーチング的なかかわり方が求められています。

新規学卒者の離職状況/厚生労働省」に学歴別就職後3年以内離職率の推移が示されています。以下の図は大学卒の3年以内の離職率です。平成7年より一貫して、離職率はほぼ3割以上となっています

就職後3年以内離職率

     

  • 上段:3年目
  • 中段:2年目
  • 下段:1年目
出所:新規学卒者の離職状況/厚生労働省

本記事では、新入社員の考えや気持ち、新入社員育成の課題、これからの新入社員へのかかわり方について説明します。

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新入社員の考えや気持ち

新入社員の特徴

新入社員は、一般的に好奇心旺盛でフレッシュな視点を持っている一方、不安な気持ちも抱えています。新入社員のプラスとマイナス面の特徴をまとめました。

プラス面

特徴説明
好奇心が旺盛新入社員は、新しいことに興味を持ち学ぶ意欲が高いです。自分の知識を広げたり、スキルを向上させることに積極的です。
フレッシュな視点経験が少ないことから、新しいアイデアや視点をもっています。既存の問題に対して新たなアプローチを試みたり、新しい視点から課題を解決しようとします。

マイナス面

特徴説明
仕事が自分にあっているか不安仕事が自分にあっているかと不安に思っています。経験したことがないため、自分にどんな仕事が合っているのか分かっていません
この会社で自分が成長できるのか不安企業のホワイト化が進んだ副作用として、仕事が物足りなく成長できないと感じる方が増えています。
思ったような成果・業績が出せない不安スキルや経験が足りていないので、仕事の成果・業績が出せず焦って不安になります。

ここ最近の新入社員の傾向

ここ10年ぐらいで個人が仕事に求めるものが変化してきました。新入社員は、少なからず社会は不安定という価値観を持っています。大企業に入社しても安定はなく、安定は自分で築くものという意識が強まっています

最近の傾向

傾向説明
強い成長意欲常に成長の機会を求めており、成長が感じられない仕事は、早い段階で見切ります。
納得感を重視意味ない、理不尽と判断した仕事に対しては、敏感に反応します。
価値を重視時間の切り売りではなく、本当に価値があると信じるものに使命を全うしたいと思っています。
裁量を重視会社の規模にかかわらず、若手のうちから裁量を持てる現場で腕試しをしたいと思っています。
ワークライフバランスは必須ワークライフバランスを保てる職場で、自分のペースで成長したいと考えています。
強い自律心大企業に入社しても不安定なら、自分の判断でスキルを磨き、仕事をコントロールしたいと思っています。

      

新入社員育成の課題

新入社員育成の課題です。以前に比べ、育成の難易度が格段に高まってきています

忙しさによる育成時間の不足

管理職の95%がプレイングマネジャーになった現在、上司が忙しくて人材育成に時間を割けていません。上司にとって自らの仕事の成果を追い求めながら、新入社員の育成にも十分な時間を取るのは至難の業です。

育成者のスキル不足

競争の激化、価値感の多様化、テクノロジーの急速な発展、人口動態の変化などに伴い、これまでと同じやり方が通用しない時代となりました。背中を見て学べ、石の上にも3年などと言っていては、新入社員のほとんどが本当に辞めてしまいます。以前に比べ確実に人材育成のスキル難易度が上がっており、上司はなかなか追いつけていません。

育成者の意欲不足

管理職の95%がプレイングマネジャーになったことや、転職のハードルが下がってきたことから、上司の人材育成に振り向ける意欲が低下しています。新入社員の3割が3年以内に離職している状況も、「どうせ教えてもすぐ辞めるから」と育成の意欲をそぐ理由になっています。

育成貢献の評価不足

上司の役割は事業貢献と人材育成の2つですが、人材育成は評価が難しく、これまでは適正に評価されてきたとは言えません。この結果、事業貢献を優先し、人材育成は後回しになっていた感があります。最近になって、ようやく役員レベルに対しエンゲージメントスコアを評価基準とする流れが出てきました。

育成予算の不足

国をあげて人的資本経営が叫ばれていますが、2023年7月時点の企業におけるOff-JT受講率は8.3%、OJTを受ける機会のあった方は17.2%です。(出所:第13回 働く人の意識に関する調査/公益財団法人 日本生産性本部)毎年多少の変動がありますが、Off-JTは10%以内、OJTは20%以内です。人材育成にかける予算の少なさが想像できます。

 

これからの新入社員へのかかわり方

これからの上司に必要なかかわり方

時代が変わり、人材を取り巻く環境は次のような状況にあります。

  • 人材が不足する中、育成を急ぐ必要がある
  • 転職が広がり、辞めるハードルが下がった
  • 定型業務だけではなく、常に思考錯誤する仕事が増えた

「背中を見て学べ」では、いつまでたっても人が育ちません。「マニュアルどおりにやっておけ」では自ら考える人材にはなりません。以前に比べ手間暇がかかりますが、上司には次のようなコーチング的なかかわり方が求められています

  1. 相手を理解する:注意深く一人の人間として相手の話を傾聴し、相手の心の声を理解する
  2. 基本の型を教える:まずは仕事の基本的なやり方を丁寧に教え、できるという体験を得てもらう
  3. 伴走する:教えて終わりでなく、自立できるまでは1on1などを実施し伴走する
  4. 内省する:1on1では、本人に考えさせる時間を取り、気づきを促す
  5. 任せる:一人でできるようになったら、口出しせず任せる

かかわり方の例

入社したばかりの新入社員は、次のような不安な気持ちを抱えています。

  • 新しい仕事がちゃんとできるか不安だ
  • この仕事が自分の成長につながるのか
  • 失敗したらどうしよう

上司は、新入社員に安心感を与えてあげる必要があります。かかわり方の例を記載します。

かかわり方説明
人として相手を理解する安心感を与えるためには、まず相手を理解することが大切です。
・新入社員と十把一絡げにするのではなく、一人一人を理解する意識を持ちます
・能力、自主性、仕事の価値観、仕事を通じた自己実現、職場での人間関係、家庭、余暇などの情報を把握します
・必要があれば、プライベートの時間を活用するのも一案です
相手の関心事にからめ意義を語る相手の価値観や目標など関心のあることにからめ、仕事の意義やメリットを語ります。仕事に対する動機付けとなり、自発性を上げることができます。
具体的な行動を教える具体的な行動とは、計測でき、観察できるものです。「議事録を作成して」ではなく議事録テンプレートを基に項目ごとに記載方法を教え、やってもらいます。教え、指示する時は、次のことを意識します。
・あいまいな言葉を使わない
・聴き手に責任を押し付けるコミュニケーションはやめる
・部下の認知レベルを知っておく
・重要なことは最低3回繰り返す
・理由と目的を必ず伝える
できた点を認める行動を継続してもらうために、できている点を認めます(ほめる)。最初から成果が出るわけではないため、行動の目標をたて(1日〇回やろう、1週間続けてみようなど)、行動の目標が達成できたら認めるようにします。(目標よく達成できたね!など)
振り返りを習慣にする行動を振り返ることで、学び、改善していくことができます。ただ一人では、できないことに捉われたり、不安で自信を無くすこともあります。毎週10分でも上司と一緒に振り返る時間を確保します。慣れてきたら、本人一人で振り返る時間を確保してもらいます。

このように昨今、人材育成の方法が変わってきました。上司一人で対応するには限界がきているように思えます。筆者は社内外の中高年を若手の人材育成に活用することが一つの打開策になると考えています。詳しくは以下のブログをご覧ください。

  

まとめ

本記事では、新入社員の考えや気持ち、新入社員育成の課題、これからの新入社員へのかかわり方について説明しました。「背中を見て学べ」では、いつまでたっても人が育ちません。「マニュアルどおりにやっておけ」では自ら考える人材にはなりません。

人を育成するのは、手間暇かかります。これを避けていては、人材は育ちません。上司にはコーチング的なかかわり方が求められています

  1. 相手を理解する
  2. 基本の型を教える
  3. 伴走する
  4. 内省する
  5. 任せる

自身の成果を出しながら部下を育成しなけれならない上司にとっては、非常に厳しい時代です。中高年の人材を活用したり、育成担当の上司をもう一名つけたり、社外のコーチングを活用したりと、時代に合った方法を柔軟に探っていく必要がありそうです。

    

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ピープルエナジー代表 伊集院正

22年間、⾦融IT・リスクのコンサルティングに従事。ITリスクチームの拡大や金融セクター設立に貢献。この間、優秀な多くのコンサルタント育成に関与。2020年、国家資格キャリアコンサルタントを取得。2021年に⼈材コンサルティングを開始し、企業の従業員や働き手に対し、心理学の理論を活用したコーチングを提供中。
   
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