承認欲求とは?仕事に活かす方法を解説

個人のお客様ーレジリエンス

  • 常に他人の評価が気になる
  • 批判されるのが怖い
  • すぐ他者と自分を比較する

本記事は、こんな悩みや疑問を解決します。

承認欲求という言葉を聞く機会が増えました。承認欲求は一概に悪いとは言えずバランスが大切です。承認欲求に関する調査/ビッグローブ株式会社によると、Z世代の63.1%、30~69歳の50.3%の方が「他人に認められたい」と考えています。約半数の日本人が「他人に認められたい」と考えています

   

  

  

  

出所:承認欲求に関する調査/ビッグローブ株式会社

本記事では承認欲求とは、正常な承認欲求とアンバランスな承認欲求、承認欲求を仕事で活かす方法について解説します。

  

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承認欲求とは

承認欲求とは?

承認欲求は、他人から認められたい評価されたいという人間の基本的な欲求です。注目されようと不適切な行為をSNSにアップするような行動が承認欲求ととらえられがちですが、これは一つの表れです。例えば、会社に行くことで五感を通じ承認欲求が満たされるため、テレワークばかり続いていると何となく不安になると言われます。(太田,2022)承認欲求は多様で奥深いものです。

心理学者アブラハム・マズローの欲求階層説では、承認欲求は自己実現の欲求に次ぐ高次の欲求として定義されています。マズローは承認欲求について次のように述べています。

人間社会では、すべての人々(少々の例外はあるとしても)は通常安定し、基礎の確立した、自己に対する高い評価や自己尊敬、自尊心、他者から尊重されることに対する欲求あるいは欲望をもっている

出所:人間性の心理学モチベーションとパーソナリティ/A.H.マズロー著、小口忠彦訳

言い換えると「他人から認められたい、評価されたい」という欲求です。承認欲求が適切に満たされると人は自己肯定感を持ち、社会的な関係を築く上でポジティブな影響を受けます。ただ承認欲求が強すぎると、SNSのいいねを過度に気にするなど他人の意見や評価に依存し、自己の意見や価値観を持つことが難しくなります。

承認欲求の二つの側面

承認欲求はポジティブに働くことがあれば、ネガティブに働くこともあります。マズローは承認欲求を次の二つに分けています。

  • 強さ、業績、妥当性、熟練、資格、世の中に対して示す自信、独立と自由に対する欲望
  • 他者から受ける尊敬とか尊重と定義できるいわゆる評判とか名声、地位、他者に対する優勢、他者からの関心や注意、自分の重要度、あるいは他者からの理解に対する欲望
出所:人間性の心理学モチベーションとパーソナリティ/A.H.マズロー著、小口忠彦

前者は自分基準の承認、後者は他者基準の承認と言ってもいいかもしれません。

  • 自分基準の承認:強さ、業績、妥当性、熟練、資格、世の中に対して示す自信、独立と自由に対する欲望
  • 他者基準の承認:他者から受ける尊敬とか尊重と定義できるいわゆる評判とか名声、地位、他者に対する優勢、他者からの関心や注意、自分の重要度、あるいは他者からの理解に対する欲望

自分基準も他者基準も必要

承認欲求は一概に悪いものとは言えず、うまく活用することで自己肯定感を高めポジティブな影響を与えます。そのためには、自分基準の承認と他者基準の承認のバランスが大切です。

自分基準が強く「他者にどう見られようがかまわない、自分が納得できればそれでいい」という考えが強すぎると、社会で上手く生きていくことはできません。

他者基準が強く「褒めてもらわないとモチベーションが沸かない、認めてもらわないとやりたくない」という考えが強すぎると、自分らしい生き方はできません。

     

この自分基準と他者基準のバランスが崩れると、生きづらくなり、知らず知らずのうちに心身に不調をきたすことがあります。

正常な承認欲求とアンバランスな承認欲求

承認欲求は人間誰もが持つものです。ここでは正常な承認欲求とアンバランスな承認欲求の例を見てみたいと思います。

正常な承認欲求の例

仕事や生活において次のような欲求は誰もが感じます。

事例説明
同期に遅れず昇進したい最近は管理職になりたくない人が増えたと言われますが、それでも同期に遅れない程度に昇進したいという気持ちは、少なからず誰しも持っているのではないでしょうか。がんばった成果が周りに認められ、形として見えることは嬉しいものです。
仕事で大きな成果を出した時は賞賛してもらいたい大きな案件を受注したり、大規模プロジェクトを成功させたり、新商品がヒットしたような場合、誰しも賞賛してもらいたいと思うのではないでしょうか。結果を出し、周りに賞賛されるのは、素直に嬉しいものです。
家事を代わってあげた時は感謝してもらいたい家事を分担する共働きの夫婦の間で、友人との飲み会があるからと家事を代わってあげた時は、相手から感謝してもらいと思うのではないでしょうか。ちょっとしたことでも、自主的なボランティアでも、提供してあげたことに感謝されるのは嬉しいものです。
電車で席を譲った時は感謝してもらいたい電車で高齢の方に席を譲った時、感謝の言葉をいただくと素直に嬉しいです。感謝されることを意識した行動ではありませんが、一言もお礼がなく無視されると、すこしムッするのではないでしょうか。こうした行動は、無意識に感謝を前提としているのかもしれません。
コーチ
伊集院

筆者は以前から中間層の人材育成に問題意識を持っており、第二の人生は少しでも人の役に立ちたいと思いコーチングで起業しました。自分としては自己実現を目指したつもりですが、社会に承認されたいという気持ちが無いかと言えば嘘になります。人間は完全には欲から逃げきれません。だからこそ精神修養が必要なのかもしれませんね。

アンバランスな承認欲求の例

次はアンバランスな承認欲求を見ていきます。

事例説明
昇進できないと仕事をしている意味がないと感じる昇進できないと自己否定されたように感じ、とても落ち込みます。会社に批判的になったり、転職をちらつかせたりします。良い仕事をすることは二の次で、仕事をする意味が昇進だけになっています。
自分にどれだけ目に見えるメリットがあるかで行動する顧客にとって必要または自分が良いと信じる商品やサービスよりも、売上や規模など目に見えるメリットを重視します。顧客の身の丈に合わないサービスを売るのに躊躇しません。
SNSで豪華な食事や旅行体験ばかりアップするSNSで、周りがうらやむような豪華な食事や旅行の風景ばかりをいつもアップします。周りからの”いいね”が満足感を満たします。いつもその事ばかり気にしています。

  

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承認欲求を仕事で活かす方法

承認欲求のバランスが崩れると、次のような状況に陥ることがあります。

  • ストレスや不安の増加他人からの評価に依存しているため、それが得られない時にストレスや不安を感じやすくなります。
  • 孤立:自分は自分、他人は他人といつも割り切っていると、周りが離れ世間から孤立してきます

承認欲求は必ずしも悪いことではありません。自分基準と他者基準のバランスが大切です。競争社会では他者基準が強くなり過ぎることに注意が必要です。承認欲求のバランスを保つには、自分基準を高めることが有効です。

現代のような競争社会では、自分基準を高めることでバランスが保たれる

     

自分基準を高めるには内省を通じ自分に向き合うことが必要です。内省とは自分の心や思考、感情、行動などを観察し、理解することです。内省によって、次のようなことが可能となります。

達成できること説明
価値観の明確化自分は何を大切に思っているのか、何を重要視するのかが明確になります。価値観が明確になることで、ゆるぎない自信と強さが身につきます
居心地の良い状態の理解自分が居心地の良い状態が分かり、その状態で活躍できる環境が見えてきます。じっくり考えることが居心地が良い、仲間と話し合うのが居心地が良いなど、具体的なイメージが頭に浮かびます。
決断と行動他人の意見でなく自分の考えで決断し行動できるようになります。自分で決断したことは全て成功です。楽な道はありませんが、楽しい道を歩むことができます

   

まとめ

本記事では承認欲求とは、正常な承認欲求とアンバランスな承認欲求、承認欲求を仕事で活かす方法について解説しました。承認欲求は一概に悪いものとは言えず、うまく活用することで自己肯定感を高めポジティブな影響を与えます。そのためには、自分基準の承認と他者基準の承認のバランスが大切です

競争社会では他者基準が強くなり過ぎることに注意が必要です。承認欲求のバランスを保つには、自分基準を高めることが有効です。自分基準を高めるには内省を通じ自分に向き合うことが必要です。内省により次のことが達成できます。

  • 価値観の明確化
  • 居心地の良い状態の理解
  • 決断と行動

承認欲求は人間として自然なことです。ただバランスが重要です。他者基準が強いと感じている方は、ぜひ自分基準を高める内省を実践してみてください

参考文献

太田肇 (2022). 日本人の承認欲求 テレワークがさらした深層/太田肇/2022年/株式会社新潮社

   

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ピープルエナジー代表 伊集院正

22年間、⾦融IT・リスクのコンサルティングに従事。ITリスクチームの拡大や金融セクター設立に貢献。この間、優秀な多くのコンサルタント育成に関与。2020年、国家資格キャリアコンサルタントを取得。2021年に⼈材コンサルティングを開始し、企業の従業員や働き手に対し、心理学の理論を活用したコーチングを提供中。
   
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