GRIT やり抜く力とは?意味や伸ばし方を解説

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  • GRIT(やり抜く力)とは何?
  • GRITがなぜ大事?
  • GRITを伸ばす方法は?

本記事は、こんな悩みや疑問を解決します。

2016年に出版された『GRITやり抜く力/アンジェラ・ダックワース」、28万部を超えるベストセラーとなっています。TED動画も有名で、3千万を超える視聴となっています。

成功するにはIQは大事ですが、より大事なのはGRIT「やり抜く力」ということです。本記事では、GRITやり抜く力とは、GRITが注目される理由、GRITの測定方法、GRITの伸ばし方について解説します。

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GRITやり抜く力とは

GRITやり抜く力は、心理学者アンジェラ・ダックワースが提唱した概念で、「目標に向けた情熱」と「その目標を達成するために努力し続ける粘り強さ」の2つを兼ね備えたものです。短期的な満足や一時的な結果ではなく、困難や失敗を乗り越えながら、長期的に目標を追求し続ける能力です。

GRITの構成要素

GRITは、以下の2つの要素から構成されています。

情熱 (Passion)
自分が本当に達成したい目標や夢に対して、強い興味と献身を持ち続ける力です。情熱とは一時的な熱意ではなく、長期的に自分の目標に対して関心を持ち続けることです。

粘り強さ (Perseverance)
困難や逆境に直面してもあきらめずに努力を続ける力です。挑戦を楽しみながら、失敗や挫折を学びの機会として前向きに捉える姿勢です。

GRITと他の特性の違い

GRITは、才能や知能指数(IQ)とは異なり、持続的な努力と情熱によって成果を上げる力です。才能があっても努力が伴わなければ成功にはつながりませんが、GRITを持つ人は、地道な努力を重ねることで目標を達成します。

GRITの重要性

GRITは学業、スポーツ、キャリアの成功において重要な要素であることが示されています。IQが高い人よりもGRITが高い人の方が、長期的な成功を収める可能性が高いことがわかっています。青色発光ダイオードを開発した、中村修二氏は、次のように述べています。

出まかせやハッタリで言っているわけではない。独創的な頭脳さえあれば、それが可能になるのがアメリカなのである。

そして私は、この独創性を生み出す方法を知っており、また、独創性を現実のものとして実らせる方策をも、過去の実績を通して知っているのである。

青色発光ダイオードの開発がそれだ。青色発光ダイオードという聞き慣れないものについては本文でくわしく説明するが、実はこれが二十一世紀の世界を変えてしまうくらいのとんでもない大発明だったのである。この大発明を、私はたった一人で、しかも徳島県の田舎の中小企業の実験室で成功させた。このことは、いったい何を意味しているのだろうか。

開発に成功した時には気づかなかったが、私はある時ふとこう考えた。ひょっとすると、このような快挙とも言えるべきことでも、何らかの発想の転換と、成功へと導くコツみたいなものさえつかめば、誰にでもできることなのではないか、と。そう考えて、私自身のたどってきた道を振り返ってみると、実際、極めて単純なことの積み重ねが成功へと導いてくれたことに気づいたのである。それは、「考える力、やり抜く力」こそがすべてだということだ

成功へと至る道は誰にでも開かれている。ハイテク時代といえども、それは同じである。だから、私の実践してきた単純にして明確な方法が、これから夢や目標を追いかけていく人たちに、何らかの役に立てればと考えて筆をとった。

何も難しい理論や、高度な学力など必要ないのだ。いや、むしろ、そのようなものは邪魔になると言ってもいいかもしれない。

自分を信じて突き進む勇気さえあれば、成功は現実のものとなる。大きな成功はつい目と鼻の先に転がっているのだ。それをつかむもつかまないも、ひとえにあなた自身の目的への執念と発想の転換にかかっている。考える力、やり抜く力にかかっている。そして、すべてはここから始まる。井戸は水が出るまで掘れ

*太字は筆者
出所:考える力、やり抜く力 私の方法/中村修二

GRITが注目される理由

人はすごい人を見ると、あの人は才能があるんだと、努力よりも才能に注目します。これは天賦の才能を持つ人を神格化してしまったほうが楽だからです。才能があっても、やり抜く力が強いとは限りません。努力によって初めて才能はスキルになり、努力によってスキルが生かされ、さまざまなものを生み出すことができます

出所:GRITやり抜く力/アンジェラ・ダックワース

才能だけでは成功が見込めない場面でも、やり抜く力を持つ人が困難を乗り越え成果を上げています。GRITは学業や職場などあらゆる分野で必要不可欠な特性として注目されるようになりました。

「偉業を成し遂げた人たちに、「成功するために必要なものは何ですか?」とたずねると、「夢中でやること」や「熱中すること」と答える人はほとんどいない。多くの人が口にするのは「熱心さ」ではなく、「ひとつのことにじっくりと長いあいだ取り組む姿勢」なのだ。

*太字は筆者
出所:GRITやり抜く力/アンジェラ・ダックワース

  

GRITの測定方法

GRITを測る簡易的な方法をご紹介します。次の10の質問に、「まったく当てはまらない」から「非常に当てはまる」から該当する答えを選択します。あまり考え込まずに周りの人と比べてどうかというぐらいの気持ちで選択します。回答した数字を合計し、10で割った数値が、GRITスコアです。

質問まったく当てはまらないあまり当てはまらないいくらか当てはまるかなり当てはまる非常に当てはまる
1.新しいアイディアやプロジェクトが出てくると、ついそちらに気を取られてしまう。54321
2.私は挫折をしてもめげない。簡単にはあきらめない。12345
3.目標を設定しても、すぐべつの目標に乗り換えることが多い。54321
4.私は努力家だ。12345
5.達成まで何ヵ月もかかることに、ずっと集中して取り組むことがなかなかできない。54321
6.いちど始めたことは、必ずやり遂げる。12345
7.興味の対象が毎年のように変わる。54321
8.私は勤勉だ。絶対にあきらめない。12345
9.アイデアやプロジェクトに夢中になっても、すぐに興味を失ってしまったことがある。54321
10.重要な課題を克服するために、挫折を乗り越えた経験がある。12345
出所:GRITやり抜く力/アンジェラ・ダックワース

こちらは、アメリカ人の成人のGRITスコアです。GRITスコアが4.1なら、アメリカ人の成人の70%よりも、やり抜く力が強いことになります。

パーセンタイル値GRITスコア
10%2.5
20%3.0
30%3.3
40%3.5
50%3.8
60%3.9
70%4.1
80%4.3
90%4.5
95%4.7
99%4.9
出所:GRITやり抜く力/アンジェラ・ダックワース

GRITの伸ばし方

GRITを伸ばすには、次のステップを踏むことになります。一人で進めるにはかなりの根気が必要です。意識して、親、コーチ、教師、上司、メンター、友人など、周りの人々の力を借ります。詳しくは、GRITやり抜く力/アンジェラ・ダックワースを参照ください。

  1. 興味を掘り下げる
  2. 自分のスキルを上回る目標を設定し、クリアする練習を習慣化する
  3. 自分の取り組んでいることが、大きな目的とつながっていることを意識する
  4. 絶望的な状況でも希望を持つことを学ぶ

ここでは、4つのステップを、筆者の体験を基に説明します。

興味を掘り下げる

説明筆者の体験
興味のある分野を探すには、次のような質問を自分に投げかけます。
・この後、充分に暮らせるお金があるとすると、自分は何をしたいだろう?
・余命3年としたら、自分は何をしたいだろう?
・やることが全てうまくいくとすると、自分は何をしたいだろう?
いくつか候補が見つかったら、小さく試してみます。副業、週末ボランティアでもよいです。完璧に成し遂げるより、まずは楽しむつもりでやってみます。何度か試し、情熱をかけてもよいと思えるものが見つかったら、次は練習です。
筆者は50代になり、退職後のことを考え始めました。会社を離れて自分に何ができるのか?自分は何がやりたいのか?苦にならずやれることは何か?と、1年考え続けました。
そこで見えてきたのが、仕事が伸び悩んでいる人を1対1で支援することです。根気が必要ですが、苦にならずにでき、相手がうまくできた時の達成感も大きく、これだと思いました。
仕事が伸び悩んでいる人を支援するといっても、資格も経験も無い中、何か資格を取得しようと思い、キャリアコンサルタントの資格を取得することにしました。これがきっかけとなり、心理学を学び始め、心理学の理論を活用したコーチングを始めることにしました。

    

自分のスキルを上回る目標を設定し、クリアする練習を習慣化する

説明筆者の体験
ベテランになるには一万時間が必要と言われるように、多くの時間を費やす必要があります。一緒にがんばる仲間をつくったり、メンターをつけるなど、続けられるように自分にあった環境を整えます。時には、他者から厳しいフィードバックをもらう機会をつくり、改善を繰り返します筆者は一年前からブログを書いていますが、負荷がかかる割には成果が見えず、何度も辞めようと思いました。
ある時、書き終わると理解が進み、自分の頭が整理されていることに気づきました。書く前に、関連資料や書籍を調べるのですが、ブログが増えてくると、最初は点だった知識が線になり、次第に面になっていくようでした。
こうして続けていくうちに、ブログのPVや効果をあまり気にせず書けるようになりました。

自分の取り組んでいることが、大きな目的とつながっていることを意識する

説明筆者の体験
仕事の違いが、目的に関係しているわけではありません。本人が自分のやっていることを、どう思っているかが大事です。ブログを書くにしても、ただやるべきことをこなしているだけか、ステップアップするためだと思って取り組んでいるのか、自分より大きな存在とつながるための重要な仕事だと思って取り組んでいるかです。やっていることではなく、全て捉え方です。しばらく続けていると、少しずつ結果がでてきましたが、まだまだ期待した結果からはほど遠いので「いつまでやればいいんだ」と思い始めました。
そこで、改めてやり始めた最初の気持ちを紙に書き出しました。そうすると、自分は活き活きはたく人を増やすためにやっている、「誇りを持とう」と思えるようになりました。大きなエネルギーがわいてきました。

      

天職との出会いは、完成したものを見つけることではありません。受け身の姿勢ではなく、自分から積極的に行動することが大事です。たとえば清掃員でもCEOでも、職業に関係なく、どんな人もつねに自分の仕事を見つめ直して、問いかけることはできるはずです。この仕事はどんなふうに、ほかの人々とつながっているのだろう?世の中の役に立っているのだろうか?自分のもっとも大切な価値観を表しているだろうか?

*太字は筆者
出所:GRITやり抜く力/アンジェラ・ダックワース

絶望的な状況でも希望を持つことを学ぶ

説明筆者の体験
うまくいかなくても、もう一度立ち上がれるという考えを持ちます。何度転んでも起き上がります。常に楽観的な考えを持ちます。悲観的な考えが出てきた時は、悲観的な考えの自分にあだ名をつけ、「悲観くんが出てきた」などと心の中でつぶやきます。こうした工夫で悲観的思考を取り除き、常に何でもやればできるとと信じますまだ絶望的な状況にまでは陥っていませんが、凹みは日常的にあります。凹んだ時は、じぶんコーチングで思考を拡げ、感情を安定させるようにしています。

   

じぶんコーチングを詳しく

じぶんコーチング

まとめ

本記事では、GRITやり抜く力とは、GRITが注目される理由、GRITの測定方法、GRITの伸ばし方について解説しました。GRITやり抜く力は、「目標に向けた情熱」と「その目標を達成するために努力し続ける粘り強さ」の2つを兼ね備えたものです。

GRITは学業、スポーツ、キャリアの成功において重要な要素であることが示されています。IQが高い人よりもGRITが高い人の方が、長期的な成功を収める可能性が高いことがわかっています。

GRITを伸ばすには、次のステップを踏むことになります。一人で進めるにはかなりの根気が必要です。意識して、親、コーチ、教師、上司、メンター、友人など、周りの人々の力を借ります。

  1. 興味を掘り下げる
  2. 自分のスキルを上回る目標を設定し、クリアする練習を習慣化する
  3. 自分の取り組んでいることが、大きな目的とつながっていることを意識する
  4. 絶望的な状況でも希望を持つことを学ぶ

GRITを伸ばすのは簡単ではありませんが、特別な能力は必要でなく、誰にもできるスキルとも言えます。筆者も途上ではありますが、興味を掘り下げ練習を習慣化するまでのステップの難易度が、特に高いように感じます。偉人とはいかなくても、一度の人生、少しでも近づけるよう精進したいですね。

参考文献

  • GRITやり抜く力/アンジェラ・ダックワース/2016年12月7日/ダイヤモンド社
  • 考える力、やり抜く力 私の方法/中村修二/2001年3月15日/株式会社三笠書房

   

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ピープルエナジー代表 伊集院正

22年間、⾦融IT・リスクのコンサルティングに従事。ITリスクチームの拡大や金融セクター設立に貢献。この間、優秀な多くのコンサルタント育成に関与。2020年、国家資格キャリアコンサルタントを取得。2021年に⼈材コンサルティングを開始し、企業の従業員や働き手に対し、心理学の理論を活用したコーチングを提供中。
   
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