傾聴とは?意味や仕事で活用する方法をわかりやすく解説

個人のお客様ーレジリエンス

  • 1on1で部下との対話が続かない
  • 部下とのかかわり方に悩んでいる
  • 傾聴しているがこれで良いのか分からない

本記事は、こんな悩みや疑問を解決します。

組織・チームのあり方の変化に関する意識調査/株式会社ラーニングエージェンシー(2021年10~12月)によると、管理職に求められるスキルや知識のうち、10年前に比べ特に重視されるようになってきたものは、「マネジメント(68.4%)」と「コーチング(50.1%)」です。(管理職の回答)

出所:組織・チームのあり方の変化に関する意識調査/株式会社ラーニングエージェンシー

管理職にコーチング力が求められる時代になってきました。コーチングの基本スキルとなるのは傾聴です。本記事では、傾聴とは、仕事で傾聴を活用する場面、傾聴の実践方法、仕事で傾聴を活用する時の留意点を解説します。

  

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傾聴とは

傾聴(けいちょう)とは、相手の話に深い関心を持ち、共感を示しながら真摯に聴くコミュニケーションの姿勢と技術です。心理学の分野で発展し、ビジネスや日常生活での人間関係構築にも応用されています。傾聴は耳で情報を受け取るだけでなく、相手の感情や意図の理解を目指すものです。

傾聴の効果

部下の話を傾聴する、顧客の話を傾聴する、配偶者の話を傾聴する、友人の話を傾聴するなど、傾聴は様々な場面で活用できます。傾聴することで、次のような効果が得られます。

効果説明
相手に安心できる場を提供する傾聴を通じて、話し手は自分の感情を安心して表現することができます。感情を受けとめてもらうことで、話し手は感情を安定させることができ、ストレスや不安が軽減します。
相手と信頼関係が築ける安心して話せる環境が、聴き手に対する信頼感を生みます。話し手と聴き手のこうした時間が続くことで、二人の信頼関係が強固になります。
相手の問題解決を促進する話し手は信頼できる人に自分の想いを話すことで、自分が考えていたことに気づき始めます。自分が何を求めているのかが分かり、問題に対する解決策が見えてきます。

        

コーチ
伊集院

筆者はこれまで人間関係で苦手なタイプの方がいましたが、傾聴を学び相手の話を意識して聞くようになり、苦手意識が減少してきました。

傾聴にまつわる誤解

ここでは傾聴にまつわる誤解を紹介します。

傾聴はがまんして聞くこと

傾聴はがまんして聞くことと思われている方がいますが、傾聴はがまんして聞くことではありません。傾聴は、自分が相手の役に立っているという感覚を持ちながら聞く態度です。がまんではなく、自分で選んで聞くものです。

訓練せずとも誰でも傾聴できる

一般的に相手の話声が聞こえていれば、人の話を聞くことができると考えがちですが、黙って話を聞くことだけが傾聴ではありません。傾聴は耳と目と心を使って、相手が話す自然の流れに身を任せ、相手の気持ちを受けとめ、うなずきなどの反応を用いることで相手が変わっていく技術です。聴く側には、安定した心と高い技術が求められます。

傾聴はいつでもできる

傾聴はいつでも簡単にできると考える人がいますが、傾聴は大量のエネルギーと聴き手の心の安定が必要です。疲れている時、心が動揺している時、忙しすぎる時は傾聴できないと考えたほうが良いです。日常の業務から傾聴モードに変わるには、気持ちを落ち着かせる移行時間が必要です。

傾聴はオウム返しすればよい

傾聴は相手の話をオウム返しすれば良いと思われる方がいますが、心が伴っていない技術の利用は、逆に信頼関係を壊してしまうことがあります。聞き手が緊張して関心が自分に向いてる場合も、安心感のある場は作れません。聴き手にはリラックスしながら、本心から相手を想う気持ちが求められます。

    

コーチ
伊集院

筆者は9:00-18:00の時間帯でコーチングを実施するようにしていますが、クライアントの仕事の都合で21:00に実施したことがありました。この時はリラックスした気分で話を聴けていない自分を感じました。平日の日中が難しいクライアントには、休日の日中に時間をとっていただくようにしています。

仕事で傾聴を活用する場面

仕事ではプロジェクトの進捗会議、上司部下の1on1ミーティング、顧客との打ち合わせなど、人と対話する全ての場面において傾聴を活用することが可能です。傾聴を活用した場面の例を紹介します。

チームミーティング

会議やミーティングではメンバーの意見を傾聴することで、メンバーは自分の意見が尊重されていると感じます。「自分の意見は役立っているんだな」と感じ、積極的に意見やアイディアを発言するようになります。メンバーの心が安らぎ、安心感で満たされて、警戒心がゆるむため、正直な意見が出やすくなります。

1on1ミーティング

1on1ミーティングで部下の話を傾聴することで、部下はいつもより多くを話すようになります。自分の話を聴いてくれる相手は、自分の存在価値を認めてくれる人であるため、好意に応えたいという気持ちが湧きあがってきます。自身のキャリア目標や職場の懸念点など、本音が出やすくなります。

顧客との打ち合わせ

顧客との打ち合わせにおいて傾聴を意識していると、顧客が信頼してくれ様々な情報を提供してくれるようになります。苦手意識のある顧客に対しても、素直な気持ちで話す内容に耳を傾けるようにすると、ぎくしゃくしていた関係は次第に解消されてきます。

議論で対立した時

議論で対立した時に相手の話を傾聴すると、合意に至りやすくなります。対立していると負けたくない、早く終わらせたいという気持ちが湧いてきます。先に聞き役にまわり、否定せずに相手の気が済むまで話をしてもらいます。相手は気持ちが落ち着き、落としどころを見つけやすくなります。

   

コーチ
伊集院

筆者は以前、営業→1on1ミーティング→社内会議など、業務と面談を区別せずスケジューリングしていました。1on1をやっていても直前の顧客のことが気になったりと、部下の話を聞きながら別のことを考えていることがありました。現在コーチングに入る前には、30分前から前回の振り返りやクライアントのことを考える時間を取り、傾聴モードに切り替えるようにしています。

  

部下育成に悩まれている方は、こちらのブログもご覧ください。

傾聴の実践方法

傾聴の実践方法です。日常的に次の流れを意識することで、傾聴できるようになります。

気持ちを安定させる

No.方法説明
1会話の前に気持ちを落ち着かせる会話の前に15分程度、気持ちを落ち着かせる時間を持ちます。窓から外を見て深呼吸する、目を閉じて瞑想する、静かな場所で相手のことを考えるなど、精神統一を行います。
2会話中も感情を安定させる会話中にイライラや焦りを感じたら、「自分はイライラしてきたな」「自分は焦ってるな」と自分に言い聞かせ、感情を安定させます。それでも感情が安定しない時は、トイレ休憩を挟むなどして、一息入れます。

  

感情を安定させるのが苦手だと言う方は、当社の「じぶんコーチング」おすすめです。独りでできるコーチング「じぶんコーチング」を習得することで、感情をコントロールできるようになります。

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相手の話に集中する

No.方法説明
3相手を尊重し大切な人と思って聴く相手の話に価値を見出し、尊重の気持ちを持って接することで、相手も自分の話を大切に聴いてもらっていると感じます。
4相手の目を見て話す相手の目を見て、話を聴きます。視線を合わせるのが難しい場合は、相手の顔の周りや眉間を見るようにします。
5うなずきや相づちを打つ相手の話に対して「うん」「そうですね」「わかります」といったうなづきや相づちを打ちます。自然に行うように心がけ、相手の話の流れに合わせて相づちを打ちます。
6否定せず、話をさえぎらない否定せず、集中して相手の話をさえぎらずに最後まで聴きます。自分の意見や判断を出さずに、受け入れる姿勢を保ちます。

積極的に聴く

NO.方法説明
7繰り返す相手が言った感情表現や重要な部分を繰り返します。「昨日はとても疲れたんです」と言われたら、「昨日は疲れたんですね」と繰り返します。機械的にならないように、相手の感情を汲み取りながら繰り返します。
8要約する話が途切れたところで「〇〇〇ということですか?」と要約して確認します。相手の話を簡潔にまとめるようにし、断定はせず「ですか?」と尋ねる形にします。
9オープンクエスチョンを投げかける質問はできるだけオープンクエスチョンを使用します。相手の話に対して「それで、どう感じましたか?」や「その時、どうしたかったんですか?」と問いかけ、自由に話を広げられるようにします。
10感情を言葉で表す相手が大変な話をしていた時は「それは本当に辛いですね」と相手の感情を言葉で表現します。
11質問された時は?聴き手に尋ねているように見えて、実は自分の心に問いかけていることがありますので、しばらく黙って聴きます。アドバイスを求められた時は、一般論を複数提供し、自分に適した方法を本人に選択してもらいます。

   

コーチ
伊集院

以前あるクライアントとのコーチングで、筆者が最初に言葉を発した後は、ほぼクライアントが一人で話し、最後に自分で解決策を見つけて終わったセッションがありました。傾聴の凄さを本当に実感しました。

仕事で傾聴を活用する時の留意点

傾聴を仕事で活用する際に意識すること

傾聴を仕事で活用する際には、以下の点を意識します。

  1. 自分の気持ちを安定させる
    • 業務モードから切り替える時間をとり、聴き手である自分の気持ちを安定させます。
  2. 環境を整える:
    • 静かで落ち着ける環境を整えることで、相手がリラックして話しやすくなります。
  3. 時間を確保する
    • 十分な時間を取り、焦らず、相手を急かさず、丁寧に話を聴きます。
  4. 先入観を持たない
    • 相手の話を聞く前に自分の先入観や偏見を捨て、オープンマインドで接します。
  5. 感情的にならない
    • 相手の話に感情的に反応せず、冷静に聞く姿勢を保ちます。
  6. プライバシーを尊重する
    • 相手が話した内容は尊重し、必要がない限り他言しません
  7. 要望を聞く
    • 最後に全体を通じて言っておきたいことはないか、何か要望はないか聴きます。

1on1を有効に活用する方法

1on1は、上司部下の信頼関係の程度により、取り組み方が変わってきます。部下の退職が多い職場で、1on1をやっても、「話すことがない」「やめてほしい」「意味ない」と言われてしまいます。職場の信頼関係の程度に基づき1on1のあり方を考えることが大切です。

  1. 部下が転職活動にいそしむ職場
    • 部下は上司や職場を全く信頼しておらず、良い職場があればすぐにでも転職したいと考えています。上司から部下に対し強権的な行動がある、または上司が部下を駒のように扱っているような職場です。まずは上司部下が信頼関係を築くための基盤をつくることが大事です。
  2. 部下とは問題はないが相談はない職場
    • 部下は上司や職場に大きな期待をしておらず、お金のために仕方なく働いていると考えています。上司は部下の育成やキャリアに関心が薄く、自分のことで精一杯です。管理職が、部下一人一人に対し、愛情をもって接する機会をつくることが大事です。
  3. 部下からキャリアのことを相談される職場
    • 部下は、自分の夢ややりがいを実現すべく、自発的に行動しています。上司は、日々部下の動きを意識して見守り、組織と部下の成長を両立できています。上司には、部下が常に一定の良い状態を維持できるよう、傾聴やコーチングを駆使した1on1が求められます。

    

部下との1on1の進め方に悩んでいるという方は、こちらのブログをご覧ください。

まとめ

本記事では、管理職に求められるコーチングの基本スキルである傾聴について解説しました。傾聴とは、相手の話に深い関心を持ち、共感を示しながら真摯に聴くコミュニケーションの姿勢と技術です。日常的に次の流れを意識することで、傾聴できるようになります。

  1. 気持ちを安定させる
    • 会話の前に気持ちを落ち着かせる
    • 会話中も感情を安定させる
  2. 相手の話に集中する
    • 相手を尊重し大切な人と思って聴く
    • 相手の目を見て話す
    • うなずきや相づちを打つ
    • 否定せず、話をさえぎらない
  3. 積極的に聴く
    • 繰り返す
    • 要約する
    • オープンクエスチョンを投げかける
    • 感情を言葉で表す
    • 質問された時は?

傾聴を活用することで、仕事や生活などあらゆる場面において、良好な人間関係を築くことができます。傾聴は誰でも練習することで身に着けれます。一方でビジネスで活躍している人ほど、業務モードと異なる傾聴をマスターするのに苦労します。焦らず、一歩一歩、毎日の生活で傾聴の練習をしてみてください。

   

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ピープルエナジー代表 伊集院正

22年間、⾦融IT・リスクのコンサルティングに従事。ITリスクチームの拡大や金融セクター設立に貢献。この間、優秀な多くのコンサルタント育成に関与。2020年、国家資格キャリアコンサルタントを取得。2021年に⼈材コンサルティングを開始し、企業の従業員や働き手に対し、心理学の理論を活用したコーチングを提供中。
   
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