1on1ミーティングが、多くの企業で拡がっています。
毎週、部下と1on1を実施しているという会社もあります。
しかし、キャリア相談など個人の内面にかかわる話は、まだ十分できていません。
部下の成長を支えるには、傾聴的かかわりを意識することが求められます。
Chatwork株式会社が実施した、20代〜70代の男女1438名を対象とした「上司・部下のコミュニケーション」に関するアンケート調査から、上司・部下のコミュニケーションの課題を見ていきます。
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目次
1on1の目的、話すこと、課題は?
60%が、上司・部下のコミュニケーションに課題を感じる
「上司・部下とのコミュニケーションに課題を感じていますか?」の質問に、20.7%が「とても感じている」、40.1%が「少し感じている」と回答しています。
60.8%の方が、何らかコミュニケーション上の課題を感じています。
出所:『Chatwork株式会社「上司・部下のコミュニケーションに関するアンケート調査」』
87%が、コミュニケーションの課題を解決したい
「コミュニケーションの課題を解決したいと思いますか?」の質問に、48.7%が「とても思う」、38.4%が「少し思う」と回答しています。
87.1%の方が、コミュニケーションの課題を解決したいと思っています。
出所:『Chatwork株式会社「上司・部下のコミュニケーションに関するアンケート調査」』
16.6%のみが、面談で本音が話せている
「上司・部下の個人面談では本音で話せていますか?」の質問に、16.6%が「話せる」と回答しています。
出所:『Chatwork株式会社「上司・部下のコミュニケーションに関するアンケート調査」』
話す内容は、進捗・方針・スキル・人間関係
「個人面談でよく話す内容はなんですか?」の質問に対し、トップは「業務進捗」です。
その後、「会社の方針」「スキルの向上」「人間関係」と続きます。
出所:『Chatwork株式会社「上司・部下のコミュニケーションに関するアンケート調査」』
話したい内容は、進捗・キャリア・スキル・方針
「個人面談で話したい・話すべきだと思う話題は何ですか?」の質問に対し、トップは同じく「業務進捗」です。
その後、「キャリア」「スキルの向上」「会社の方針」と続きます。
出所:『Chatwork株式会社「上司・部下のコミュニケーションに関するアンケート調査」』
41%が、月1回以上の面談を実施
「個人面談はどの位の頻度で実施されていますか?」に質問に対し、毎週が12.9%、2週間に1回が7.7%、月に1回が20.4%と回答しています。
41%が、月1回以上の面談を実施しています。
出所:『Chatwork株式会社「上司・部下のコミュニケーションに関するアンケート調査」』
83%が、個人面談は必要
「個人面談は必要だと思いますか?」の質問に対し、29.6%が「とても必要だと思う」、54.0%が「必要だと思う」と回答しています。
83.6%が、個人面談は必要と考えています。
出所:『Chatwork株式会社「上司・部下のコミュニケーションに関するアンケート調査」』
キャリア相談はできていない
83%の方が、個別面談は必要と回答されており、全員が年1回は実施し、41%は月に1回以上実施しています。
毎週実施している人も12.9%おり、面談というより業務の進捗確認に近いのかもしれません。
87%の方が、コミュニケーションの課題を解決したいと思われています。
本音で話せている方は16.6%で、「キャリア」のことを話したいが話せていないと感じています。
面談は頻繁に実施していますが、キャリア相談ができる場にはなれていません。
社内では、社内キャリア相談を目指す
キャリアの相談にも、深さがあります。
- 「自分がやりたいことが分からない」
- 「今の仕事にやる気がでない」
- 「仕事が向いておらず転職しようか迷っている」
こういった相談は、ネガティブな印象を恐れ、なかなか上司に相談できるものではありません。
一方で、次のような社内の行動に関しては、相談可能な方は多いと思われます。
- 「社内でどういうキャリアを歩んだら良いのか分からない」
- 「自分は3年後に昇格を目指したいが、何をしていけばよいか」
- 「将来、海外駐在を希望しているが、どのような業務を経験すればよいか」
上司・部下の利害関係、同じ企業の社員という関係から、多くの方にとって相談する内容には限界があります。
上司・部下の面談では、部下に本音で全てを話してもらう場ではなく、社内キャリアの相談ができる場を目指すことが現実的です。
(関連ブログ:キャリア相談の効用は?迷いが消え、自律的にキャリアを考えはじめる)
上司は、傾聴的かかわりを意識
社内キャリア相談をしてもらうためには、上司の傾聴的なかかわりが必要です。
傾聴とは、一般的に相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする聞き方です。
日常的に仕事で関係している場合、傾聴を実施するのは、難しい面があります。
完全な傾聴ではなく、傾聴的なかかわりを意識することをお勧めします。
面談を、業務進捗など物事を対象とする回と、部下という人間を対象とする回に分けます。
人間を対象とする面談は、内省の時間が必要なため、3ヵ月または半年に1回程度とし、部下にもそのことを事前に伝えておくとよいでしょう。
大事なのは、相手に、気持ちよく話してもらうを意識することです。
傾聴的かかわりとして、例えば次のようなことが考えられます。
- 面談は、自分の気持ちが落ち着いているタイミングで実施する
- 忙しく気持ちが安定しない場合は、面談前にマインドフルネスを実施する
- 相手とぎくしゃくしていても、相手に好意があると思い込む
- 面談前に10分、相手の立場になり、相手の気持ちや考えを想像する
- 面談は、45~60分とする(30分では内省が深まりにくいため)
- 面談では、絶対に発言を否定しない
- 相手が話している時は、相手を見て、あいづち、うなずき、「ええ」などの言葉で反応する
- 面談では、質問された時だけ、あくまで一般論として自分の意見を言う
- 話が抽象的な場合は、経験した場面を具体的に話してもらう(場所、人物、発言、気持ちなど)
- 面談で話が途切れた時は、ここまでの話を要約してあげる
- 沈黙は、「待っていますので、ゆっくり考えていただいて良いですよ。」と伝え、待つ
まとめ
上司・部下のコミュニケーションの課題を見てきました。
面談は頻繁に実施していますが、キャリアの相談ができるような場にはなれていません。
人が人を変えることはできません。
人が変わるのは、自分自身で変わりたいと思う時です。
しかし、人は人が変わるきっかけを作ることはできます。
その一つが、対話です。人は、他者から受け入れられた時に、初めて変わる勇気をもつことができます。
受け入れられるとは、相手が自分の話を、心から聴いてくれていると感じられた時です。
上司・部下の面談を通じて、人が育ち、組織の活性化につながることを願っています。
当社では、忙しい上司や管理職に変わり、じぶんコーチングという形で、社員の成長を支援しています。
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