キャリアプランはどう作ればいい?定義、メリットから作り方まで解説

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  • キャリアプランとは
  • キャリアプランが分からない
  • キャリアプランに不安がある

本記事は、こんな悩みや疑問を解決します。

第15回 働く人の意識調査/公益財団法人日本生産性本部では、毎年、自分自身のキャリアプラン(私生活を含めた職業人生のプラン)を持っているかを質問しています。2024年7月の調査では、「明確なキャリアプランを思い描いている」は3.7%、「大まかなキャリアプランを思い描いている」は24.8%、「特に考えていない」は71.5%です。

出所:第15回 働く人の意識調査/公益財団法人日本生産性本部

働き手の7割の方が、キャリアプランについて特に考えていません。本記事では、キャリアプランとは、キャリアプランのメリット、キャリアプランの作り方について解説します。

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キャリアプランとは

キャリアビジョン、キャリアデザイン、キャリアプランの関係

キャリアビジョンとキャリアデザインは、キャリアプランの上位概念です。キャリアビジョンを思考し、キャリアデザインを考え、キャリアプランとして具体化します。次のようなイメージになります。

キャリアビジョン(長期的な理想・目標)

キャリアデザイン(ビジョン達成のための戦略)

キャリアプラン(具体的な行動計画)

   

それぞれの定義は以下のとおりです。

  1. キャリアビジョン
    • 自分が目指す姿、理想的なキャリアの状態です。自分がキャリアを通じてどのような人物になり、どのような業務に従事し、どんな影響を与えたいかです。
  2. キャリアデザイン
    • キャリアビジョンを達成するための大まかな方向性や枠組みです。自分がどの方向に進みたいのかを見極め、どんなキャリアを描くかを考えます。
  3. キャリアプラン
    • キャリアデザインを実現するための具体的な行動計画です。どのタイミングで何を実行するかを記載します。

キャリアプランの例

キャリアプランは一度決めたら終わりでなく、外的変化や自身の成長に伴い変わっていきます。長々と文章を作成するのではなく、自分の考えを一文に集約できるぐらい突き詰めて考えることをお勧めします。以下にキャリアプランの記載例を紹介します。

新卒からチームリーダーを目指すケース

項目
キャリアビジョンチームリーダーとして、メンバー全員が活躍できるチームを作り、部門の業績向上に貢献する
キャリアデザイン・リーダーシップを高め部下の育成に貢献し、部門全体の業績向上をサポートする
・業界の最新情報やトレンドを追いかけ、状況に柔軟に対応し続ける
・自らが成長しながら、他者やチームにも貢献するリーダーとなる
キャリアプラン1~2年目: 社会人としての基礎を身に着け、2年は業務スキルの向上に励む
3~4年目: 小規模なプロジェクトリーダーを担当し、チームのマネジメント経験を積む
4~5年目: チームリーダーとしてチームのマネジメントを担当し、業績向上と部下育成に関与する

営業からマーケティング職を目指すケース

項目
キャリアビジョンマーケティング部門で、戦略的なキャンペーンを立案、実行し、会社の業績向上に貢献する
キャリアデザイン・これまでの営業で得た顧客理解や市場の動向を活かし、マーケティング職の準備をする
・市場分析やデータ分析、デジタルマーケティングに必要なスキルを身につける
・得意とする顧客のニーズ把握を活かし、ターゲットマーケティングに注力する
キャリアプラン1~2年目:営業職として、顧客データや市場調査をもとにした営業活動を行う
2~3年目:マーケティング部門主導のプロジェクトに参加し、キャンペーンのデータ分析を担当する
3~4年目:マーケティング部門へ異動し、デジタルキャンペーンの戦略立案を担当する
4~5年目:複数のキャンペーンをリードし、実績を上げる

コンサルタントからコーチを目指すケース

項目
キャリアビジョンコンサルティングの経験を活かし、マインドとスキルに好影響を与えるコーチを目指す
キャリアデザイン・コーチングやキャリアコンサルタントのスキルを習得する
・心理学の学びを深め、理論に裏打ちされたコーチングを提供する
・伸び悩む働き手に対し、コーチングを受ける機会を広める
キャリアプラン1~2年目:コーチングやキャリアコンサルタントの資格を取得する
2~3年目:心理学を学びながら、コーチングの経験を積む
3~4年目:コーチとして独立し、伸び悩む働き手に役立つコーチングを提供する
4~5年目:クライアントを増やし、コーチの複数名体制を実現する

 

コーチ
伊集院

最後の「コンサルタントからコーチを目指すケース」は、筆者の例です。50歳からあれこれ考え始め、54歳でコーチとして独立し、現在に至ります。1年間は、ノートに書きながら自分の考えを整理しました。結果的に、ノート3冊に及びました。就活や転職だけでなく、いくつになっても人生の岐路においては必要ですね。

   

キャリアプランのメリット

キャリアプランを作成するメリット

キャリアプランを作成するメリットには、以下のものがあります。

理由説明
明確な目標が持てるキャリアプランを考えることで、自分がどこを目指しているか明確になり、日々の仕事に対する意欲が高まります。管理職になりたいと思っている人は、どのような経験を積むべきか、どんなスキルを身につけるべきかが見えてきます。目標が定まっていないと、仕事がうまくいかない時や心身が疲弊した場合、前に進むエネルギーが湧きにくくなります。
自己成長を促進できるキャリアプランを考えることで、自己成長を促すことができます。目標を達成するためには、必要なスキルを磨くための学習や、経験を積むため新たなプロジェクトに挑戦する必要があります。ビジョンに向かって計画的に努力することで、自分のスキルや能力が高まると同時に、仕事に対する自信がつきます。
進むべき道が見えて不安が減るキャリアプランを考えることで、漠然とした不安や未来に対する不安が減ります。人は見えないと不安を感じ、困難な道でも見えることで、不安が和らぎます。不安を感じることなく、確信を持って一歩一歩進むことができます。
仕事に対するモチベーションが上がるキャリアプランを考えることで、モチベーションが高まります。自分の理想とする未来が見えていると、日々の仕事にも意義を感じやすくなります。どんなに小さな仕事でも、将来のキャリアにどう繋がるのかを考えながら取り組むことで、仕事への熱意が増します。
柔軟に対応できるキャリアプランを考えることで、将来の不確実な状況に柔軟に対応できます。大きな環境変化があったとしても、変化に合わせデザインやプランを見直し、ビジョン達成に向け柔軟に環境に合わせた道を選択できます。


プランどおりいかないことも大切

ここまでキャリアプランのメリットを述べてきましたが、キャリアプランに固執し過ぎないことも大切です。変化が激しい現在、自分の価値観も外部環境の変化や成長に合わせて変わり続けます。「プランから外れた仕事は嫌だ」「プランに関係ない仕事はしたくない」と考えがちですが、プランにこだわらず目の前の仕事を一生懸命やることもキャリア形成には大切です。

頭で考えることは大事ですが、経験しないと分からないことは必ずあります。特に若いうちは経験が少ないので、考える範囲が狭くなり、可能性の幅を狭めることになります。「やる前は嫌だったけど、やってみたら楽しかった」「怖い人だと思っていたけど、話してみると優しく頼りになる人だった」。こんな経験、誰にでもあるのではないでしょうか。

人生には想定外のチャンスというのがあります。偶然の出会いをうまく生かすことで、その後大きく飛躍できたという事例は星の数ほどあります。キャリアプランのおぼろげなイメージを持ちつつ、目の前の仕事に一生懸命取り組むことで、キャリアは出来上がっていきます。それは当初のビジョンと異なるかもしれませんが、間違いなく自分が納得できるものです。

キャリアプランの活かし方は、次のようになります。

  1. 大きな方向性(キャリアビジョン・デザイン)を持つ
  2. その時々の選択に全力を尽くす
  3. 変化に柔軟に対応しながら、自分の成長につなげる

      

教育心理学者のクルンボルツが、偶然の重要性に言及しています。

未来は予測できないことだらけなので、将来この仕事に就くというような計画は絶対視すべきではない。偶然の出来事は、人のキャリアに大きな影響を及ぼし、かつ望ましいものである。偶然の重要性を認識し、利用し、積極的に生み出す必要がある。

     

コーチ
伊集院

筆者は、新卒で小売業界に就職し、1年で保険会社に転職、32歳の時にコンサルティング会社に移り、22年間働くことができました。当時はキャリアプランという言葉すら知らず、とにかく目の前の仕事をこなすのに必死でした。コンサルティングを目指したのは、保険会社でIT企画の仕事をしているうちに、外のクライアントと直接やり取りする仕事は、大変だけど夢中になれそうだと思ったのがきっかけです。

キャリアプランの作り方

キャリアビジョン、デザインを考える

キャリアビジョンとキャリアデザインを考えるには、次の3点を検討するのが有効です。(キャリア・マネジメント ー変わり続ける仕事とキャリアー/エドガー H.シャイン、ジョン・ヴァン=マーネンより)

  1. 価値観
    • これまでの経験から、自分が大事にしていること
  2. スキルと能力(コンピテンシー)
    • 他の人に比べ、自分は苦労せずできることや得意なこと
  3. 動機
    • 自分が望んでいること、やりたいこと

        

1.価値観

価値観は、全ての前提となります。自由に働く、安定した環境、直接人の役に立つなど、こうかな、ああかなと試行錯誤しながら、自分が大事にしていることを見つけていきます。

2.スキルと能力(コンピテンシー)

次は、スキルと能力(コンピテンシー)です。自分が得意なことです。得意なこととは、人はなかなかできないのに、自分は苦もなくできることです。

3.動機

最後は、動機です。今好きなこと、興味関心があることです。「○○のためにやる」「役に立つからやる」といった考えは一旦脇に置き、正直に今好きなことを思い浮かべます。リラックスできる環境で、落ち着いて自分に向き合うと見えてきます。

1→2→3の順序で考えます。最も時間がかかるのは、大事な価値観です。どんな状態が一番自分にとって心地よく活き活き働けるか、想像しながら絞り込んでいきます。

コーチ
伊集院

筆者の場合は、価値観は自分の意思で自由に働ける環境、スキルと能力(コンピテンシー)は漠としたことを深く考え見える化する、動機は働き手に役立つ心理学の研究です。まとめると、「自分の意思で自由に働きながら、働き手に役立つ心理学を、深く考え見える化する」です。

       

『キャリア・マネジメント ー変わり続ける仕事とキャリアー/エドガー H.シャイン、ジョン・ヴァン=マーネン』では、次のように述べられています。

あなたが経験を積むにつれて、これらの点に関して明確な考えをもつようになり、やがて、あなたは何が得意で、何が不得意なのか、何を望み、何を望んでいないのか、何に価値を置き、何に価値を置かないのか、という自己概念をもつに至ります。この自己概念があなたのキャリア・アンカーなのです。

・・・

キャリア・アンカーとは、意にそぐわないキャリアの選択を迫られた場合でも、どうしてもあきらめたくないと考えている動機・価値観の領域を組み合わせたものです。

*太字は筆者
出所:キャリア・マネジメント ー変わり続ける仕事とキャリアー/エドガー H.シャイン、ジョン・ヴァン=マーネン

        

キャリアプランを作成する

キャリアビジョン/キャリアデザインを基に、キャリアプランを考えます。前述したように、プランを詳細に作成する必要はなく、年度目標を一行で書くぐらいのイメージです。キャリアデザインをどのように実行するか考え、年度ごとに、何をどのように行うのか記載します。

  1. どのような経験を積めば目標に近づけるかを考える
  2. 必要なスキルをリストアップし、それを習得する方法を考える
  3. 年度ごとに何をどのように実施するのか記載する

記載に際しての留意点です。

  • 目標までの期間が長すぎると継続が難しくなりますので、3~5年程度の計画とします
  • 変化の早い時代ですので、随時見直します
  • 何か違うと感じたら、頑固になり過ぎず自分の直観に従い、方向転換します

時代も人も生き物です。方向を決めるのは大事ですが、固執しすぎないのが大切です。

まとめ

本記事では、キャリアプランとは、キャリアプランの重要性、キャリアプランの考え方について解説しました。キャリアビジョンとキャリアデザインは、キャリアプランの上位概念です。キャリアビジョンを思考し、キャリアデザインを考え、キャリアプランとして具体化します。

キャリアプランを作成するメリットは多々ありますが、キャリアプランに固執し過ぎないことも大切です。キャリアプランを活かすには、次のような姿勢で臨むことが大切です。

  1. 大きな方向性(キャリアビジョン・デザイン)を持つ
  2. その時々の選択に全力を尽くす
  3. 変化に柔軟に対応しながら、自分の成長につなげる

キャリアプランの土台となるのは、キャリアビジョンとキャリアデザインです。キャリアビジョンとキャリアデザインを考える際には、次の3点を検討することが有効です。

  1. 価値観
    • これまでの経験から、自分が大事にしていること
  2. スキルと能力(コンピテンシー)
    • 他の人に比べ、自分は苦労せずできることや得意なこと
  3. 動機
    • 自分が望んでいること、やりたいこと

自分の進む方向を決めることは大切です。ただ、変化に柔軟に対応し続けることがもっと大切です。最後にチャールズ・ロバート・ダーウィンの言葉を記します。

唯一生き残ることができるのは、変化できる者である

参考図書

  • キャリア・マネジメント ー変わり続ける仕事とキャリアー/エドガー H.シャイン、ジョン・ヴァン=マーネン、木村琢磨(監訳者)/2017年8月26日/株式会社白桃書房

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ピープルエナジー代表 伊集院正

22年間、⾦融IT・リスクのコンサルティングに従事。ITリスクチームの拡大や金融セクター設立に貢献。この間、優秀な多くのコンサルタント育成に関与。2020年、国家資格キャリアコンサルタントを取得。2021年に⼈材コンサルティングを開始し、企業の従業員や働き手に対し、心理学の理論を活用したコーチングを提供中。
   
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