仕事でついネガティブに考えてしまう。原因と解消方法を解説

個人のお客様ーレジリエンス

  • 仕事中ネガティブに考えることが多い
  • 新しい仕事をふられると失敗するかもと思う
  • 指摘されると自分はダメだと思ってしまう

本記事は、こんな悩みや疑問を解決します。ネガティブ思考が続くと、仕事のパフォーマンスやモチベーションに悪影響を及ぼす可能性があります。すぐネガティブに考えるのは、ネガティブ思考が癖になっているためです。癖に気づき客観視することで、ネガティブ思考から脱却できます。

State of the Global Workplace 2023 Report」/ギャラップ社によると、2022年の日本のエンゲージメントの高い従業員の比率は5%と世界最低です。従業員エンゲージメントは、従業員の仕事や職場への関与と熱意を表します。エンゲージメントには組織と個人の側面が影響しており、日本のエンゲージメントの低さは個人のネガティブ思考にも原因がある可能性があります。

出所:State of the Global Workplace 2023 Report/GALLUP

本記事では、仕事でネガティブに考える場面、ネガティブに考える原因、ネガティブ思考を解消する方法を解説します。

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仕事でネガティブに考える場面

よく見られる仕事でネガティブに考える場面です。

状況説明
失敗やミスをしたとき自分の能力や価値を疑ったり、上司や同僚に怒られたり、信頼を失ったりするのではないかと考え落ち込む
目標や期待が達成できなかったとき自分の努力が報われなかったり、周りと比べて劣っていると感じたり、将来に対する希望が持てなくなり落ち込む
人間関係に悩んだとき自分が孤立していると思ったり、人の悪口や陰口を言われていると感じたり、誰にも理解されないと思うようになり落ち込む
強いストレスやプレッシャーを感じた時仕事量が多すぎたり、期限が迫っていたり、難易度が高かったりすると、自分には無理だと感じ落ち込む

またネガティブに考える人は、次のような流れでネガティブ思考の悪循環にはまっているケースが見られます。

  1. 自分に高い目標を課す
  2. 目標に達しないことを過度に気にする
  3. うまくいかなかったことを考え続ける
  4. ネガティブな経験だけを取り出し考えるようになる
  5. 新しいことに対し失敗するのではと思うようになる

ネガティブに考える原因

ついネガティブに考えやすい人は生まれ持っての気質もありますが、これまでの環境による影響もあります。例えば次のような状況が考えられます。

  • 仕事で失敗し上司に激しく叱責され、失敗を極度に恐れるようになる
  • 信頼していた人に騙され、人間不信になる
  • しつけの厳しい親に育てられ、こうあるべきだという考えが染みつく

ネガティブに考え易い人は、自分の中のこうありたいという基準に達しない恐れがあると、自動的にネガティブな思考が出てきます。脳内でネガティブ思考が癖になっているのです。これは人間の心と言われる脳の前頭前野が、出来事に対し極端に偏った意味づけをしているために起こります。(以下の図参照)

      

偏った思考には、いくつかのパターンがあることが知られています。代表的な思考には次のようなものがあります。

偏った思考説明
一般化のしすぎ1つか2つの失敗や嫌な出来事だけを根拠に「いつも~だ」「すべて~ない」のように一事が万事式に考える。
自分への関連づけ良くないことが起こったとき、自分の関係ないことまで自分に原因があるかのように考える。
根拠がない推論はっきりした根拠がないまま結論を急ぎ、否定的にあれこれ考える。
感情による決めつけ客観的事実ではなく、自分はどう考えているかを手がかりにして、状況を判断する。
全か無か思考白か黒かをはっきりさせないと気が済まない。YesかNoか、善か悪か、敵か味方かなど、極端な判断をする。
すべき思考「~すべきだ」「~しなければならない」といった言葉で表現される考え方に固執する。
過大評価と過小評価自分の短所や失敗を実際よりも過大に考え、長所や成功を過小に考える。逆に、他人の長所や成功を過大評価し、短所や失敗を見逃すこともある。

  

自分の思考をチェック!

ここで思考の癖をチェックする簡単な質問を用意しました。下記の質問に回答ください。最も当てはまる数の多いをものがあなたの思考の癖です。自分の思考の癖に気づくヒントになると思いますので、気軽な気持ちでチェックしてみてください。

質問偏った思考
□ 「まぁいいか」が苦手で、完璧に仕上げようとする
□ 途中でやめるぐらいなら、はじめからやらない方がマシだと思う
□ 一つうまくいかないことがあると、すべてがダメに思えてくる。
全か無か思考
□ あいさつしても返事がないと、意図的に無視されたのではないかと考えることがある
□ 既読スルーをされると、嫌われたかと動揺する
□ そっけない態度を取られると、自分のことを嫌いになったのではないかと不安になる
根拠がない推論
□ 一度失敗すると、次に挑戦するときも同じ失敗を繰り返すのではないかと思う
□ 誰かにダメだしされたり注意されたりすると、みんなから責められているような気がする
□ ひとりに嫌われると、みんなに嫌われているのではないかという気がする
一般化のしすぎ
□ 第一印象で嫌悪感を抱く相手はとは、たいていうまくいかない
□ なんとなく嫌な予感がして不安になることがある
□ 目覚めの気分が悪いと、今日はロクなことがないだろうと憂鬱になる
感情による決めつけ
□ 些細なミスでも重要な過ちを犯したように落ち込むことがある
□ 他の人のような優れた才能が自分にはないと感じる
□ 周りの人はみんな自分よりできる人ばかりだと感じる
過大評価と過小評価
□ 自分の不用意な発言が相手に影響しないように気をつけている
□ 何か問題が起きると自分のせいではなかと不安になる
□ 不機嫌な人を目にすると、自分のことを怒っているのではないかと思う
自分への関連づけ
□ 何がしたいより、何が正しいかを考えて行動する
□ 何かをしてもらったら、その分きっちりと返さなければと思う
□ モラルやマナーを守れない人を見ると腹が立つ
すべき思考

ネガティブ思考を解消する方法

ネガティブ思考が癖になっている人は、出来事を歪めてとらえる傾向があります。解消の第一歩は、落ち込んでいる時に自分がどのような考え方をしているのか知ることです。認知の仕方について認知するので、これを「メタ認知」と呼びます。メタとは、後に、超えるの意味を持つ接頭語です。メタ認知の能力はメタ認知力と呼ばれ、次のように定義できます。

メタ認知力とは、事実でないことを客観的に認識しそこから距離を取れる力

            

         

このメタ認知力をつけるには、次の3点がポイントになります。

  • 思考と感情の見える化:見える化することで問題を客観的に見ることができ、感情が安定し、解決のアイディアが出やすくなります。
  • 異なる考えへの気づき:友人にアドバイスする気持ちになる、最悪のシナリオを考える、反証などをつうじて、異なる考えに気づいていきます。
  • 実験のつもりで小さな行動:実験のつもりで失敗してもよいと考え、小さな行動を繰り返します。

     

メタ認知力をつけるにはコーチングを受けるのが有効ですが、ここでは独りでできる「じぶんコーチング」をご紹介します。落ち込む出来事があったら、散歩などの気分転換をはかった後、以下の表に従い感情や思考を紙に書き出します

項目説明この欄を記載します
事実気分が落ち込んだり、辛くなった出来事を、具体的に記載します。
5W1Hを意識して記載します。
昨日午後、上司とのオンライン会議において、ある会議用の資料をレビューしてもらった。たくさん指摘をされ、最後に「こんな資料ではダメだ」、「目的をわかっているのか」と言われた。
感情その時の感情を0~100%の数字で示します。
主観で評価します。
焦り:  80%
悲しい: 70%
怒り:  50%
(感情ごとに0~100%で評価)
思考出来事に遭遇した時に、頭の中に思い浮かんだ思考を記載します。
気分ごとに考えると、書き出しやすくなります。
(まずは思い浮かんだことを書き出します)
自分は仕事ができない。何度も同じ注意を受けている。
これで今年の評価も良くない。上司も、もっと丁寧に教えてくれればいいのに。自分のこと嫌っているのか。
この人の下で働いていてもいいことない。いっそ転職しようか。
(感情ごとに整理します)
焦り: このままこの会社にいてもダメだ、何とかしないと
悲しい:がんばってるのに、自分は仕事ができない
怒り: 教え方も悪いはずなのに、自分ばかり責める
反証反対の思考を記載します。
反対の思考の根拠になりそうなことを、自由に書き出します。たくさん挙げることが大切です。少しでも関係ありそうであれば、躊躇せず記載しましょう。
(反対の思考)
上司から注意を受けることはあるが、自分は仕事ができないわけではない。
(根拠)
これまでの人事評価は際立って良くはないが、悪くもない。過去、上司に褒められたこともある。パワーポイントの資料は苦手だが、エクセルは得意だ。細かい数値を分析するのが好きだ。分析が求められる案件では、重宝されている。データ分析のニーズは増えており、活躍の機会は増えてきそう。現在、資格取得も目指しており、がんばっている。
今の感情ここまで振り返り、今の感情を評価します。焦り:  50%
悲しい: 50%
怒り:  30%
今の思考と小さな行動今の気持ちと、実行できそうな小さな行動を記載します。いろいろ注意を受けたが、自分の良い点もある。目的に沿った資料を作成するために、パワポ作業の前にノートに骨子を書いて目的に沿っているか確認しよう。

このようなテンプレートを使い反証という形で、強制的に視点を変えるようにします。慣れが必要ですが、一度習得すると、落ち込んだ時でも、冷静に柔軟な思考ができるようになります。感情が安定し、小さな行動であれば、実際にやってみようという気持ちが生まれます。

この思考法は、当社の「じぶんコーチングトレーニング」で習得することができます。詳しくはこちらをご覧ください。

まとめ

本記事では、仕事でネガティブに考える場面、ネガティブに考える原因、ネガティブ思考を解消する方法を解説しました。ついネガティブに考えてしまうのは、ネガティブ思考が癖になっているのです。解消の第一歩は、落ち込んでいる時に自分がどのような考え方をしているのかを知ることです。これはメタ認知力をつけることで、できるようになります。

メタ認知力とは、事実でないことを客観的に認識しそこから距離を取れる力

メタ認知力をつけるには、次の3点がポイントになります。

  • 思考と感情の見える化
  • 異なる考えへの気づき
  • 実験のつもりで小さな行動

本記事では、ネガティブ思考を解消する具体的な方法として「じぶんコーチング」をご紹介しました。ネガティブ思考に悩まれている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

     

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ピープルエナジー代表 伊集院正

22年間、⾦融IT・リスクのコンサルティングに従事。ITリスクチームの拡大や金融セクター設立に貢献。この間、優秀な多くのコンサルタント育成に関与。2020年、国家資格キャリアコンサルタントを取得。2021年に⼈材コンサルティングを開始し、企業の従業員や働き手に対し、心理学の理論を活用したコーチングを提供中。
   
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