職場の人間関係がストレス。原因と対処法を解説

個人のお客様ーレジリエンス

  • 職場の人間関係に悩んでいる
  • 人間関係のストレス対処法を知りたい
  • 職場を変えても人間関係がうまくいかない

本記事は、こんな悩みや疑問を解決します。

日本労働調査組合の職場の人間関係に関するアンケートによると、「職場の人間関係にストレスを感じている」人は12.7%、「職場の人間関係に疲れている、悩んでいる」人が16.5%います。約30%の方が、職場の人間関係に悩んでいます。また、「特に気にしていない」38.7%は、仕事と割り切りお互い干渉しない状態と思われます。

出所:日本労働調査組合の職場の人間関係に関するアンケート

本記事では、職場の人間関係に悩む状況、職場の人間関係に悩む理由、職場の人間関係を解消する方法について解説します。

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多くの人が職場の人間関係に悩んでいる

職場の人間関係のストレスは、多くの人に共通する悩みです。厚生労働省の調査によると、ストレスの原因として「仕事の量・質」「仕事の失敗、責任の発生等」に続き、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)が3番目に入っています。

出所:職場におけるメンタルヘルス対策の状況/厚生労働省

多くの人が職場の人間関係に悩んでいます。心理学者のアドラーは「すべての悩みは対人関係の悩みである」と言い切っています。職場の人間関係の悩みには、次のようなものがあります。

  • 上司から具体的な仕事の指示がなく、このままでいいのか不安になる
  • 上司がいつも否定から入るので、やる気がなくなる
  • 上司が動いてくれないので、頼る人がいない
  • 上司が特定の人をひいきするので、信頼できない
  • 上司が感情的に怒るので、話しかけたくない
  • 同僚より昇格が遅れ、落ち込む
  • 自分だけ呼ばれない会議やイベントがあるので、孤立感を感じる
  • 社内には本音で話せる人がいないので、ストレスがたまる
  • 部下が、指示しても意図したとおりやってくれず、イライラする
  • 部下が、何度言っても同じミスを繰り返すので、育成を諦めたくなる
  • 部下に丁寧に指導してきたつもりなのに突然退職され、裏切られた気持ちになる
コーチ
伊集院

筆者も会社員時代は、人間関係でたくさん悩みました。当時は、「この人はもう信頼しないようにしよう」「あの人は人間として最低だ」というように、人を評価するところがありました。今考えると、傲慢で成熟度が低い人間だったなとつくづく思います。

職場の人間関係に悩む理由は?

職場の人間関係に悩む原因は様々ですが、筆者は脳の特性も影響しているのではないかと考えています。

原因は?

生物の進化には何万年、何十万年とかかると言われます。人は原始の社会では、その日の食料を調達し、獣や敵から身を守るために、集団で生活していました。そのため現在でも、集団からはじき出されるリスクを察知したり、孤独な環境におちいると、強いストレスを感じます。

人は組織内で人間関係のトラブルにあうと、集団からはじき出されるリスクを察知しストレスを感じる

    

原始の社会では、危険な環境を生き延びるために集団行動をとらなければいけなかったため、密なコミュニケーションが求められられました。一方、現在の環境は身の危険に注意を払い続ける必要がないため、集団内で密にコミュニケーションをとる必要性は必ずしも高くありません。この結果、コミュニケーションが不足し、認識齟齬が生じることがあります。

常に身の危険に注意を払い続ける必要のない現在の環境は、集団内で密なコミュニケーションが必須ではないため、認識齟齬が発生しやすい

    

原始の社会で生き残るためには、一人でなく集団で生活する必要がありました。集団に属する人の価値観は、ただ一つ”生きのこる”しかありませんでした。一方、現在の組織に属する人の価値観は、”生きのこる”一つではなく多様です。同じ集団に属していても、人それぞれ価値観が異なるため、人間関係のもめ事が発生しやすくなります。

生きのこるための集団でなくなった現在の人の価値観は多様なため、人間関係のもめ事が発生しやすい

脳の仕組みを基に考える

ここで脳の仕組みを基に、人間関係のストレスを感じるケースを見ていきたいと思います。脳は次のようになっており、感情は扁桃体が反応することで喚起されます。原始の時代、扁桃体の反応が強力であることが、危険から逃れるために必須でした。しかし、常に危険な環境にさらされていない現在日本のような環境では、ちょっとしたことに扁桃体が反応するようになりました。

脳がどのような反応をしているのか、事例を基に見ていきます。

  1. 上司から具体的な仕事の指示がない
  2. 脳は感情を使って人に行動を促すようにできているため、集団からはじき出されるリスクを察知し、感情を司る扁桃体に働きかける
  3. 扁桃体が反応し、「闘争か逃走か」の選択を迫る不安状態におちいる
  4. 上司にけんか腰で文句を言うか、上司とのコミュニケーションを避け自分の殻にこもるか、どちらかを選択する
  5. 結果、どちらを選んでも、上司との関係がこれまで以上に悪化する

いかがでしょう。職場の人間関係で悩むのは、人間の脳が、集団からはじき出されることを危険を感じ、ネガティブな感情を生み出すためです。感情は人に行動を促すために生じており、一連の流れは人間にとって至って自然な反応です。

職場の人間関係を解消する方法

人間関係の悩みを防ぐ方法、悩んだ時に対処する方法、日頃から人間関係で悩みすぎないようにする方法です。再び、脳の簡略図を掲載しますので、こちらを参照しながらお読みください。

人間関係の悩みを防ぐ方法

まずは悩まないように人間関係のもめごとを防ぐ方法です。相手とのコミュニケーションの取り方を工夫します。

方法説明
相手の話をよく聴き、自分の意見を伝える相手の話を傾聴し、自分が思っていることはきちんと伝えます。傾聴とは、相手の話に深い関心を持ち、共感を示しながら真摯に聴くコミュニケーションの姿勢と技術です。傾聴は次の流れで進めます。
1.気持ちを安定させる
2.相手の話に集中する
3.積極的に聴く
詳しくは↓のブログをご覧ください。
傾聴とは?意味や仕事で活用する方法をわかりやすく解説

自分の意見を伝える場合は、次の順番で話すと、相手に伝わりやすくなります。
1.事実を伝える(◇◇◇ということですね)
2.自分の考えを伝える(私は○○○と思います)
3.実現できそうな方法を提案する(△△△をお願いできませんか)
提案が受け入れられなかった場合の、代替案も考えておきます。
↓のブログも参考にしてください。
仕事でイライラする。感情的にならない方法を解説
相手の物理的な反応に基づき、コミュニケーションする苦手な人とのコミュニケーションを、うまくいったケース、うまくいかなかったケースに分け、どんな時にうまくいったかを特定します。都度考えるのではなく、相手の反応を基にコミュニケーションの方法を予め決めておきます。例えば、次のような具合です。
・◇◇◇の時間は、相手は機嫌が悪いのでお願い事は避ける
・○○○と言われた時は、相手は怒っているので謝る
・△△△の表情をした時は、相手は考えているので黙って待つ

人間関係に悩んだ時に対処する方法

人間関係に悩んだ場合は、自分の思考や感情を冷静に見ることです。

方法説明
職場の人間関係に悩んだ時は、脳が勘違いしていることを思い出す職場の人間関係に悩むのは、原始の社会で生きているように脳が反応することから起こります。集団からはじき出されるリスクを敏感に察知し、扁桃体が不安な感情を喚起します。今の世の中、仮に一つの組織からはじき出されても、生きていけないことはありません。職場の人間関係に悩んだ時は、この理屈を思い出すことで、不安が和らぎ、落ち着いた対応をとることができます。
自分の気持ちを紙に書いて、読み返す扁桃体の反応は、前頭前野を活性化することにより、おさえることができます。前頭前野は思考や理性を司る脳の領域です。前頭前野を活性化するには、自分の気持ちを紙に書いて、読み返すことです。読み返す際は、自分を人間関係に悩むAさんに置き換え、Aさんはどうしたら悩みを解消できるかと考えます。

日頃から人間関係で悩みすぎないようにする方法

日頃から人間関係で悩みすぎないようにするには、脳の機能を鍛え、思考法を変えることです。

方法説明
運動を習慣にする扁桃体の反応をおさえるのは、前頭前野と海馬と言われています。前頭前野と海馬は、運動を続けることで機能が強化することが分っています。機能が強化されると、感情的になり過ぎず、合理的な考えができるようになります。15分の散歩でもネガティブな感情を和らげます。
じぶんコーチングを習得するじぶんコーチングを習得することで、感情が安定し、冷静な考えができるようになります。さらに小さな行動を繰り返すことで、自信がつき、挑戦を怖がらなくなります。じぶんコーチングは、思考の癖を修正します。脳は新しいことを練習すると、新しい神経細胞がつながり、練習を続けることでつながりが太くなります。これは思考も同じで、練習することで思考法が変わります。
詳しくは↓をご覧ください。
じぶんコーチング

  

まとめ

本記事では、職場の人間関係に悩む状況、職場の人間関係に悩む理由、職場の人間関係を解消する方法について解説しました。人が職場の人間関係に悩むのは、原始の社会を生きのびてきた脳の特性にあります。脳の特性を知ることで、悩みを軽減することができます。

  1. 人間関係の悩みを防ぐ方法
    • 相手の話をよく聴き、自分の意見を伝える
    • 相手の物理的な反応に基づき、コミュニケーションする
  2. 人間関係に悩んだ時に対処する方法
    • 職場の人間関係に悩んだ時は、脳が勘違いしていることを思い出す
    • 自分の気持ちを紙に書いて、読み返す
  3. 日頃から人間関係で悩みすぎないようにする方法
    • 運動を習慣にする
    • じぶんコーチングを習得する

職場の人間関係に悩むことは、誰にでもあります。脳の仕組みを知ることで、悩むのは自然な現象であることが分ります。ただ、悩みすぎると、自分にも周りにも悪影響がでます。本記事を参考に、穏やかに働ける方法を見つけてください。

参考文献

ストレス脳/アンデシュ・ハンセン/久山葉子(訳)/2022年7月20日/株式会社新潮社

   

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ピープルエナジー代表 伊集院正

22年間、⾦融IT・リスクのコンサルティングに従事。ITリスクチームの拡大や金融セクター設立に貢献。この間、優秀な多くのコンサルタント育成に関与。2020年、国家資格キャリアコンサルタントを取得。2021年に⼈材コンサルティングを開始し、企業の従業員や働き手に対し、心理学の理論を活用したコーチングを提供中。
   
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