- 仕事の量が多く泣きたい
- 上司に罵倒され悲しい
- イベントに自分だけ誘われず悲しい
本記事は、こんな悩みや疑問を解決します。
悲しくなると気分が沈み、仕事に対する自信を失います。仕事のパフォーマンスや生活の質にも影響が出る可能性があります。悲しみは大事なものを失ったというアラームです。失ったものを知ることが悲しみを軽減する最初の一歩です。
仕事と感情に関する意識調査 (個人編)/リクルートマネジメントソリューションズによると、1ヵ月の間で仕事中に「悲しさ・つらさ」を感じた人は60.3%います。半数以上の方が1ヶ月の間に何らかの悲しみを感じています。
出所:仕事と感情に関する意識調査 (個人編)/リクルートマネジメントソリューションズ
本記事では、悲しくなる時、悲しくなる原因、悲しみを解消する方法を解説します。
「メタ認知力をつけ活き活き働く」ヒントを、ほぼ週次でお届けします。新着ブログやKindle本もご案内します。
ご登録いただいた方には、Kindle本「質問できない人ができるようになった話」を無料プレゼント中!
目次
仕事で悲しくなる時
あまり人に話していませんが、筆者がこれまで体験した仕事で悲しくなった出来事を紹介します。(ちょっと恥ずかしいですが)
深夜のオフィスで独り数字のチェック
筆者が27歳ぐらいの時です。月次の営業資料の集計システムのEUCによる開発を担当していました。システムが完成しリリースしたところ、営業部門が把握している数値と合いません。調べたところ集計基準が異なることが分かりました。営業の現場はコンピュータ入力前の情報で管理をしているので、システムとはどうしても合わない。しかし営業に「こっちが管理している数字じゃないと意味がない!」と押し切られ、手作業で数値を修正することに。ゴタゴタが収まるまで資料作成の前日は徹夜が続きました…
伊集院
深夜のオフィス、独りで仕事をしていると本当に悲しくなりました。
夜中に顧客を訪問し謝罪
筆者が31歳ぐらいの時です。保険料の請求事務ミスで、顧客の口座から誤った金額が引き落とされてしまいました。営業部門からは怒られ、上司に相談するも「自分でなんとかしろ」との言葉を投げかけられました。顧客に誤ることが先決と、菓子折りもって夜に顧客回り。その日は終電が過ぎ家に帰れず、近くのカプセルホテルに泊まることに…
伊集院
スマホもない時代、夜中に知らない土地でお客さんの家を探しまわりました。納得いただけるお客さんもいましたが、怒鳴られる場面もあり、本当に悲しかったです。
いきなり上司に罵倒される
筆者が40歳ぐらいの時です。100人ぐらいの大きな宴会がありました。しばらく和やかに飲んでいたのですが、酔いがまわってきたところで、上司からいきなり「お前は何ができるんだ」「お前にできることがあるのか」と罵声を浴びました。直前に会話をしていたわけではないので驚きしかなく、周りの誰も止めようとしなかったので一旦その場を離れ、早々に退散しました…
伊集院
直後は悲しみより訳わからなかったですね。時間が経ち状況を振り返るようになってから、会社の人間関係ってこんなものかと悲しみが強く湧いてきました。(今だに深層はなぞです。今はそんな人もいるんだと思えるようになりました。)
筆者は40前半ぐらいまで、自己主張が苦手で周りに助けを求められず、独りで抱え込む癖がありました。結果、周りに不信感を抱くという悪循環に陥っていました。
悲しみの原因
人は自分にとって大事なものを失った時、悲しみの感情が現れます。悲しみは自分の大事なものが失くしたというアラームです。例えば次のような時に悲しくなります。
- 「お客さんのことを考え行動」していたのにお客さんに迷惑をかけた時
- 「がんばって成し遂げた仕事」が失敗に終わった時
- 「自分の経験やスキル」が評価されなかった時
- 「自分のやりたいこと」をやる時間がない時
- 「自分のお客さん」を横取りされた時
「」が自分にとって大事なものです。大事なものを失っているので悲しくなるのは当然の感情です。
人は悲しみを感じると、ショックで視野が狭まり状況を客観的に見れなくなります。そのことが、悲しみを長引かせることにつながります。次に悲しみを解消する方法を説明します。
悲しみを解消する方法
悲しい時は、次のステップを踏むのが有効です。
- 大事なものを思案する
- 喪失を受け入れる
大事なものを思案する
悲しみは自分の大事なものを失ったというアラームです。しかし、多くの場合自分が大事なものは意外に分かっていません。何を大事と思っていたのかと思案します。自分が大事にしていたものが分かると気持ちが楽になります。
以下は、よくある悲しみを基に大事なものを思案した例です。この例のように領域ごとに考えると分かりやすいです。
領域 | 大事なもの | 悲しい出来事の例 |
---|---|---|
想い | ・将来の夢 ・相手 | ・将来の夢を目指してがんばっていたのに、仕事を続けられなくなった ・相手のことを気にかけていたのに、相手に自分との関係を断つ行動をとられた |
価値観 | ・お客さんの要望に応えるのが何よりも最優先 ・お客さんとの会議は対面を優先 | ・大事なお客さんの急ぎの仕事に残業して対応していたが、残業が多いと上司から叱られた ・お客さんとの会議は、遠方でも対面を優先してきたが、遠方はオンライン会議を利用することが会社の方針として決まった |
能力 | ・仕事の能力 | ・がんばってきたのに昇格できず、後輩に抜かれた ・昇格試験を受けたが、不合格となった |
健康 | ・自分の健康 | ・夜間の仕事に集中できなくなった ・残業、週末勤務が続き身体をこわした |
有形資産 | ・大事なお客さん ・自分の経歴、スキル | ・大事なお客さんだったが、担当が変わり競合を使い始めた ・転職活動で自分の経歴やスキルが評価されず、書類選考に落ちた |
無形資産 | ・周りからの信頼 ・プライド | ・ミスをして、上司から叱責され案件を外された ・期待に応えようとがんばってきたのに、上司から否定的な言葉を投げかけられた |
時間 | ・自分の時間 | ・やりたいことが忙しくてできない ・休日出勤が続き、家族との時間がもてない |
自分が大事にしていたものに気づくには、自分に向き合う行為、内省が必要です。詳しくは以下のブログをご覧ください。
自分に向き合う
喪失を受け入れる
人は何かを喪失すると、次の5つの段階をたどると言われます。
- 否認と孤立
- 怒り
- 取り引き
- 抑うつ
- 受容
キューブラ・ロスはその有名な著書(1969)で、人々が死に直面したときにたどる心理的プロセスを「喪失の五段階」として発表し、以来、この「悲嘆の五段階」は多くの死別体験の支援に応用されてきた。第1段階:否認と孤立に始まり、第2段階:怒り、第3段階:取り引き、第4段階:抑うつを経て、第5段階:受容に至る過程である。そして、この過程は、現在まで40年以上にわたって末期の病のみならずさまざまな喪失体験(仕事、収入、自由、排除、離婚、依存症、引越し、不妊、災害など)にも広く適用されている。
出所:心と社会 No.147 43巻1号 巻頭言 現代の悲嘆─長引く別れと曖昧な喪失/平木典子(統合的心理療法研究所所長)
筆者の例を基に、5つの段階をたどってみました。
段階 | 状況 |
---|---|
出来事 | 深夜のオフィスで独り数字のチェック |
喪失した大事なもの | チームとして仕事をする環境 |
1.否認と孤立 | ・そもそもこれは自分の責任ではない ・独りの深夜作業は悲しくなる ・孤立感が増す |
2.怒り | ・どうして自分だけこんな目に合うんだ ・〇〇〇課の人間も手伝うべきだろ ・上司も何か声掛けしてくれてもいいだろ |
3.取り引き | ・数字の算出基準が違うので、無理があると関係者に伝える ・営業側の管理基準を変えられないか交渉する ・システム部門に良い方法はないか相談する |
4.抑うつ | ・いろいろ動いたが、良い方法はない ・独りでがんばるしかない ・こんな環境で働くのはいやだ |
5.受容 | ・やるしかない ・誤解を生まず、シンプルに表現できる方法はないか考える ・いくつかの方法を試してみる |
レジリエンス(回復力)を高め、しなやかに立ち直る!
まとめ
仕事をしていると悲しくなることは誰しもあります。本記事では、悲しくなる時、悲しくなる原因、悲しみを解消する方法を解説しました。悲しくなった時は、次のステップが有効です。
- 大事なものを思案する
- 喪失を受け入れる
失った大事なものを思案します。大事なものが特定できるだけで、気持ちは大分落ち着きます。その上で次の喪失を受け入れるプロセスを辿ります。
- 否認と孤立
- 怒り
- 取り引き
- 抑うつ
- 受容
悲しみを感じるのは大事なものを失ったアラームです。感情を素直に認め、大事なものを特定し、落ち着いて喪失を受け入れていくことで、仕事も生活もうまくいくようになります。ぜひお試しください。
「メタ認知力をつけ活き活き働く」ヒントを、ほぼ週次でお届けします。新着ブログやKindle本もご案内します。
ご登録いただいた方には、Kindle本「質問できない人ができるようになった話」を無料プレゼント中!