自分の中のもう一人の自分とは?メリットとつくり方を解説

個人のお客様ーレジリエンス

  • 自分は何をやってもダメだなと思うことがある
  • 自分を変えたいと思っているができない
  • もう一人の自分を作ると良いと聞くが何のことか分らない

本記事は、こんな悩みや疑問を解決します。

「こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)」内閣府によると、”今の自分を変えたいと思うか”に対し、15歳から39歳の全ての年代において、6割を超える方が”今の自分を変えたい”と答えています。多くの方が、今の自分に満足していない現状が見えてきます。

出所:「こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)」内閣府

自分の中のもう一人の自分とは、悩んだ時や落ち込んだ時に、自分に対し「ここまでできたのだから後は楽しむだけ」とか、「うまくいかなくても失うものはないよ」など、気持ちが前向きになる声をかけてくれる存在です。精神的に追い込まれた時に、狭くなっている視野を広げてくれます

本記事では、自分の中のもう一人の自分とは何か、もう一人の自分をつくるメリット、もう一人の自分のつくり方について解説します。

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自分の中のもう一人の自分とは?

「恐れなければいけない唯一のものは、恐れそれ自体である」

この言葉は、アメリカが大恐慌に陥った時のアメリカ第32代大統領フランクリン・ルーズベルトの言葉です。恐れる気持ちは合理的な考えや発想を妨げ、力を100%発揮できなくなります。本来できるはずのことができません。この恐れに気づき、恐れを解消するのが、もう一人の自分です。

”もう一人の自分”とは、心理学のメタ認知力を指します。自分を第三者の視点で見る力です。日常的に、自分自身の思考や感情にのみとらわれていると、視野が狭くなります。”もう一人の自分”を持つことで、客観的に自分を観察でき、物事に対する冷静さや新しい視点が得られます

作家の柳田邦男が、次のように言っています。

人が生きていく途上では、様々な困難に直面するのは避けられない。そんな時、どうすればよいのか。一つの心得として、苦悩する自分を、少し離れた距離から見つめる「もう一人の自分の眼」を持つことを習慣づけるという方法がある。そうすると難事を乗り越える道が見えてくることが少なくない。

*太字は筆者
出所:自分を見つめる もうひとりの自分/柳田邦男/株式会社佼成出版社/2016年

もう一人の自分をつくるメリット

”もう一人の自分”をつくることで自分を客観視できるようになります。自分を客観視するメリットには、次のようなものがあります。

メリット
視野が広がる日々の生活では、どうしても自分中心の考えにとらわれがちです。自分の思考や感情に没頭すると、他者の立場や異なる意見が見えにくくなり、視野が狭くなります。
”もう一人の自分”は狭くなった視野を広げることができます
視野が広がることで、偏った判断や決めつけを避け、柔軟で合理的な行動がとれるようになります。
職場で何か問題が起きたとき、「なぜ自分ばかり大変なのか」と感じてしまうことがあります。
”もう一人の自分”を持つことで、「他の人はどう感じているだろうか?」と視点を切り替えることができます。  
感情が安定する人は、予期せぬ出来事や他人の言動に対し、不安、怒りや悲しみなどネガティブな感情を抱くことがあります。感情的になると思考が極端に偏り、冷静な判断ができなくなります。
”もう一人の自分”は下がった感情を安定させることができます
感情の安定により、感情に振り回されることなく、自分にとっても相手にとっても良い行動を選び取ることができます。
友人と意見が対立した際に、感情的になって関係がこじれてしまうケースがあります。
”もう一人の自分”を持つことで、「なぜ自分はこんなに怒っているのだろう?」「この感情をぶつけて何になるのだとう?」と、自分の感情を客観的に観察することができます
問題解決力が上がる多くの問題は、感情や思い込みによってどんどん複雑化していきます。自分を責めたり、極端に否定的な推測をしたりして、事実と考えを区別できなくなります。
”もう一人の自分”は問題の解決力を上げることができます
感情に任せた行動ではなく、客観的で的確な行動を選択できるため、問題解決がスムーズに進みます。
仕事でミスをし「自分はダメだ」「また失敗したらどうしよう」と自己否定に陥ると、萎縮し行動できなくなります。
”もう一人の自分”を持つことで、「どこに原因があったのか?」「具体的にどう改善すればいいか?」と冷静に問題を分析できます
成長するもう一人の自分との対話は、自分を深く理解することができます。
”もう一人の自分”は自己を成長させます
自己理解の継続は、人間を成長させる効果を持ちます。
”もう一人の自分”を持つことで、日々の活動について「何が成功に繋がったか」「どうしてあの時失敗したのか」と振り返ります。この繰り返しは、心の奥底にある価値観に気づくきっかけとなります

    

プロサッカー選手の橋本英郎は、次のように言っています。

例えば人生最大の挫折に打ちひしがれていたあのとき、絶望する自分と「そりゃこんなレベル高かったらそうなるわ」という客観的かつ冷静なもう一人の自分もいて、「100人中最下層」であることをまずは受け入れるという判断の手伝いをしてくれたのです。

このもう一人の自分はいまでもずっと自分の頭の中にいて、現役中はプレーする際にも的確な助言をたくさんくれました。周囲から見れば、それが自分のプレーを第三者視点でみられる、客観視できている、つまり視野の広さやプレー選択の幅につながっていたような気がします。

*太字は筆者
出所:1%の才能 特別な武器がなくてもプロとして成功する方法/橋本英郎/株式会社エクスナレッジ/2023年

  

コーチ
伊集院

”もう一人の自分”を持つメリットを一言で表すと、どんな時も機嫌良くいられるということです。筆者もこのスキルを身につけてから、憂鬱な気持ちになることがほとんど無くなりました。練習することで誰でも身につけることができます。次章では、筆者の例も示しながら、具体的な練習方法をご紹介します。

   

もう一人の自分のつくり方

“もう一人の自分”をつくるには、次のような方法があります。

  • 気持ちを書き出す
  • グループワークを通じて異なる考えに気づく
  • いつも冷静な人の言動を観察する
  • 友人からアドバイスをもらう

本記事では、誰でも、どこで、いつでもできる気持ちを書き出す方法を紹介します。

用意するもの

紙とペンです。紙はノート、手帳、メモ用紙と何でも良いですが、筆者のお勧めは裏紙です。裏紙は気兼ねなく書けるので、整理されていない自分の気持ちをありのままに書くには最適です。情報漏洩を避けるため、書いた紙を捨てる時はシュレッダーで裁断しましょう。

ペンは鉛筆、シャーペン、ボールペンと何でも大丈夫です。パソコンやスマホより手書きの方が、脳を刺激すると言われています。筆者も実感しています。

書き方の手順

具体的な書き方の手順です。もう一人の自分は、恐怖、悲しみ、怒り、焦り、緊張、落ち込みなど不快な感情が出ている時に効果を発揮します。気持ちを書き出す練習においても、不快な感情が出たタイミングをとらえて書きます。

感情と出来事を書き出す

自分が感じていることを、そのまま紙に書き出します。重要なのは、文章の上手さや構成を気にせず、思ったままに書くことです。きれいに書こうとせず、自分の言葉で書きます。

  • 今の不快な感情を表すと?

不快な感情をそのまま言葉で表します。例えば、「何か悲しい」「落ち込んだ」といった感じです。

  • 何があったか?

感情の背景となる出来事や状況を具体的に書きます。例えば「起業して成功している友人にアドバイスを求めたところ、お前の今のやり方ではダメだ。〇〇〇ができなければサラリーマンに戻った方がいいと言われた。」といった感じです。

  • どうして不快になったのか?

不快な感情が出てきた時の自分の思考を思い出します。例えば「自分のビジネスは成功しない。自分には力も度胸もない。」といった感じです。

コーチ
伊集院

筆者は二年半前に起業しました。なかなかビジネスが軌道に乗らず、起業家として成功している友人にアドバイスを求めました。事例はその時の筆者の気持ちです。以下の写真は、実際に筆者が書いたものです。(字が汚くてゴメンナサイ🙇)

「もう一人の自分」からの問いかけ

感情を書き出したら、次に「もう一人の自分」としてその内容を読み返します。「自分の友人や他人にアドバイスするような視点」で、自分に問いかけます。自分を少し距離を置いて見つめる感覚です。

  •  本当にそのことで落ち込む必要があるか?

①の紙を見ながら、自分に問いかけます。例えば、「これができたらビジネスは成功という基準はあるのか?」「できなかったら力がないと言える確証があるのか?」といった感じです。

  •  良い点、上手くいっている点はないのか?

続けて自分に問いかけます。例えば、「顧客からは感謝の言葉をたくさんいただだいているので、やっていることは間違っていない」「少しずつ固定客がついてきてくれている」といった感じです。

  •  問題を解決するには、何をすれば良いか?

続けて自分に問いかけます。例えば、「友人が指摘したようにもっとダイナミックな動きも必要」「大学や企業と連携した書籍の出版なども検討が必要」といった感じです。

自分の答えを書く

ここまでの問いかけから、自分自身の中で浮かんできた答えを書きます

  • 今の自分の具体的な気持ちは?

例えば、「今回はかなり落ち込んだ。自分が気にしている点を指摘されたからだろう。でも起業して3年以内にXXの規模にならなくてはいけないという基準はない。自分の中にべき論があったかもしれない。売上も大事だがそれより活き活き働く人を増やすために起業したことを忘れずにやっていこう」といった感じです。

具体的な行動を考える

最後は「次に何をすべきか」「今後どう対処すべきか」といった具体的な行動を考えます。必ず実行できるように、最初はちょっとがんばればできる小さな行動を設定します。

  • 次のアクションは?

例えば、「考えられる施策は全て試してみよう。商工会に加入し交流会に参加する、個人向けセミナーを開催する、論文作成のため大学院への入学を検討する。ますは商工会に加入し交流会に参加しよう。」といった感じです。

   

じぶんコーチングでもう一人の自分をつくる

まとめ

本記事では、自分の中のもう一人の自分とは何か、もう一人の自分をつくるメリット、もう一人の自分のつくり方について解説しました。

”もう一人の自分”とは、心理学のメタ認知力を指します。自分を第三者の視点で見る力です。”もう一人の自分”を持つことで、次のようなメリットがあります。

  • 視野が広がる
  • 感情が安定する
  • 問題解決力が上がる
  • 成長する

”もう一人の自分”つくる方法には、次のものがあります。

  • 気持ちを書き出す
  • グループワークを通じて異なる考えに気づく
  • いつも冷静な人の言動を観察する
  • 友人からアドバイスをもらう

本記事では、誰でも、どこで、いつでもできる気持ちを書き出す方法を詳しく紹介しました。”もう一人の自分”をつくる練習は、思考のトレーニングです。筋トレと同じで、練習することで必ずできるようになります。EQや感情知能と言われるスキルと同じです。ぜひお試しください!

       

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ピープルエナジー代表 伊集院正

22年間、⾦融IT・リスクのコンサルティングに従事。ITリスクチームの拡大や金融セクター設立に貢献。この間、優秀な多くのコンサルタント育成に関与。2020年、国家資格キャリアコンサルタントを取得。2021年に⼈材コンサルティングを開始し、企業の従業員や働き手に対し、心理学の理論を活用したコーチングを提供中。
   
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